109話 最後の夜1
こちらは本日2回目の投稿です。今日の1話目がまだの方は前話からお楽しみください。
【解き放たれたハルちゃんはすごかった】
【すごかった】
【結局解き放たれてから2日だろ?】
【つまり今夜寝ても、期限まであと1日残ってる状態】
【それでここまで来たもんな】
【怒濤過ぎる後半戦よ】
【あっという間だったけどね】
ぱちぱちと焚き火のはぜる音。
火って良いよね。
明るさも肌に当たる熱さも燃える匂いも素敵で。
「……明日だね」
「ですね。 本当は今日でも可能でしたが」
「全てはハル様のコンディションにかかっていますから」
【だっておねむだもん】
【ここへ来て幼女ボディが致命的】
【ま、まあ、朝ごはん食べたら寝直す最初のじゃないだけ……】
【結局何だったんだろうね、あんなに寝続けて】
【力を貯めていたんだよ】
【力を……!】
気が付いたらきちゃない袋の中身もすっからかん。
いや、これでもかって入れてきたからまだ結構入ってるけど……最初の方に比べると、ね。
「……………………………………」
そんなことを考えてたら、るるさんが指でちょいちょいして来る。
「ハルちゃん……不安? だったら」
「え? ぜんぜん?」
「あ、そ、そう……」
「?」
物資も余裕であるし、なんとかなるでしょ。
あ、でも、強い銃のための弾が少ないのがなー。
【草】
【即答で草】
【ハルちゃんぜんっぜん分かってなくて草】
【そこは「不安です」って言うものなのよハルちゃん】
【ま、まあ、ハルちゃんぼっちだったから……】
【幼女だもんね、そういう機微とかには疎いよね】
【それにハルちゃん的には本当に不安じゃないだろうし】
【ああうん、ハルちゃん、ここまでノーダメだったもんねぇ……】
【空飛ぶイスに乗って移動しながら乱射するだけだったもんね】
【空飛ぶイスに乗ってからの他の子もみんなノーダメでしゅごい】
【けど肝心のモンスターとの戦闘がとうとう無くて草】
【いや、何回かはあったろ】
【ああ、さすがのハルちゃんでもワンショットできなくなってきたもんな】
【やっぱりここ、ハルちゃんのレベルでも普通無理なレベルだろ!?】
【ノーネームちゃん!】
【♪】
【草】
【大層ご満悦なノーネームちゃん】
【ノーネームちゃんが見たかった攻略は多分これじゃなかっただろうけど、これはこれで……ってことでいいのか?】
【だろうな】
【いくらノーネームちゃんでも、まさかハルちゃんがイスっぽい何かで飛び回ってさくさく攻略とは思わないよな】
【ああ……実際ハルちゃんが目覚めるまでは、国内上位陣たちが全力でも何時間で1階層とか言うレベルまで落ちてたし……】
【それ思い出すとあの……兵士さんたちすごかったんだな】
【確かに強かった……だが奴らはもう居ない】
【かわいそう】
【せっかくがんばって来たのにことごとく邪魔されてかわいそう】
【全員のフルネームまで流出しててかわいそう】
【配信サイトに勝手にSNSリンクされててかわいそう】
【ガチでかわいそう……いやガチで】
【炎上具合、そこまでやるかって感じだったもんな……】
【ノーネームちゃん!!】
【敵】
【草】
【えぇ……】
【ああうん、そうよね……】
【明確に敵意抱いてて草】
【いやまぁ、うん、邪魔されかけたらねぇ……】
ぱちっと大きな火花。
「ふぅ」
ほどよい疲労が体に染みるね。
「……ハル……分かっているとは思うが」
えみさんが、そっと耳打ちしてくる。
こくっと内緒の合図。
【えみちゃんが!!!】
【内緒のお誘いいいいいいいい】
【違うだろ えみちゃんは俺たちの同類だ】
【ああ、同類だからな 同類だから、好き過ぎる相手がすぐそばにいて、しかも仲良くなっていて、多分拒否られないし拒否られるとしても嫌な顔されなくて翌日から普通に接してくれそうだって確信してるのに、でも手を出せないって言う俺たちの同類だ】
【 】
【 】
【 】
【 】
【トラウマが……トラウマが……!】
【なんでそんなこと言うの!!!! ばか!】
【ああ、なぜ俺はあんなにもヘタれたんだ……】
【どうして私、あのとき言えなかったの……】
【親友も好きだからって黙ってて、結局取られた私のバカ……】
【嬉しそうに産んだ子供を見せてくるあの子の、あの笑顔が……】
【視聴者がことごとくダメージを受けている】
【割と致命傷をな】
【視聴者さんかわいそう】
【お前らは平気なのか?】
【え、だって俺の推しは俺の手の届くところにいないし】
【推しってそういうものでしょ?】
【別に推しが異性とくっつかなきゃそれでいいし……】
【なんなら同性とくっついてほしいし……】
【ねぇ、それ、言ってて悲しくならない……?】
【考えてみたら悲しくなってきた】
【よく考えたら推しだっていずれはどこかの女とって思ったら……ちょっと凸してくる】
【待て、早まるな ハルちゃんを見習え】
【ハルちゃんにはなんにも見習う要素なくない?】
【確かにそうだった 行ってこい】
【待て、唆すな】
【草】
【いつの間にかえらいことになってて草】
「けぷ……」
「ハルさん」
「分かってます」
【ほら、ハルちゃんがかわいいぞ】
【お水飲むだけでいっぱいなハルちゃん】
【あれは……いや、なんでもない……】
【よく分からないけど深入りするとボッシュートだぞ?】
心配そうなえみさんが僕の手元を見つつ、しぶしぶ離れて行く。
だって僕、こっそりお酒呑んでるもんね。
どうしても呑まないと手が震え……たりはしないけども、毎晩の晩酌が無くなればストレスも溜まる。
さすがの僕でも視聴者さんたちを通じて全世界に向けて幼女の飲酒を……あれ、成人してるって前に宣言したような……まぁいいや……見せびらかす趣味はない。
だからここに来る前にちっちゃいペットボトルに入れたのを呑んでるんだ。
ちなみに今日は焼酎の水割り。
一応2週間分は用意して来たし、こっそりきちゃない袋に入れといたお酒であと何ヶ月か戦えるんだ。
僕は前の体のときからよっぽど呑まないと顔も赤くならないし、この体は頑丈だし大丈夫大丈夫。
九島さんが居たときは露骨に嫌そうだったけども、ここ数日は居ないからちょっと気が楽だね。
「それにしても……明日かぁ」
えみさんがいなくなったと思ったら、ぽふっと頭を預けてくるるるさん。
「すんすん……」
あ、今日もお酒嗅がれてる。
えみさんと違って、この子、呑んでるお酒の匂い嗅いでくるんだよね。
成人したら一緒に呑もうね。
【自然にいちゃつくるるハル】
【るるちゃんが一方的だけどな】
【でもハルちゃんも嫌がってないし】
【まるで恋人のような……】
【こういうときになるとハルちゃん、男の子っぽく見えるよね】
【るるちゃんが女の目をしてる……】
【やめろ、百合の受けと攻めと言え】
【お前ら……こういうときくらい普通に愛でられんのか】
【え、無理】
【無理】
【草】
【ほら、ノーネームちゃん公認だぞ】
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