２９０話 お風呂でのんびり
こちらは本日１話目の投稿です。
◆◆◆
【H-ARU】
「～♪」
【H-ARU】
【キイテ】
「♪ ……あ、僕のことですかそれ」
やっぱり湧いてた温泉。
いつでもどこでも湧いてるね。
今日のはちょっと狭くって、壁の中の亀裂から漏れ出てるお湯を僕たちでせき止めてなんとか肩まで浸かれる感じだ。
でも、こういう手作り感って素敵だよね。
だからダンジョンでのキャンプは楽しいんだ。
今はさらに、みんなも一緒だから。
ひとりも楽だけども、たくさん居るとそはれそれで楽しいね。
「それで、どうしましたか？ ぎゅって掴まれるの、イヤになりました？」
【拘束】
【♥】
【no】
【problem】
【草】
【いきなりなに言ってるのノーネームちゃん……】
【ノーネームちゃん……お前……】
【とうとう子供たちにむんずってつかまれるのがクセに……】
【表情変わらないから分からないけど、喜んでたのか……】
【どうしよう、かなりの上級者だぞノーネームちゃん】
【巨大ロリショタ（自分比）から、適度に乱暴に掴まれる喜びか……】
【えぇ……】
【圧迫趣味はマズいぞノーネームちゃん！】
【その発想に至るお前らの方がやばいぞ？】
【草】
いつも通りに……お風呂で浮かべてなんとなくでつついたりして楽しむ、アヒルさんみたいな扱いになってるノーネームさん。
今夜のノーネームさんは玩具に甘んじることなく、子供たちが水鉄砲で遊び始めたのを尻目にじゃぶじゃぶって泳いできた。
ちなみに今のノーネームさんは、やっぱり小さいお人形さん。
頭と体が同じくらいのサイズで、いわゆるちびキャラな見た目。
僕のファンアートとかであったみたいなデフォルメ具合を、カラーリングだけ変えて、あとは羽をカラスの羽みたいにして。
お胸は形だけ、おまたはすっきり、完全に女の子な体つき。
まさに女の子が好きそうな着せ替え人形だね。
かわいいし。
表情が固定なのはちょっと残念だけども、一応目は動くからなんとなく意志は伝わる。
ぴこぴこって、文字も飛ばしてくるし……やっぱりなぜか１文字から数文字の短文だけども。
【↓】
【階層】
【↓↓】
【階層】
【BOSS】
「……んーと、次の次の階層がボス、でしょうか」
【YES】
「そうですか、ありがと」
【♥】
【歓喜】
【ちょろいノーネームちゃん】
【まぁ３８階層だしな、ここ】
【ハルちゃん、途中でカウント忘れちゃってるけどね】
【で、３９階層は昼間に落とし穴から攻撃したからさくさくと】
【あー、明日に４０階層行けるのね】
【気が利くノーネームちゃん】
【勿論】
【フンス】
【かわいいいいいい】
【ノーネームちゃん！ さすがに普通に褒めるのは良いでしょノーネームちゃん！！】
【ダメ】
【恥】
【///】
【草】
【かわいいいいいい】
【かわいいいいいい】
【お前ら……】
【良いのか？ じじいと一緒になるんだぞ？】
【それはそれで】
【俺はノーネームちゃんの言ってること信じてるから】
ひとりごとを言うときのノーネームさんは、ぴこぴこってする文字をこっちに向けようと意識しないからか、いろんな角度を向いてることがある。
反対側ならまだしも、横とか向かれると全然読めないんだ。
アクリル板に書いた文字を回転させる感じかな。
今、何ぶつぶつ言ってたんだろうね。
ちょっと興味はあるけども、ひとりごとって１人で言うからひとりごとってもんだし、ジャマしちゃ悪いから見ないどいてあげよっと。
僕に伝えるだけ伝えたノーネームさんは、ぴこぴこぽつぽつと出しながらばしゃばしゃ泳いで子供たちの方へ戻っていく。
ノーネームさん、本当に子供たちのことが好きなんだ。
そう思うと、なんだかノーネームさんもかわいいね。
「けど、そっかぁ……また強いのかなぁ」
ふぅ、ってため息が出て――僕は、おちょこをぐいっと傾ける。
「ぷは」
【ハルちゃん、まーたお風呂中におしゃけ飲んでるよ……】
【ま、まあ、ザルだから……】
【今日はマイク、近くに置いてくれてるんだね】
【俺たち歓喜】
【水の音がな 妄想を炸裂させせせせせせせ】
【あーあ】
【草】
この前は、２０階層のときは……確か、でっかいライオンさんと鳥さんだった。
どれも、何回か攻撃しないと倒せないやつらで、モーションも数が多くって新鮮だった。
「このダンジョン……歯ごたえがあって楽しいなぁ」
【ひぇっ】
【ウォーモンガーハルちゃん】
【殺戮の天使って言ってたのが本当になってるんだよなぁ……】
【やはり人外の片鱗は最初のころから……】
【あのころ冗談で言ってたのが、ことごとく本当になってて笑えない】
【あのころはまだ平和でしたねぇ……】
【ああ……】
【ノーネームちゃんもまだ「呪い様」ってててててて】
【！？】
【あ、ごめんごめん、手が滑った】
【脅かすな！！ ばか！！！】
【草】
【そういやそうだったわ、ノーネームちゃん、呪い様って呼ばれてたんだよなぁ】
【まだるるちゃんに取り憑いててなぁ】
【……そういやさ、えみちゃん 最近配信しないよな……？】
【そういやそうだ】
【まぁダンジョン、封鎖されちゃったし】
【ハルちゃんがいなくなって、るるちゃんが闇落ちしてからは雑談配信とかもなくなってるしなぁ】
【たまには元気なるるちゃんで癒やされたい】
【分かる】
【たまにはえみお母さんに甘え……られないんだ、もう……】
【草】
【ああ、よりにもよって、あの母性溢れてたえみちゃんがまさかの幼女趣味があるって……】
【やっぱりあのころは良かった……】
【ああ……】
【るるちゃんはただの不幸体質で、えみちゃんは母性で……】
【ああ……】
【るるちゃんはしょうがない でも、えみちゃんは……】
【俺たちサイドの存在だって分かっちゃってるからなぁ……】
【草】
【ま、まあ、かえって親近感すごくなったから……】
【「ハルたん」とかぽろっと言ってくれたりするしな！】
【草】
【えみちゃん……おかわいそうに……】
【るるえみの次の配信、いつになるんだろうなぁ……】
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