529話 とりあえずジャッジメントでゾンビとサメさんをないないした
「とりあえずやっちゃいますか」
「やる」
「じゃ、せーのっ」
「よわめ」
「「ジャッジメント」」
しゅんしゅんしゅんっと――そういや久しぶりに使ったジャッジメントで、頭の輪っかが空へ飛んでいく。
その外側にまた1個、それを囲むサイズのが1個とあっという間に増えていき――。
「水平線まで真っ平らな地面だと、ジャッジメントの鐘もどこまでも広がるんですね」
「むふん」
僕たちの、金と黒の輪っかが重なってできた――けども威力は控えめな光の矢が全周へと散っていく。
「あははっ、ゾンビ! ゾンビが飛び散っていくわ! ゾンビってばホーリーなものに弱いってお約束なのよ!」
「ハル様とノー――ネーム様なので2倍です2倍!」
「そうね! ダブルで弱点属性だもの!」
【グロ注意】
【もう遅いよ】
【どうして先に言ってくれなかったの!!】
【草】
【なぁにこれぇ……】
【見渡る限りに広がるゾンビの大群が、空からの矢に貫かれて飛び散ってる光景だよ】
【おろろろろろ】
【一応軽いモザイクはかかるけど……】
【うん……】
【何しろゾンビだからグロいね……】
【見せられないよ!】
【しかしあいかわらず最強のジャッジメント】
【しかも軽すぎるノリな】
【草】
【まぁハルちゃんだし】
【ノーネームちゃんだもんな】
【特に怒る理由とかないしな】
【おいやめろ】
【やめろ】
【やめろっつってんだろ!!】
【草】
【ごめん】
【いいよ】
【優しい世界】
【優しい世界(たぶんあの日とかそれに近い日の合衆国の惨状】
【合衆国はなぁ……広すぎてなぁ……】
【他の大陸国家と同じく、今でも中央部が壊滅してるから……】
【完全にモンスターの天国になってるとか】
【合衆国の軍事力があるからまだ抑えられてるって話だし】
【てことは、ハルちゃんたちが来ても……】
【あっ】
【草】
【草生やしてる場合じゃないけど草】
【未来が確定しちゃってるからねぇ……】
【ま、まあ、ここでもまとまった数の人を助けるのがノーネームちゃんの目的だろうから……】
【ほんとノーネームちゃん女がみみみみみ】
【かわいいいいいいいいいい】
【ノーネームちゃん!!】
【純粋に褒めてるのに……】
【ノーネームちゃんは恥ずかしがり屋さんだからねねねねね】
【あーあ】
【ないない一丁入りましたー】
【異世界の人たち、そのうちお迎えよろしくね】
【草】
「で、僕たち、今からどこ行けば良いんです?」
「あっち」
ふぃぃぃん。
ノーネームさんが指した方向へ、イスさんが舵を切る。
「ノーネームさん、このイスさん、音声入力できるんでしたっけ」
「とくべつ」
「すごいですねイスさん」
「むふん」
そういえばずいぶんとお世話になってるイスさん。
「でも見た目はもうちょっとどうにかならなかったんですか?」
「ないない……」
「どうにもならないんですか」
「ないない……」
無理らしい。
見た目さえ良ければ最高なのにね。
まぁこのオブジェ的なのもそれはそれで好きになったけどさ。
「げ、現代美術ってやつなのよ! きっと……」
「え、ええと……私の世界でも、超古代文明の遺産と言えば皆がさすがと言うでしょうから……」
【草】
【唐突なイスさんディスりで草】
【イスさんかわいそう】
【かわいそう】
【でも見た目がなぁ……】
【ノーネームちゃんですら目を逸らす有様】
【これ、確か始原の産物だろ?】
【始原!!】
【なんていうか、その……ごめん……】
【現代地球にある代替品を組み合わせたら、あの形状しか起動しなかったんだ……】
【草】
【え? その言い方だとイスさんって設計図とか】
【え】
【あっ】
【おろろろろろろろ】
【あああああ!!!】
【あと数年は家に……もう研究室に引っ越すか……家賃がもったいないし……】
【かわいそう】
【何かを理解しちゃった頭が良い人かわいそう】
【ほんとにかわいそう】
【始原……お前ら一体なにやったんだ……】
【と、とにかくイスさんは俺たちの科学力の限界のせいでその形になっただけだから……】
【そ、そうそう! イスさん悪くない!】
【イスさんかっこいい!】
【実際機能とか間違いなくハルちゃんの役に立ってるから……】
【イスさんで大盛り上がりで草】
【だって、ハルちゃんが疑問持っちゃったから……】
【ならしょうがないな!】
きぃぃぃぃん。
ばばばばばば。
しばらく飛んでた僕たちを、遠くから取り囲むように――数機のかっこいい飛行機にかっこいいヘリがやってきた。
「お、さっき弱めジャッジメントしたときにも見つけてたから避けといたけど、さすがは合衆国。この状況でも軍が動いてるんですね」
「でっしょー! 世界一なんだから!」
「でもゾンビとサメだらけでしたよ?」
「ぐぅ……」
【草】
【かわいい】
【かわいい】
【まぁ国土が広すぎるからね】
【一瞬でしょんぼりしちゃったキャシーちゃんかわいい】
僕たちの周りをひゅんひゅん飛んだりばらばらばらってホバリングして――必死な様子で話し合ってるパイロットさんたち。
「あ、僕たち敵じゃないです。どっちかっていうと味方です」
とりあえず話しかけてみよう。
話すだけならタダだもんね。
「ハル様が言うんですから味方です!!」
「リリさんは少し静かにしててくださいね」
「私は合衆国民よー! ……ソーシャルナンバーとかはパパとママが……もうモンスターに食べられちゃったかもだけど……うぅ……」
「大丈夫ですキャシーさん、ノーネームさんが助けてくれてますって。ね?」
「むふん」
「ノーム様ありがとう!!」
「わぷ」
【躁鬱激しいキャシーちゃん】
【いきなり重くするのやめて】
【子供たちの事情が重い】
【まぁハルちゃんたちが直々に助けるレベルだし】
【ビビリリも重かったからなぁ】
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