117話 地下と空の最終決戦 その6
ここまで来たら最終話まで1日2話投稿。
こちらは本日2回目の投稿です。今日の1話目がまだの方は前話からお楽しみください。
バランスを崩したノーネームさん。
「――――!」
「――――――!」
その足元をぐるぐる回って、ずっと足止めしてくれてた2人。
そんなふたりが叫んでる……気がする。
「……ありがと」
僕たちに何度目のブレスを吐こうとしてたところに攻撃されて、思わずで全然違う方向に吐いちゃってバランスを崩したノーネームさん。
しゅごおおおお。
「あ、怖い! 下に降りるって言うか落ちてるこの感覚ものすごく怖いよハルちゃん! 友達に乗せられたジェットコースターでトラウマになったあのときのひゅんってのがぁぁぁぁぁ!!」
【るるちゃん絶叫しっぱなしで草】
【あ、るるちゃんが高いとこ苦手だったのジェットコースターのせいなのね】
【まぁ高所恐怖症持ちが乗せられたらそうなるのは分かる】
【しかも今、急降下中だしな】
【そりゃあ怖いわ】
【誰だって怖いよ】
【ハルちゃん以外はな】
すっごく集中してるとき。
視界と頭がクリアになって、体の動きとかが全部スローモーションになってもどかしいよね。
僕の腕に装着したスリングショットの金具が光る。
ぼろぼろだけども馬鹿でかいドラゴン。
ノーネームさん。
ぐいっと腕と腕で引っ張る感覚。
伸びきって狙いを定める。
――ノーネームさんと、ぱちりと合う。
「――またね」
そうつぶやいた僕に……多分気のせいだろうけどもほほえんだノーネームさん。
その眉間へ、特性の玉が飛んで行き――
かぃんっ。
……む、ノーネームさんの角の破片が腕に。
でも良かった、リストバンドがいい具合に弾いてくれた。
――――ばぁんっ。
皮膚……鱗に衝突した勢いからさらにインパクトが炸裂し、内部へと火薬と魔力が合わさったダメージが通る。
「グォォォォォォ!! ……ォォォォォ……」
――――――――、ずしん。
……るるさんのときとは違って、ちゃんと後ろに倒れるドラゴンさんに入ってるノーネームさん。
るるさんのときとは違ってちゃんとした場所だからつっかえたりせず、そのまま背中からひっくり返る。
【やったか!?】
【だからやめーや】
【でもさすがに……】
【いや、10回言ってたからあと9回……?】
【それなんて神話の生物?】
【ドラゴンって本来そうだろ】
【そうだった】
【clear】
【え?】
【ノーネームちゃん!】
【攻略】
【完了】
【♥】
【草】
【めっちゃ喜んでて草】
【倒されて喜ぶのか……】
【攻略されて喜んでるノーネームちゃん】
【もしかしてノーネームちゃんMむむむむむむむむ】
【おっと、どうやら完全に戻ったらしいな】
【多分ハルちゃんと存分に遊んで満足したんだろう】
【そうだな、元はと言えばそれがきっかけだったんだろうしな】
「倒したのぉぉぉぉぉぉ!?」
「倒しましたよ」
「じゃあゆっくり止まってぇぇぇぇぇ!!!」
「あ、ごめんなさい、もう魔力が切れますね」
「ああああああああ落ちるぅぅぅぅ!!!」
あー。
頭もくらくらするし、勢い失った僕たちもくらくらしながら落ち始める。
【喉が心配なるるちゃんで草】
【かわいそうがかわいい】
【ああ……!】
【高所恐怖症なのにさんざん高層ビルの高度で飛び回されて、倒したと思ったらゆっくり落ちて……普通なら気絶するか吐き散らしてるわな】
【そう思ったら健気なるるちゃん】
【るるちゃんは最初から健気だろ!!】
【まぁな……このノーネームちゃんが呪い様呼びなときから耐えてたもんな……】
視界がくらくらする。
上と下が分からない。
るるさんを助けたときとか、リリさんを助けてこれで上がってきてるるさんと再会したときとか。
つくづく、るるさんと一緒のときってこうなるよね。
……まぁ、るるさんのせいじゃなくてるるさんにひっついてたノーネームさんのせいなんだけどね。
「たーすーけーてぇー!!」
「ごめんなさい、無理です」
魔力が、意識を保てる限界なせいで、もう落ちる先をコントロールする程度。
飛行機の着陸とは制御された墜落だ。
そんな言葉が頭を巡る。
「いーやー落ちる落ちる――――わぷっ」
「……間に合いましたね……」
「すんすんすんすんすんすん」
【落ちてきたるるハルを思いっ切りジャンプしての抱っこ!】
【華麗なキャッチ】
【そして隠さないリリちゃん】
【そんなリリちゃんを羨ましそうに見てるえみちゃん】
「……すんすん……」
【あ、えみちゃんもちょっとハルちゃんの髪の毛嗅いだ!!】
【草】
【せっかくの活躍が台無しだよ!!】
【ま、まあ、この配信って最初からずっとこんな感じだからさ……】
「……リリさん、うるさいです……」
「すんす……はいっ!」
はいじゃないんだけどね。
でも眠すぎて起きてるので精いっぱいだから怒る気力なんてない。
「それで、どうしたら」
「とりあえず休ませて……」
「え、ええ。 待ってくださいるる、確かちほさんからの薬が……」
ノーネームさん……はまだ居るっぽいけども、完全に停止したドラゴンさん。
それからちょっと離れたところで寝転がる、るるさんと僕。
「……ハル様……やりましたね」
「はい」
降ってくるリリさんの声は……はしゃいでるけども、なんだか落ち込んでる?
なんでだろ。
まぁいいや。
「あった、酔い止めです、るる」
「ありがどおおおえみぢゃあああん」
「るるさんうるさいです……」
【草】
【ハルちゃんが結構嫌がってて草】
【かわいい】
【あー、もう終わりかぁ】
【2週間だもんな】
【正確には13日だけどな】
【これで終わると思うとなんだか悲しい】
【悲しい】
【始原も悲しい】
【良かったな始原、ハルちゃんの撮れ高しかなかったぞ】
【ああ、今編集してる】
【草】
【え?】
【は?】
【? どうしたよ、こんなときに】
【マジか……ちょっと離脱する】
【畜生、こんな良いところで家出なきゃならん】
【そういやさっきチラッとそういうヤツが結構居たような……】
【ハルちゃんに夢中で気が付かなかったわ】
【あ、俺のところにも緊急避難指示】
【マジかよ】
【なんでも、あのダンジョンから大量のモンスターが地上に出て来そうだから、合衆国軍が動くらしい】
【あ、テレビの中継】
【は? なんで海?】
【あの、あれって合衆国軍の駆逐艦なんじゃ】
【ハルちゃんたち逃げて超逃げて】
【逃げるってどこへだよ】
【あれ、さっきからノーネームちゃんの検閲どころかノーネームちゃんの反応無くない?】
【それどころじゃないだろ……合衆国軍、まさかの先制攻撃で】
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