517話 リリさんが援軍を連れてきた
【ノーネームちゃん……本当に来るのん? 援軍】
【ウソではないと思いたいけど……】
【黒髪っ子たち、ちょっとずつスピード落ちてるしなぁ】
【ハルちゃん、やろうと思えば倒せそうな感じなのにね】
【でも、魔力が足りないと……】
【……人間は魔力不足になると気を失って一時的に弱るだけだけど、モンスターとかは……】
【魔石に――実体、維持できなくなるよな】
【てことはやっぱり、女神な2人も……】
「………………………………」
みんなに任せるしかない、このもどかしさ。
でも、
「これはきっと……みんな。あの日戦えなかったり、大切な人を失ったりした人たち。……今も、校舎で見てるしかない人たちと、おんなじなんだ」
僕は、暗闇の校舎を見上げる。
「がんばれー!」
「使徒様ー!」
「爺さんたちもがんばれー!」
声を、上げている人たち。
「……僕も、できる範囲でやらないと――ねっ」
たぁん――びしゅっ。
「GUAAA――!?」
「あ、頭のコア、おんなじ場所に当たったからか破壊できた」
「ぐっじょぶ」
まぁあと何個もあるからまだまだだけどね。
【おお】
【思いっきしのけぞってる】
【あ、こけた】
【起き上がろうとしてるけど姉弟のハメコンボ再開】
【これは効いたな】
【さすがにハルちゃんのヘッドショットを数発当てられたら効くか】
【まぁ、思い出してみればハルちゃんも毎回ヘッドショットワンショットじゃなかったわけだしな】
【確かに】
【あー】
【ちょっとおかしい幼女とか女神してたインパクトで忘れてたけど、ちょっと成長しておっぱぱぱぱぱぱぱ】
【いいいいいいいいいい】
【が膨らんでででででで】
【たりしてたときでも、それなりに苦戦してたこともあったしな よし、数人で分担すればノーネームちゃんガードも突っぱぱぱぱぱぱ】
【草】
【えぇ……】
【お前ら……】
【なんでそこまでハルちゃんへのセクハラにこだわるんだよ草】
【ダメ】
【はーい】
【はーい】
【ノーネームちゃんごめんね、バカな視聴者たちが】
【草】
【ノーネームちゃんって優しいよね】
【神の怒りに触れて消し飛ばされてもおかしくないのにね……】
【ダメで許してくれるノーネームちゃんかわいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいいいいいい】
【怒】
【草】
【ノーネームちゃん、なんか楽しんでない?】
【無表情だけど楽しそう】
【なんだかんだノリが良いノーネームちゃん】
【みんな、ないないされる気なら、ちゃんとその後に備えた書類とか用意しておこうね?】
【草】
【緊迫感がまるでなくって草】
【ノーネームちゃんが援軍を待ってるからね】
頭以外のコアは、残りが7つ。
このペースで行けば良いから、このまま――。
――くらっ。
「……っとと」
「だいじょぶ」
寝不足からか、手の力が抜けて銃を取り落としそうになった僕を支えてくれる彼女が、言う。
少しだけ――少しだけ、うわずった声で。
「――えんぐん」
「きた」
そう言うと、ばさりと横に滑空してちょっとだけ遠くからみんなを眺める場所に移動させられる。
けど、
「援軍って……一体――」
――ばちっ。
空高くで――何かが、はじける。
「! アレク!」
「うんっ!」
ばっ、と、2人が飛び退いたその場所へ――。
「――――――――――うおりゃあああああ!!」
―――――――どぉん。
空高くから、青紫の雷が落ちる。
魔力がこもった、一撃。
普段は魔法で攻撃しない僕からしたら、相当に濃い濃度の魔法。
闇属性っぽい魔法。
「GAAA!?」
「アレク、大丈夫か!?」
「うん、でも攻撃……え、でも、これって――」
「――――――――――――――――えぇーい!!」
――ずぅん。
「GAAA!!」
追い打ちの雷で――合わせてふたつ、コアが消し飛ぶ。
「――――そしてもちろん、おいしいところは私が!」
――ひゅんっ。
鋭い銀の光が、空から落ちてくる。
「GA!?」
3度目の追い打ち。
――コアの残りは、4つ。
「……え?」
なんだか見慣れた気がする魔力と、声が聞こえる。
ぱたぱたぱたってノーネームさんに抱えられた僕は、校庭に降り立つ。
そんな僕たちへ、上からの声とともに、
「ふふんっ! ノーネーム様! ハル様の援軍、参上です!」
「ぐっじょぶ」
銀髪をなびかせる彼女が――イスさんごと滑空っていうか横滑りしながら綺麗な角度で急降下してきて――しゅたっと僕の前に降り立った。
【!?】
【ふぁっ!?】
【え? リリちゃん? え?】
【手と脚が長いリリちゃんより背が高くて、声が低めの人たち……?】
【あと、2人の美少女が……いや、まさか】
【まさか……いや、でも、これまでの法則的に……】
「………………………………」
援軍。
でも、さっきの子たちって……。
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