506話 お爺さんのお孫さんは変
「とりあえず来ましたけど……なんで拝んでるんですかおじいさん」
「なんまんだぶなんまんだぶ……」
「あ、僕、特にそういうの興味ないので」
「ないない」
【ひぇっ】
【ないないやめて!!】
【草】
【あー、そういやハルちゃんは崇められるのとか好きじゃないもんねぇ】
【ハルちゃんは何も気にしないところが良いんだ……】
【わかる】
【始原一同もそう思います】
【私もそう思いますハルきゅんの!!】
【私もハル様への愛では負けません!】
【草】
【草】
【始原? ちょっと静かにしてもらえる??】
【今はお前たちの大切な爺さんの大切な場面だからな?】
【草】
【あ、ちなみに爺さんは?】
【「儂のあの場面が全世界に……!」って悶えてる】
【爺の赤面とか見ても……】
【私、ハルきゅん以外はゴミにしか見えないから……】
【草】
【草】
【ちゃんとAED貼っつけたげてね?】
【そうか、爺さん、よりにもよってハルちゃんとの出会いを全世界生中継されてるのか……】
【そら恥ずかしいわな】
【爺さんの心臓の強度が試されるな!】
ノーネームさんとジャッジメントであらかた吹き飛ばして――落っこちた姉弟は、無事遠くの方で走りながらモンスターたちを倒していて。
あ、そういやイスさんは別の場所にポップしててリリさんとキャシーさんはそっちかな。
……いつのまにイスさんから降りたんだろう、僕。
目が醒めた瞬間にはノーネームさんが手を握っててくれたから、彼女が僕を捕まえながら飛び降りたんだろうけども……。
「それで、今どうなってるのか聞かせてもらえます? ……あ、や、違うから、だからお腹とか切ろうとしないで――」
◇
「――失礼仕りました。死を覚悟しての吶喊の寸前で御身に救われ、思わず……」
「ローテンションと無口、白と黒、金と赤の対になるデザインな双子の女神……我が道場の守り神にすればバズること間違いなしですお爺様!!」
「孫よ……不敬だとは思わんのか……」
「息子の世代では神社へ行くときも敬虔な気持ちになる割合は低いですからな……武道をやっている息子でこれですし」
「うぬ……今どきの、とは言いたくないが……」
「いえ、大丈夫ですお爺様、お父様! 僕には分かるんです……この方たちは敬いすぎると嫌がるタイプの上位存在だと! ですよね金髪ロリっ子な方の女神様!」
「そうですけど初対面で金髪ロリっ子って言われたのは僕の人生で初めてですね」
「いやぁ照れますね!」
【草】
【草】
【キャラが濃すぎる】
【えぇ……】
【この男……やるな……!】
「では僕の首で許していただけますか?」
「そんなの要らないので、笑いながら自然にナイフ首に立てないでくださいねお孫さん」
【ひぇっ】
【こいつ……ノーモーションで首に……!】
【ちょっと切れてる! 切れてるぅ!】
【こわいよー】
この人……前の僕よりもちょい若い感じのいかにも好青年な人。
……ちょっと怖いかも。
えみさんみたいにセクハラしてくるわけでもなし、るるさんみたいに抱きついてくるわけでも九島さんみたいにじとっとしてくるでも、リリさんみたいにすんすんしてくるわけでもないのに……なんだろう、この恐怖感。
え?
これがあのお爺さんのお孫さんなの?
【悲報・爺さんの一族、やばい】
【お孫さんの理解度が高すぎる】
【これが命を救われた直後の発言か……】
【すげぇな、いろんな意味で】
【むしろ爺さんが1番まともで困る】
【それな】
【始原の中身は……あれでもまともな部類だったのか……】
【そうか……やばすぎるのは始原にもなれないのか……】
【草】
「ないない」
【そうだって】
【草】
【ノーネームちゃんが見てる】
【見ててくれて助かる】
……まぁこの人のことはほっといて、話を戻そう。
「……そうですか。じゃあやっぱりここはあの日――の、次の日。ちょっと戻って来た感じですか?」
「かんじ」
確か、ビビさんとリリさんを預けたあの世界は、みんなによると僕たちの世界の欧州の「あの日」。
で、そこで何日か過ごしてからまたないないされて……その中で熟睡したあと目が醒めたから、合わせて1週間くらい?
んで、ここはお寿司と侍の国の、僕の住んでた生活圏ぎりぎりなご近所さんで、あの日の次の日なんだとか。
「……まぁいいや。僕、細かいこととか気にしないし」
「ないない」
どうせノーネームさんがぜんぶ分かってるんだから、別に理解しなくていいよね。
この子、どうせなんにも教えてくれないで投げ出してくるし。
僕は無駄な努力はしないタイプなんだ。
必要なのと好きな努力はいくらでもできるタイプだけども。
【草】
【草】
【ハルちゃんだもんな!】
【本当にこの女神様は……】
【お酒と人を守ること以外は本当にどうでも良いのがハルちゃん】
【あと石だぞ】
【ご本もな】
【ああ、いい感じの石も大切だよな!】
【石の奉納はほどほどにお願いします うちの倉庫が石で埋まってます】
【あの 本の方は簡単に床とか抜けるので、できたら<URL>へ電子で寄贈してくれますと……(十数棟崩壊】
【草】
【草】
【あー、本もかぁ】
【個人でも本棚ばっかにするとある日突然床が抜けるから気をつけようね】
【そうか……お酒と石よりも本の方が重いのか……】
【この配信に居座ってると余計な知識ばっかり身につくな……】
【ハルちゃんの配信だからね……】
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