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【2巻予約受付中・25/10/20発売】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~  作者: あずももも
6章 500Fダンジョン攻略RTA

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102/639

102話 『500階層RTA配信:下層』7

こちらは本日1回目の投稿です。昨日の2話目がまだの方は前話からお楽しみください。


「えっと、お別れ?」


僕の頭が追いつかない。


確かに「九島さんくらいはまだ乗れそうだけども、他の人たちは走ってもらうしかないなぁ」とか思ってたし、いつ残ってる人たちはとっても強いらしいし……何より1週間以上一緒に居たんだ、顔くらいは覚えてるし。


そう思ってた一方、「でも帰ってもらった方が速く攻略できそうだ」とも思っている僕が居た。


そんな僕を自覚したところでもう1回声をかけられる。


「ハルさん」

「九島さん」


「その乗り物は、ハルさんの思い通りに動くそうです。 ですからそこに……特に、私みたいな非戦闘員は足手まとい」

「いえ、でも」


九島さんは居て欲しい。

でも「九島さん、怖いだろうに来てくれてるんだ」とも理解している。


「攻略は、残り4日で180階層。 それだけのことをするには、身軽な方が良いんです。 それに、そのイ……乗り物にはもうスペースがありません」


「……………………………………」


……確かにそうだ。


このノーネームさん主催のRTA、失敗しても何か起きるとかは言われてないけども、攻略できなかったら当然「泉」……願いの泉っぽいのにはたどり着けない。


そうなると「るるさんをいじめるのはもうやめて」って言うの……口で言っても多分ちょっとは聞いてくれるだろうけども、いつまたノーネームさんの気分次第でやるか分からない。


よく分からない何かのノーネームさん。


でも、多分さすがに願いの泉で言ったことは……ノーネームさんが、かどうかは分からないけども叶えてくれるはずだし、蒸し返したりはしないはず。


だから、僕たちは攻略しなきゃいけない。

ここまで連れて来てもらったんだ、今さら手ぶらでは帰らない。


【ちほちゃん……】

【その他大勢……】

【ひどない?】

【しゃーない、そもそもハルちゃん、るるえみリリくしまさぁん以外名前で呼ばないし】

【そこでくしまさぁん言うなよ、笑っちゃうだろうが】

【感動の場面が台無しだよ!!】

【草】


「じゃ、待っててください」


「……ハルさん」


九島さんが残る宣言をしてから、みんなうつむいてる。

そんなの、僕はあんまり好きじゃないんだ。


「ちゃんと攻略して帰ってきます。 僕たち4人揃って」


「……待っています」

「はい。 約束です」


【ぶわっ】

【ハルちゃんかっこいい】

【こういうときにさくっとそれ言えるのすごい】

【すごい幼女】

【眠いとき以外はすごい幼女】


【けど安心した……昨日の夜からみんな落ち込んでたもん】

【だよな】

【すぴすぴ寝てるハルちゃん以外はな】

【落ち込んでる中すぴすぴ聞こえてたもんな】

【ハルちゃんは特別だから……】

【ハルちゃんは天然だから……】

【ハルちゃんは天使だから……】


「では、私たちはリストバンドで戻っています」

「はい」


「できれば、ハルさんが無事にたどり着けますよう。 たどり着けなかったとしても、無事で帰還できますよう」

「はい。 もう心配は……」


九島さんに泣かれたのは、結構堪えてる。


年下の女の子に結構本気で泣かれるのなんて、男としてぐさっと来ないはずはない。


でも。


「なるべくかけないようにがんばってみたいと思います」


【草】

【なんでそこでなのよハルちゃん】

【言質を取らせない政治家かな?】

【ああうん、できない約束しないのは偉いねぇハルちゃん……】


「……くすっ、ハルさんらしいですね」

「ダメですか?」

「いいえ?」


後ろの人たちと二言三言話していた彼女は……初めて見せる笑顔で。


「――また、一緒にお話しできるのを待っていますね」


そう言い残して、みんな一斉にリストバンドを使っていなくなった。


「……行っちゃったね」

「ええ……」

「みなさん……」


しんと静かになる空間。


……誰も話してなかったとしても、人が居るだけで気配とか呼吸とか体温とか匂いとか、ちょっとした音とかで安心できるのが人。


それが急に半分に。


10人から5人。

僕たちだけ。


……静かになっちゃったな。


【ああ……】

【もうおしまいだ……】

【くしまさぁんが帰っちゃったぁ……】

【その他のモブたちも……】

【いや、残ってたの国内上位15位から223位までのめっちゃ有名すぎる人たちだからね!?】

【草】


【モブ扱いされるランカーたち】

【本人たち喜んでたんだから良いんじゃね?】

【「ハルちゃんに構ってもらえたらそれで」って言ってたしな】

【ああ……上位陣に広がるハルちゃん信仰……】


「じゃ、行きましょうか」


えみさんはヘンタイさんバレから積極的に指示を出さなくなった。


るるさんは前から指示待ち傾向が強い。

リリさんは指示しないと髪の毛の匂い嗅いできてうるさい。


あれ?


これ、僕がリーダー?


「最初は運転に慣れないでしょうからしっかり捕まってくださいね」


「え、ええ……」

「お、お手柔らかにぃ……私、バスとかで酔っちゃうから……」


「すんすんすんすん」

「近いですリリさん」

「あんっ♥」


【草】

【リリちゃん……】

【ほ、ほら、命の恩人だから……】

【それだけじゃ言い訳できない変態性がにじみ出ている】

【それってえみちゃんとどっちの方が?】

【えみちゃんはむっつり、リリちゃんはオープンだ】

【なるほど】


【るるちゃんははははははは】

【おっと、そいつはいけねぇ】

【草】

【るるちゃんは今でもノーネームちゃんのお気に入りだからね】


リリさんの近すぎた顔をぐにっと押しやっていると、右と左でもぞもぞしている2人。


「……一応足場の外に柵があるのですね」

「あ、命綱もついてるよえみちゃん」

「荷物置き場だということですけれど、簡単には外れなさそうです」


ふむ。


イスっぽいのが変形して、イスの背もたれが銃とかを設置できる台座に……あ、クッションとか無くなってるのも変形機能なのかな……なってて、イスの足元のリクライニングだった場所がリリさんの乗り込んだ足場。


で、左右にぴょこんと飛び出した、本当に荷物置きってスペースにるるさんとえみさん。


「……イス?」


「制作者がイスと表現する以上、イスと呼んであげましょう」

「私だったらもっとかわいい名前付けるのになぁ……」


「私なら『ハル様の御座とでも』」

「それはやめてください」


かちゃかちゃって……多分荷物を止めておくための紐を自分たちのベルトにくくりつけたみんなが僕を見てくる。


「……じゃあ、飛びますね」


【イスが飛ぶわけ】

【飛んだー!?】

【草】

【何回目よそれ草】

【もはや攻略開始の合図だな】

【なぁにこれぇ!】

【お、壊されし者も元気でなにより】


ふぉんと浮かび上がるイス。


「……おー」


【かわいい】

【かわいい】

【おっかなびっくりでゆっくり回ってみたりしてるハルちゃん】

【それを後方下からハルちゃんの髪の毛を手に取りつつ恍惚と眺めるリリちゃん】


【えみるるはそれどころじゃなくて怖いみたい】

【そりゃそうだ】

【リリちゃんは置いといて、確かに怖いよなぁ……浮かぶって】


「は、ハルちゃん、もっとゆっくりぃぃ……」

「いえ、それですと移動できませんよ? ……確かに怖いですが……」

「私は振り回されたいです!」


【草】

【リリちゃんはもうねぇ……】

【るるちゃんの怯え顔好き】

【分かる】

【元気っ子がびびってるのって……こう……そそるよね……】



【理解】


【理解】



【分かるかい、ノーネームちゃん】

【草】

【自己主張が激しすぎる】

【平常心を維持しようとしつつも脚が震えてるえみちゃんもなかなか】

【変態性バレを意識しまいと気丈なのがいいよね】

【いい……】


「なるべく加減速とか気をつけますね。 大丈夫です、僕、自転車得意なので」


るるさんとえみさんが怖がってる。

そりゃそうだよね、これ、浮いてるもん。


じゃあ男らしく、乗せてる女の子を怖がらせないようにしないとね。

こういうとこで男アピールしないと、僕が男だって忘れられちゃうからね。


【ハルちゃん自転車乗れるの!?】

【お上手ね】

【得意って言ってるから転びはしないだろ……多分】

【ま、まぁ、このイスは自転車と違って倒れたりしない……よね?】

【だ、大丈夫だろ……】

【でも、大きくて小学生基準の自転車がお上手って】


「じゃあちょっとだけ加速っ!?」


ぐっと加速……って言うよりすっ飛んだ感覚。


これはあれだ。

るるさんのときに使ったお手製のロケット、調整ミスってたあの勢いだ。


「ぎゃああああああああ!」

「ひっ……」

「すんすんすんすんすんすん」


【草】

【ハルちゃん……】

【なんでいきなりフルスロットルなのよハルちゃん】

【ハルちゃん意外とSね】

【いや、ただの天然だろ】

【だな】

【ハルちゃんがそんな発想できるはずがない】


「びえええええとめてえええええ!」


るるさんが叫んでるけども、速く動いてるせいであっという間に次の部屋に。


で、移動したってことはモンスターたちがいるってことで。


「ごめんなさい、モンスターが射程に入ったので撃った後で」


「……………………………………」

「……………………………………」

「あ、えみ様……気を失って上半身が……るる様も……」


【るるちゃん絶叫中】

【えみちゃん気絶中】

【そりゃそうだ、これ、どう見ても時速60キロ以上出てるもん】

【ぷかぷか浮いてたところから一瞬でこの加速よ】


【しかし平常心過ぎるハルちゃんとリリちゃん】

【あ、時速60キロ以上でヘッドショット始めてら】

【なぁにこれぇ……(感激】

【リリちゃんが身を乗り出して戻してあげてる】

【優しい】

【ただのクンカーではなかったか……】


【でもさ、やっぱハルちゃんだね】

【ハルちゃんだよね】

【ああ、必ず何かしでかすもんな!】



【♪】



【嬉しいかい、ノーネームちゃん】

【草】

【ハルちゃんの実況に湿っぽいのは似合わないもんな!】


一応の最終話まで&その先を応援してくださる方は、おもしろいと思ってくださった話の最下部↓の【☆☆☆☆☆】を最高で【★★★★★】に&まだの方はブックマーク登録で最新話の通知をオンにしていただけますと励みになります。応援コメントやフォローも嬉しいです。

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しょっぱなから自動車みたいな速度で爆走!www 高速機動しながらヘッドショットってwwハルちゃんだもんなぁww リリさんが色々と強者だわぁwww
[気になる点] なんで足手纏いっぽい人たちを連れて行くのかよくわかんないです。 絡ませたいにはわかるんですが、ヘッドショット&スニークのスタイルに騒いだり進行速度を遅らせるような要因は不要じゃないかと…
[一言] これ下手すると二人がイス酔いして、マーライオンする羽目になるんじゃ・・・
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