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【2巻予約受付中・25/10/20発売】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~  作者: あずももも
3章 るるさんとコラボ 2人はるるハルって良い響きだね

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28話 女の子の買い物って長いよね

「ハルちゃん! 配信ではもっとおしゃれしないと!」


るるさんが、今日も元気に叫ぶ。


「いえ、でも顔出しとかしませんし」


僕は、元気なくつぶやく。


「それでも私とコラボするんだったらお手々とか足とかちらちら見えるの! だからかわいいの着るの!!」

「はぁ……」


そんな感じで、ベッドででろーんってしてた僕はいつの間にやらモールの中。


女の子の買い物欲ってすごいね。

僕なんか本屋くらいしか楽しくないよ。


あ、でもアウトドア用品とか文房具とかホームセンターは楽しい。

まぁいいけどね、なんかこういうの新鮮だし。


今日もいい感じに隠蔽効かせてるから、男だったときくらいしか見られないし。


そうじゃなかったら?


金髪ロングで蒼い目でスカートな幼女だよ?

そりゃあ見られるよ?


ていうかたぶん、本場でも珍しいくらいつやつや金髪だし、本場でもじろじろ見られるよね。


「これもどうかなー?」

「ハルさんにはこっちの方が……」


けども……この子たち、なぜかあの配信の後から妙に引いてる感じがある。


なんていうか……ご機嫌うかがってるっていうか?


腫れものってまでは行かないけども、これまでのぐいぐいさ加減がちょっとおとなしめ。

そんな感じ。


だからワンテンポっていうかワンクッション置いて、僕を着せ替えてくる。


結局着せ替えられるにしても、過程で何10回も着替えるのと何回かとは別物。

だから待つあいだは、適当なところでだらんとしてたらいいっぽい。


これなら母さんの買い物の荷物持ちよりは楽かな?


……あ、次に実家に帰ったら僕、母さんの着せ替え人形だったね……うん、もう諦めよう……。


「ハルさん、このあとは」

「本屋さん」


「……でのお買い物のあとは」

「帰りますよ?」


「もう少し見て回ったりとかは……」

「いえ、めんどくさいですし」


るるさんとえみさんはサングラスとかメガネに帽子とかっていう「ザ・お忍び」な格好で、さらに僕とは話すとき以外には離れてる。


たぶん、通りがかりの勘のいい視聴者さんに二人がバレたとき用のなんだろうね。

今日の僕も、シャツにズボン、九島さんとお揃いのポニテっていう格好になってるし。


ぱっと見で「男の子かも?」って思わせられるようにしてるんだって。


効果がどのくらいかはわからないけども、髪の毛そのままでスカートよりはずっと楽。

隠蔽スキル起動しとけば僕って認識されないんだけど……まぁいいや、せっかくやってくれてるんだし。


実はスパイもとい公安さんの手先だった九島さんは、私服もマジメ系でいつも通りのポニテ。


この子と一緒だと気が楽。

ぽつぽつって感じでしか、しかも世間話くらいしかしないからさ。


「あ、ハルさん。深――るるさんたちが服を選んだって」

「じゃ、ちょっと行ってきます」


そんな彼女は、僕の警護と2人との連絡役とですっかり秘書さん。


この子もさりげなく属性多いよね。

委員長さんで保健委員さんで秘書さんって感じ。


多才だね。





「……ハルちゃんっていつも電子書籍で読んでなかった? 本……」


「だって家から連れて来られましたし」


「ハ、ハルさん、お願い……一応は同意の上ということになっていますから……」

「あ、ここ外ですからね、わかりました。普通に紙の本も好きなだけです、読みやすいですし」


あー、「連れて来られた」とか警備員さんとかに聞かれたらまずそうだもんね……特にヘンタイさんなえみさんは。


女の子同士だし、まずないとは思うんだけども……そこはそこ、きっとやましいことがあるんだろう。

しょうがない、ここは男として理解を示してあげよう。


さて、そんな僕は手ぶら。


周りでぶらぶらしてる……ように見える演技してる、私服の護衛の人たち。


彼らのことは『ハルちゃんの荷物持ちにでも、なんでも使っていいよ!』って言われたから、遠慮なく買ったのを持たせてるから楽ちん楽ちん。


買った本、20冊くらいかな?

男の力でも、ずっと持ってると疲れてくる量だね。


もしOK出るんなら、この人たち連れてホームセンター行きたいね。


「この体じゃ帰るころにはへとへとになっちゃいますから、助かります」

「え、ええ、みなさん、このくらいは平気だと言っていますし……」


まぁ魔力で筋力強化すればへっちゃらなんだけども、これもやっぱりみんなの気遣いを受け取っとく。

そもそも、その魔力がすっからかんになったから、こうして面倒見てもらってる面もあるし。


魔力が普通にあったら?


――そもそもるるさん助けたあとにどかーんってなって、気を失いかけてついうっかり定期券入れなくしたりしないし、そんで追跡されて発券されて捕獲されることもなく、今までどおりにひとりで気楽な独り身ダンジョンライフ満喫してたね。


ああ、そうであってほしかった……まぁ、今のにぎやかなのも、悪くはないけどね。


で、本屋に突撃してひたすら新刊集めてた僕は、女の子3人からはちょっと引かれてる感じ。


僕に服を勧めてくるときとはまたちがう種類の引き具合。

なんとなくそんな感じ。


分厚い専門書とか買ったのもあるんだろうけども……君たち、服屋に何軒も行って、3時間くらい使ってたよね……?


それに比べたらすっごくマシでしょ……?

え、ちがう……?


ま、この子たちの世代じゃ紙の本をたんまり買い込むってのは少なくなってるだろうから、珍しいんだろう。

そうしてささやかに受ける、世代間ギャップと僕の実年齢でのダメージが。


「けど、そっか。ハルちゃんって元々はおと――あわわ、とにかくそうだったから、こういうところが大変なんだ」

「ですね。特に、背の低さが致命的です」


「私たちは産まれたときから女ですからね。背が低かったり力がないのには慣れてしまっていますから……ダンジョンに潜るため鍛え始めてからは、むしろ楽になったくらいですけど」


「ですよね」


「それであんなに筋力……いえ、何でもないです……」


あ、家のドアがもげてたのってえみさんの馬鹿力らしいね。

ヘンタイ筋肉さんとか、もう対処法ない気がする。


「!!!!」


「帰ってからですよ」

「わかりました!」


「えみちゃん……」

「犯罪はやめてくださいね……」


一時期、『えみちゃんが人としての道をまちがっちゃう前に、ハルちゃんとお別れさせる……?』って、えみさんのこと大好きなるるさんから深刻そうに相談された。


うん……心配だよね……面倒見のいいお姉さん的な人が、ある日を境に幼女見て豹変したんだから。

もはや洗脳したレベルで豹変してるからね。


実際、無自覚で――この体の特殊能力的なので洗脳とか魅了とかしてそうで、ちょっぴり罪悪感。


でもこれ、たぶん、いや、ほぼ確実にこの子の本心なんだよ……怖いことに。

幼女への欲望のすべてにおいて具体的すぎて、男の僕でもドン引きするレベルでね……。


僕、忘れてないよ?

九島さんに簀巻きにされてもぞもぞうねうねして奇声上げてたの。


あ、でも足でつんつんすると反応するのは楽しかった。

またつんつんしたい。


で、僕も男だから、ちょっとは性的嗜好に対する理解はあるってことで『もしえみさんが襲ってきたら全力でぶっ飛ばしていい』っていう約束だけもらっておいた。


正直、女の子に襲われるって時点で、僕的にはご褒美なんだけどね。


だって男だもん。

男なら誰だってそうだよね?


けどもそれはそれ、えみさんの人生を捻じ曲げたくはないし。


すでに捻じ曲げた可能性については……うん、僕以外の幼女にやらかすよりはよかったんじゃない……?


僕ならもし剥かれたりおさわりとかされたりその先をされたりしても、トラウマどころかご褒美。

僕の心は男だもん、おっきい美人さんに……ってのは誰しももうそうしたことはあるよね。


まぁこんな本心は言わないけども。


僕だって、ドン引きされるのは嫌なんだ。

ドン引きされるならひとりでしてね、えみさん。


「……でもハルさん、そこまで女性ものに抵抗、ないんですね」

「うん? はい、肉体的には女の子――っていうか女の子以前っていうかですし」


たくさんの紙袋に入った僕の新しい服もまた、護衛の人たちが持ってくれている。その中には当然にぱんつとかキャミソールってのとか、ワンピ――じゃない、ワンピースとか、スカートとかふりふりなのとか。


アクセ――アクセサリーね、アクセサリー……とかが入っている。

それも、女の子視点で『かわいい』のが。


僕はどうでもいいけども。どうでもいいから全部を任せたんだ。

僕が権利を主張するのは、どうでもよくないことだけなんだ。


「単純に服装に興味がないからってだけな気がしますね。僕としてはシャツだけでも――」


「それは駄目です」

「それはダメー!」

「是非に! ……うぅ……ダメです……」


素直なのだけが取り柄なえみさんは、ものすごく落ち込んでいた。


……えみさんだけのタイミングで、シャツ1枚っていう私服にしてみよっかな。


えみさんもロリコンさんで幸せ、僕も楽な格好で幸せ。


万が一僕が襲われてもそれはそれで……あ、えみさんの人生のことがあるからダメかな。


やっぱり、ちょっと残念。





「コラボって言うくらいだから、お揃いの服だよね! 髪型とかも!」


「え、でもダンジョンの中で配信するんですよね? 通りすがりの人に会ったとき、服見られたら僕ってバレるんじゃ?」

「……あ゛」


ダンジョンの中ってのは、基本的には他の人とかグループとすれちがうことはない。


ダンジョンの規模にもよるけども、なにしろ1階層ごとが広いんだもん。

しかも通路はことごとくに迷路仕様で、みんなが集合する大部屋も多くはない。


入るタイミングもばらばら、みんな攻略ペースはちがうって具合で……しいていえば、フロア同士を繋ぐセーフエリアな階段だけはみんなが通ることになるわけで、だからそこで休憩とかしてるときくらい? 


けど、よっぽど小さいか人気のダンジョンじゃないと、そうそう人と会わないかな?


あと、今どきはみんな配信しながらだったりするからお互いに映るとトラブルになるってことで、近くになるとお互いのリストバンドで位置情報がわかって「顔映っちゃってもいい?」って自動リクエスト送信機能付き。


いつもの僕みたいに「絶対にNO!」って送ると、いい具合に姿が見えないすれ違いができるから、とっても便利な世の中。

僕は最初からNOの設定だから意識したことはないし、そもそも隠蔽スキルあるから見つかることはないし。


けども、るるさんたちは人気すぎる。


配信中って、普通は『どこのダンジョンの何階層攻略してます』って言いながらだから、追っかけのパーティーの人たちが何組かはそばで見てるって感じらしい。


まぁ多くなってきたら適度に追っ払うらしいけども――つまりは顔を隠したほうがいいっぽい僕とは、相性が最悪なんだ。


「……コラボぉ……うぅ、はじめてのコラボぉ……」


「僕は別にいいんですけどね。隠蔽スキルで顔とか覚えられないようにはできますし。でもバレますよ? こんな幼女が僕だって。配信中に。騒ぎになりますよ? ほぼ確実に」


隠蔽スキルで完全に隠れたら――うん、たぶんカメラで映っててもみんなの意識に昇らなくって、実質的に消えてるのと同じになるかな……それじゃコラボの意味ないよね。


「僕は、顔バレとかどうでもいいんですけど……」


「公安――こちらとしては、警護の難易度が変わりすぎるので、できれば……」

「ってことなので」


「ごめんなさい……私も、そのことが抜けていたままにコラボの許可をしてしまいまして。るるが嬉しそうだったのもあって、確認作業を怠って……」


「僕は気にしてないですよ、えみさん。けど、どうするんですか?」


僕とお揃いで着たかったらしい――ふりふりな、買ったばかりの服を抱いて絶望なるるさんと、実に悲しい表情をしているえみさんがいる。


……けど、そもそも君、るるさん……前衛職だからさ、スカートで戦ってたら、ぱんつ、見えちゃわない……?


それ以前に戦いにくそうだし。

買ってるときはあえて言わなかったけどさ。


え?


だって、お着替えの回数が増えちゃうもん。

僕は標準的な成人男性程度の知能はあるんだ、ちょっとはかしこいんだ。


「その点については……ちほ?」


「はい、えみさん。当日はこちらの人員を使いまして、人目を物理的に遮断する方針です」

「え、そんなのしていいんです?」


「ええ、これもハルさんとるるさんに対する特例だと上司が」

「大手事務所なら……特に女性配信者パーティーなら、ある程度はみな、していることですから」


ダンジョン内の特定の場所を封鎖しての配信。


ダメじゃないけどもマナー的にアウトで、チクられたら炎上することもある諸刃の剣。

程度によるらしいけども、なんかしつこい人たちに絡まれるリスクはあるらしい。


マナーってめんどくさいよね。

僕そういうの苦手。


だからぼっちこそが至高。

この気持ち、わかるかなぁ?


「あとは……そうですね。今回に限り、潜るダンジョンと階層を伏せる方針という議論でまとまりそうです。警護の観点からも」


「……みんなにはごめんだけど、しょうがないよね……」

「トラブルを避けるためですからね」


『そもそもコラボとかしなきゃいいんじゃない?』って言いたいけども、この子たちは物心ついたときから配信とか切り抜きとか見て育った世代なんだ、きっと配信っていうのが嬉しいものになってるんだろう。


ダンジョンもその頃からある存在だし、感覚がちがうんだろうね。


そういう意味じゃ、ひと世代前の僕になると同じ感覚は味わえない。


まぁ僕は昔っから『征矢くんは……変わってるね!』って言われてたから、たとえ同い年でも変わらなかったかもだけど。


「でも、今回のって……僕たちの呪いっぽいのの調査でもあるんですよね」

「うん……私たちが一緒にいたらどうなるのかって」


「……ダンジョン……1層から最下層まで崩落しません?」


「しないよ!? ……たぶん……」


ほんとかなぁ。


………………………………。


……心配になってきたから、いざというときの装備、いまいちど整備しとこ……だってるるさんだし……。


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― 新着の感想 ―
最下層まで崩落は流石にwwww…………しないよね? ストレスからの脱走だったもんなぁ、また脱走されたらって思ったらねぇww まぁ興味ない買い物に関しちゃ、全力買いする動きって引いちゃうことあるよねぇw…
[一言]  るるさんとダンジョンいくならお揃いスカートどころかフル装備して行かないと
[良い点] 九島さんとのお揃いポニテいいぞぉ!! 親子みたいだねぇ [気になる点] そういえば、一年前から6歳児体型ってことは成長していないか極端に成長が遅いのでは……? 小学生って半年でもかなり身長…
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