261話 久しぶりの戦い-VS.鳥さん1匹目
今の僕は、とりあえずでドロップ品の弓矢を装備中。
品質は……まぁ普通。
あの子たちでも普通のモンスターなら2、3回で倒せる程度のやつ。
ここの取り巻きさんたちは……あの子たちで4、5回必要だったから、レベルもそうだけどもこの弓矢の品質もちょっと負けてる感じ。
「今の僕で……どのくらいかなぁ。 全力出しちゃったら怒られるし」
【✕】【✕】【✕】【✕】【✕】【✕】【✕】
「はいはい、通常攻撃で倒せってことですよね、分かってますよ」
【オネガイ】
「分かってますって」
【ナイスノーネームちゃん】
【そうだよハルちゃん、いつも通りの攻撃手段があるんだからいつも通りにやって……?】
【弓矢でも普通に行けそうだもんなぁ、ハルちゃんなら】
【あの光る弓矢とかふぁいやーぼーるは勘弁だ……】
【全力を出せないハルちゃんかわいそう】
【そうか?】
【そうでもなかった】
【うっかり出したらダンジョン壊れちゃうから、かわいそう以前の問題だよ?】
【草】
【ノーネームちゃんが必死になるレベルだからねぇ……】
【ノーネームちゃんが必死になるレベルとかいうワードよ】
大部屋の結構高いとこをふわふわと浮いてる僕。
背中に生えた……いや、生えてはないけど生えてるって言うか、僕の体にくっついてないのに感覚も触覚もあるっていう不思議な感じ……大きな羽は、別にこれで浮力を出してるわけじゃないから飾りみたいなもので、どっちかっていうと滑空したり急加速急減速するためのものっぽいのが感覚で分かる。
僕が着てるのは、昔の人みたいな白い布1枚でぱんつは穿いてないもんだから、こうして浮いてるだけでふとももの付け根とかおまたがすーすーしてこそばゆい。
まぁ女の人の着物もそういうものだったって言うし、昔はまるだしでもそこまで気にしなかったんだろう。
時代によっては「恥ずかしい」の基準が相当違うらしいし……でもやっぱまるだしはよくないと思うんだ。
だってこれ、なんかちょっとクセになりそう……っていうか、もうなってる気がするんだもん。
だってしょうがないじゃん、ぱんつなんて落ちてないもん。
すーすーするんだもん。
ぶらぶらするものがないから違和感はないけども、だからこそ子供たちの前とかでまるだしだって意識しちゃうんだ。
……ぱんつが欲しい。
投擲武器としてのぱんつとか……ないよねぇ。
そういう判定で落ちてたら穿けるんだけども。
【あ、グリフォンたちが】
【ハルちゃん目がけて】
ライオンさんたちは地上から吠えてるだけだけど、それをほっといて先に向かってきたのは鳥さんたち。
ドラゴンになってたノーネームさんの何分の1かのサイズ、だけども普通のモンスターよりはでっかい。
のに、結構素早く飛んできて、僕と同じ高さまで来て――ガンつけてきてる。
「キェェェェェ!」
「ふぅん……」
そういうことするんだ。
ふぅん。
――しゅりんっ。
矢をつがえ、両手で弓を開いて矢と弓が擦れる音。
……ああ。
こういう音、本当、久しぶりだ。
「じゃ、久しぶりの戦い……始めよっ……か!」
ひゅんっ。
20メートルくらい先で僕を見てた鳥さんたちの片方へ真っ直ぐに矢が飛んでいく。
「キェェェェェ!?」
僕の攻撃モーションに対応できなかった鳥さんの片方は、ろくに回避もせずに胴体……のコアを刺されて悶絶。
「……ふむ、1本じゃ倒せないんですね。 やっぱ強いんですね、ここのって」
【ふぁっ!?】
【ハルちゃんでも一撃で倒せないのか】
【まぁコモンの武器だしなぁ】
【それに中ボスだし……】
【でもハルちゃん、コアっての撃ち抜いていつも一撃だったのに】
【それだけここのモンスターのレベルが高いのか】
【まぁサイズも明らかにおかしいしな】
【このダンジョン……ハルちゃん以外に攻略できるの……?】
【さぁ……?】
【異世界産だしなぁ】
【鬼畜難易度過ぎる】
【天使モードのハルちゃんでも時間掛かりそうだ】
コアっぽいのを撃ち抜いた……けども、まだ他にもあるっぽく悶えながらもこっちを睨んでくる鳥さん。
……うん、よーく見るとコアが見える。
こういうとこも慣れてるダンジョンの中のシステムそのもの。
慣れてるからこそ安心して戦えるね。
◇
「キェェェェェ!」
「ふっ……速い、です、ねっ!」
ひゅんひゅんっと僕は飛ぶ。
後ろを見ながら飛んで、鳥さんたちが突撃して来たら急減速で上下左右に回避、そこから矢を放つ。
たったの2羽しか居ないってこともあるけども、特段に連携を取ってくるわけでもないから回避も楽、当てるのも楽。
ただちょっと、回避で上下左右がぐるりとしちゃうとどっちが上でどっちが下かわかりにくいのが難点。
……普通にジェットコースターみたいなことしてるのに怖くないし、これも多分この体の何かなんだろうね。
「キェェェェェ!?」
「……5本。 しぶといなぁ」
ここまで僕が全然戦ってこなかったってのもあるんだろうけども、やっぱモンスターたちの強さと僕の強さの感覚がまだ馴染んでない。
……これ、取り巻きさんたち相手……僕でも2回くらい攻撃必要だったかも。
そう思うとあの子たち、かなり強い?
もしかして僕、このままだと普通に置いてかれる?
「……ま、それならそれで。 あの子たちに任せてのんびり……ねっ!」
【朗報・ハルちゃんの戦闘シーン、まさかの長丁場】
【俺たち感激】
【ああ……】
【ハルちゃんが3回以上攻撃してるのなんて……】
【ハルちゃんが10秒以上必要とするだなんてなぁ】
【やっぱり異世界は鬼畜難易度なんよ】
【最近ずっとご無沙汰だったから嬉しい】
【分かる】
【ハルちゃんプレゼンツ遠距離殲滅部隊育成も楽しかったけど……やっぱこの配信はハルちゃんのちょっとどころじゃないおかしさを堪能するものだよな!】
【それを見て阿鼻叫喚な遠距離職とかの鳴き声を楽しむものだよな!】
【草】
【ひどい扱いで草】
【ハルちゃんの戦闘シーンで始原一同は大変に興奮しています】
【草】
【始原!】
【最近は姉御しか目立ってなかった始原!】
【大丈夫、今夜爺さんがお披露目だから】
【あー】
【大丈夫? おじいちゃん、AED必要じゃない?】
【大丈夫だって言ってた まぁダメそうならそれはそれで本望だろうしどうでもいいや】
【ひでぇ】
【草】
――どすっ。
「キェェェェェ……」
6本、それとも7本。
その数の矢が体じゅうに突き刺さった鳥さんは、そのまま落ちていく。
……やっぱ僕も、そろそろレベリングが必要かなぁ……あと、まともな武器が欲しい。
「光る弓矢は確かに強いけど魔力消耗するし、魔法は」
【ダメ】
【オネガイ】
【泣】
「……ってノーネームさんがダダこねるから魔法は使いませんよ、魔法は」
そういえばやっぱ胸元に張り付いてたノーネームさん。
僕が魔法のこと考えたりすると
【✕】
……って文字をポップさせてくるんだ。
ほんと、こういうのはるるさんだけかって思ったけどもノーネームさんもなんだね。
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