326話 そろった4人
「………………………………」
「えみちゃん……」
「え? なに? どうしたの? るる」
【ま、まあ、やらかし具合ではマシな方……?】
【※寝言で「ハルたん」呼びしてやべーこと言ってました】
【もうだめだ……】
【草】
【えみちゃん……】
【大丈夫、1回離れた女性ファンたちも結構戻って来たから】
【「すっごく幻滅したけど、むしろ逆にお姉様がかわいいかも」って】
【欠点もスキもなかったのが特大のができたからな……】
【「えみお姉ちゃん」から「やべー女」とか「おもしれー女」になって、1周回って「えみちゃん」に戻ってな……】
【しかも「えみちゃんがロリコンなら自分も……?」って年下の女子層が分厚くなったらしいぞ】
【えぇ……】
【えみちゃんの周り、やべー女しかいなくて草】
【草】
「あら、なんだか暗いですが、ここがないない先……?」
さらに現れたのは――。
【くしまさぁん!!】
【くしまさぁんが!】
【朗報・くしまさぁん降臨】
【良かった、ちゃんとストッパー居たわ……】
【爺はアレだしえみちゃんもアレで、るるちゃんはハイライトオフになるもんなぁ……】
【草】
【大丈夫? くしまさぁんの胃】
【治癒魔法でなんとか……】
【ああ、救護班のお仕事がよりにもよって自分の胃痛とは……】
【この状況で責任重大すぎるだろ……】
【nai-nai error】
【reboot…】
【マッテテ】
【あらノーネームちゃん】
【エラー?】
【ないないってリブートできるんだ……】
【草】
【かわいいいいいい】
【かわいいいいいいいいい】
【かわいいいいいいいいいいいいい】
【草】
【あーあ】
【ないない中にないないされるとは……】
「……どうやら、この状況はイレギュラーのようじゃな。 というよりも、お主ら」
「るるさんのメンタル面を考慮しまして、私の独断で会長を追わせていただきました。 るるさんの体調管理と治療に関しては一任されていますので、問題ないかと」
寝ぼけることもなく目を覚まして会話に加わり、事態を把握する前にスマホを開き、コメント欄でのノーネームからの「エラー」というワードを飲み込んだ、ちほ。
彼女はるるとえみの前に出ると、静かに頭を下げる。
「しかし、こうして――」
「良い。 というよりも、今の儂はただの爺よ。 何の権限もありゃあせん」
「それでも、帰ったときに『元会長』の声はるるさんたちを守ってくれるでしょうから」
しれっと「帰ったら自分たちを守れ」と老人に言いつつ、コメント欄を盗み見ている彼女。
【くしまさぁん is goddess】
【さすくし】
【素敵】
【やっぱくしまさぁんだよな!】
【そうだよ、最近足りなかったのはこれだよ】
【くしまさぁん……どこ……ここ……?】
【ああ、ここだ……たっぷり補給しろ……】
――コメント欄は、配信機材で表示されているのね。
なら、本当にこの空間は「ないない」中にエラーで?
彼女はそう思考するも、答えは出ない。
「とりあえず、じゃ。 お主らは、ハル様のために」
「……うん。 待っているのは、もう限界だったから。 ……です」
「主治医にも、るるのメンタルは……これ以上は厳しいと言われまして」
「治癒魔法はメンタルにはそこまで効果がありません。 数人で交代でかけ続けるか、精神安定剤に頼るというリスクを冒すか――いっそのこと、こうして飛び込むかしか、ありませんでした」
「ええ、待つのにも限界がありますから。 ……あんな状態のるるは、もう、見ていられなかったんです。 配信でリアルタイムで見られるのに、ハルに触れられないというもどかしさは危険だと、ちほと話し合ったんです」
老人は――彼の地位や功績と残りの寿命を照らし合わせた対価として情報を得ようと「特攻」した先に、うら若き少女3人が「彼」に会わんとし、若さゆえの無鉄砲さでしでかしたことを知る。
「……あい分かった。 帰還した暁には、儂らの全てを使ってお主らを守ろう。 ……のぅ? 遺してきた、お主ら?」
【御意に】
【ハル様のためにもなると愚考しますれば】
【ハル様なら絶対「気にしないで良いよ」って言うよねー】
【人に優しいのが、ハル様ですから】
【まぁ、もうどこの政治家も軍も逆らえなくなってるからね♥】
【大体のとこの大一政党から第三政党くらいは制圧済みだよ?】
【始原が怖い】
【こわいよー】
【じょばばば】
【狂信者のことはそっとしとけ】
【それが良いと思うよ】
【姉御も良いと思う!】
【草】
【姉御ォ!】
【姉御が癒やし……】
ものすごい勢いで流れるコメントに、思わずで笑みを浮かべる、るる。
【!!!!】
【るるちゃんが笑った!!】
【るるちゃんの笑顔……】
【ハルちゃんが居なくなって以来だな】
「……そう、かなぁ」
ほっぺたをぐにぐにとするも、正気で無い時間の方が長かった彼女はいまいち分からない様子。
それを見たえみは顔を背けて喜びに浸り、ちほは静かにほほえむ。
「……で。 これはどういう状況なのでしょうか」
「なんでも、ないないエラーと言うことじゃ」
「ぶふっ」
――しん。
その吹き出した声の出処に、逡巡する老人。
「……今のは、ちほちゃんが」
「九島です」
「でも」
「九島です」
「今」
「治癒魔法の他にAEDを持ち込んでいるのは私だけですが?」
断固として強引に固めた無表情で返すちほ。
【草】
【くしまさぁん!?】
【くしまさぁんが吹き出したの!?】
【どうやらそのようだな……】
【何それ素敵】
【普段から冷静で的確で、ザ・委員長なくしまさぁんが……実は笑いに弱いとか】
【何そのギャップ】
【かわいくない??】
【かわいい】
【やはりくしまさぁんは女神……】
【ハルちゃんとどっちが?】
【ハルちゃんは女神(物理)だから……】
【女神(種族)だからね……】
【存在が女神なのと、心が女神なのと……どっちも居て良いんだ】
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