466話 自動落下装置完成
「くぴくぴ……ぷはっ。 今何層なんでしょう」
「全20層の中の19層です!!」
「ありがと……元気ですね、リリさん」
「はい! なにしろ1年間すっ飛んだので!」
「そうですか」
「はい!!」
【リリちゃん……】
【リリちゃんがぶっ壊れた】
【一時期のるるちゃんみたいになってら】
【あー】
【ちなみにるるちゃんたち前衛部隊は現在5層、えみちゃんたち中衛は4層と、集団としてはなかなかのペース】
【全員初心者、かつ民間人の部隊にしては相当速いよな】
【いくらハルちゃんたちが強いのは倒してくれてるとはいえ、初心者未満の初心者たち……しかもダンジョンについて知識ゼロだしな】
【すごいよな】
【るるちゃんキャシーちゃんたちがいろいろ教えながらで、みんなの息が切れないような速度ってことは早歩き未満、しかもお手本見せながらの戦闘挟んで まぁ普通に歩く距離分以上の時間はかかるよね】
【ダンジョン潜りなら誰しもが通ったはずの初心者講習だと思えば上出来だな】
【学校のダンジョン遠足とも似てるな】
【おかしい……俺にその記憶はない……】
【あの日から数年経ってから開始されたからな】
【しかも当初は高3限定だったしな、成人ぎりぎりの】
【つまり、俺たちはもうおじさん……】
【あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛】
【私たちも……おばさん……】
【いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!】
【大丈夫、それより上の世代からすれば、あんたたちなんて小娘よ】
【男もそうだぞ、そもそも子供からすれば20超えてりゃみんなおじさんおばさんだ】
【さらにダンジョン潜りかダンジョン由来の高い野菜とか食べたら老化も遅くなるしな!】
【※ただし若返るわけではないので失った毛根は復活しません】
【いいんだ……稼いでいれば頭が涼しくたって……うぅ……】
【シワもシミもね……戻りはしないのよ……】
【みんなは若い時代を堪能なさい? 今が大切なのよ?】
【分かりました……!】
【ありがとうございます……!】
【草】
【コメント欄が妙に優しい】
【すごく良い雰囲気だ……】
【みんな、この苦しみを知っているからな……】
【視聴者の心が……今、ひとつに……】
さて。
さすがに最後の方――19層にもなると、敵も歯ごたえ満載。
普通にドラゴンさんの弱い版――ワイバーンとかだっけ?――とか数匹単位で出てくるし、素早いのとかでっかいのとか、もうわんさかとあるし。
「ガァァァァァ!!!」
「もー、休憩中なんですから静かにしてくださいって……えいっ」
ひゅんっ……どぉぉぉぉん。
「ガァァァァァ!??」
「キャイィィィン!?」
「おー、吹っ飛んで落っこちてる」
「おちてる」
「やっぱり下層は上級者ダンジョン相応ですから、爆発罠の破壊力もすごいですね」
「すごい」
「たーまやー」
「かーぎ、やー」
「おや、知ってるんですかノーネームさん」
「むふん」
【かわいいいいい】
【かわいいいいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいいいい】
【はいはいかわいいかわいい】
「すんすん……かわいい……すん……かわいい……かわい゛い゛……」
「リリさんは嗅ぐかノーネームさん愛でるかどっちかにしましょうね」
僕たちは休憩中――ただし、ちょっと疲れたから高台で。
この階層に来て、広い部屋見つけて、んで飛行系だけ排除して、大きめのくぼみで、リリさんに後ろから抱きつかれてすんすんされながら。
リリさんの暖かさと柔らかさと匂いが懐かしいね。
で、定期的にわんさかと集まってきて下できゃんきゃんうるさくなってくるから、そしたらあっちこっちにある罠を適当に起動して排除の繰り返し。
今回はかなり貯まって……っていうか、この部屋全体にみっちみちになってきてたから、お馴染みの爆発罠と落とし穴の罠を起動してさよなら。
あ、これ、モンスターでいっぱいの部屋だったから罠も多いのかな?
「やっぱ石って良いですよね。 コスパ的には紛れもなく最強ですし」
「さいきょう」
「罠とかは踏めば起動する程度の威力しか、起動に必要じゃないですし……もう全部石でいいや」
「さいきょう」
「すんすんすんすんすん……最強です!」
「さいきょう」
【草】
【トリプルボケかわいい】
【ツッコミ不在の恐怖】
【これで、おそらくはこの時点の地球で最強戦力なんだぜ……?】
【あの、リリちゃんが本当にやばいんですけど】
【1年分だ、たんと嗅がせておやり……】
【草】
【懐かしい地獄絵図】
【モンスターしゃんたちが燃えながら穴に吸い込まれていくね】
【かわいそう】
【かわいそう】
【地獄とはこのことだよね】
【てかこのダンジョン……殺意高すぎない??】
【確かに】
【ハルちゃんですら、1体倒すのに10発くらい弾が必要になってるし】
【それな】
「れいがい」
「? なにがですか?」
「あ、アル様、次の瓶です!」
「ありがと、リリさん」
ワインを飲み終えたタイミングで、珍しくノーネームさんが説明しようとしてくれている。
僕はそのまま後ろから渡される瓶を受け取り、空の瓶をぽいっと投げ捨てて。
ひゅんっ……ぱりんっ。
「で、なにが例外なんですか?」
【うわえっぐ】
【草】
【なぁにこれぇ……】
【もしかして:ハルちゃん、ちょいおこ】
【ノーネームちゃんがしゃべろうとしたら下で騒ぎ出した、新参のモンスターたちだからね……】
【ハルちゃん、今ちらっとしか見ないで投げた瓶に石ぶん投げて命中させた……?】
【あーあ、瓶の破片で体撃ち抜かれて、そのまま穴に吸い込まれてく……】
【グロ】
【大丈夫、結晶になるパターンのダンジョンだから】
【良かった……本当に良かった……】
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