513話 校庭でキャシーさんに会った
ひととおり校舎を歩き回って……石の絶妙な重さとか丸っこさとか重心とか角張り方について解説して楽しかった。
けどもそのあとにみんながなむなむしてくるのが居心地悪かったから逃げてきたら、さっきまではそこまでじゃなかった規模のバリケードが出現していた。
「ほえー」
【ほえー】
【ほえーかわいい】
【かわいい】
【ハルちゃんかわいい】
【ハル様、大変愛いでございます……】
【なんか変なの湧いてて草】
【草】
【なーんかまた加わってるね】
【まぁ視聴者の数が数だし……】
【!!! 今さ、うちの高校で体育館の壁一面にスクリーンで映して鑑賞してるんだけど】
【草】
【草】
【それがどうした? 普通のことだろ?】
【うちの事務所も4Kモニターで見てるぞ!】
【なんの、うちはVRだ】
【草】
【草】
【ハルちゃん、ほえーっ言ってた瞬間、羽がちょっと広がってた!!】
【!?】
【ちょっと録画見直してくる】
【ふぅ……】
【ふぅぅぅぅぅぅぅぅ】
【草】
【羽の広がりで……上級者だな……】
【てかノーネームちゃんは?】
【カメラで見切れてるけどハルちゃんの真横】
【あー】
【いつも真横か後ろにへばりついてるからね】
【カメラさんは基本的にハルちゃんの向いてる方向or大きな音とか光だからね】
【あー、ハルちゃんがちょっと前に自慢してた最新の】
【ちょっと前(1年前】
【え? またまた……】
【本当だった……】
【もうだめだ……】
【草】
【俺ももう1年歳を取ったのか……】
【大丈夫大丈夫 40過ぎたら気にならなくなる】
【えぇ……】
【わかる】
【まぁハルちゃんに振り回された1年って考えたらむしろお得だから】
【草】
【なにが「むしろ」なのか分からなくて草】
【でも分かるかも……】
【わかる】
【ハル様……】
【ハルきゅん……】
【しっしっ】
校舎の出入り口を――なんていうかこう、要塞とかの張り出した部分みたいに固めて、その先にまた第二防衛戦、その外にってなってる。
バリケード?
すごく本格的でいいね。
ゾンビとか防げそう。
さっき見た限りだとゾンビ系は居なかったけど。
そんな中、机とイスで作った壁に乗っかってる赤髪の子を発見。
「あ、キャシーさん、こんなところに居たんですね」
「アル様! はい! みんなと一緒にバリケード作ってました!」
「私、ゾンビ映画とかでこういうのには詳しいの!」
「なるほど、いいですね。走らない系のゾンビさんなら大丈夫そうです」
「え゛!? ゾンビってタックルとかしてくるんですか!?」
「うん、この前見たドラマでは全力疾走してましたね」
「どうしよう……」
「大丈夫だと思いますよ。ここからさらにイスをこうやって反対向きにすれば、ある程度は」
まぁそもそも、ここが突破された時点でってことになるし。
突破は僕たちがさせないけども。
「! さすがアル様です!」
「そう?」
机の中に収納するように、イスを立て掛ける。
これで――はぐれモンスターの突撃は、ちょっとはなんとかなるかもね。
【草】
【かわいい】
【かわいい】
【キャシーちゃんってボケ担当だったっけ?】
【さぁ……?】
【言葉分かったのつい最近だしなぁ】
【ハルちゃんはそれとなく天然、キャシーちゃんも純粋でボケの連続か……】
【ノーネームちゃんは?】
【ハルちゃんが何か言えば全肯定だから……】
【リリちゃんは?】
【クンカーな全肯定だから……】
【草】
【子供たち全員全肯定だし変わんないだろ草】
【それはそう】
「でもゾンビとか実際に居たらヤですよねぇ」
「ゾンビ? んー……ダンジョンの中で腐ったやつは臭かったですね」
「え゛……あ、ホンモノのゾンビ、居るんだ……」
「はい。やつらはとにかく臭いので、遠くから一撃でをおすすめしますね」
「臭いのはやですもんねぇ」
「臭いのはやだもんねぇ」
「体液とか飛びます?」
「うん、飛び散る」
「臭いです?」
「くさいかな」
「やですねぇ」
「やだねぇ」
【草】
【草】
【かわいい】
【かわいい】
【キャシーちゃんとハルちゃん……なんか波長合うっぽい?】
【なんか絶妙に合ってるな……】
【なにこのかわいいいきもの】
【ハルちゃんっていうの サキュバスロリより数千歳年上だけど、似てる雰囲気を醸し出すよ】
【草】
【あー、キャシーちゃんは現代の合衆国っぽい出で、ハルちゃんは現代でぶらり温泉の旅するほど馴染んでる女神様だし、現代っ子って感じの共鳴現象か……】
【あー】
【ハルちゃん、ナチュラル過ぎてつい忘れがちになるけど数千歳の女神様なんだよねぇ……】
【しかも古代文明のなぁ】
【フランクすぎる女神様で草】
【ま、まぁ、それが現代の女神ってことで……】
【現代の神話だからな!】
――きぃんっ、きぃんっ。
「おー、やってるね」
「はい! みんながんばってます! ……私は怖いからバリケード作ってます!」
「キャシーさんも普通に戦えてましたけど……怖いなら後方支援、がんばってくださいね」
「はい!! いざってときは守ります!」
キャシーさんは他の子たちよりちょっと苦手な程度だけど、モンスターとは普通に戦えるし戦闘経験自体は同じくらい。
うん、突破されたりされても内側で対処できる人が居ると安心だね。
でも、そうさせないためにも僕も戦いたいんだけど……。
「んむ」
「分かってますって」
……真横で、服を引っ張ってるノーネームさんが居るからなぁ。
何が心配なのか分からないけど、やたら張り付いてくるし。
ほんと、まだちょっと眠いからかだるい程度だし、何ともないのにね?
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