02 クラス
「おはよー、レアちゃん」
私が、タイガからの彼氏疑惑を払拭してると、レイナとサヤカも登校して来たようで、後ろから挨拶をされる。
「おはよー。レイナ、サヤカ」
「おはよう、レア。その人は?Aクラスに上がってきた人?」
「違うわ。私の幼馴染みよ」
「アルトの友達?おれはタイガ。宜しく」
「宜しくね、タイガ君!」
私も彼女達に挨拶を返すけど、2人とも当然タイガとは初対面だったので、彼女達にも彼が私の幼馴染みだと言うことを話しておく。
「今日は2人で来たのね」
それはともかく、新学期初日だからなのか、珍しい組み合わせでの登校だとおもったのだけど、聞いてみれば約束した訳じゃなく、たまたまそこで合流しただれならしい。
ついでに『メリッサはまだのんびりしてたから、後から来る』とのことらしい。
「レアちゃんは、クラス分けはもう見たの?」
「私はAクラスだったわ。けど、あなた達のは見てないから、昇降口に行ってきたら?」
そして、レイナが今日一番気にしてるであろうクラス分けの話が出たので、私は2人に自分で確認するように促す。
それを見送ると、私達が話しているのを邪魔しないようにと、一歩身を引いていたタイガが、また私の隣に立つ。
「ちゃんとアルトに友達が居て安心したよ」
「どういう事よ、それ。」
だが、開口一番そんな失礼なことを言うなんて、相変わらずこいつにはデリカシーというものが存在しないのだろうか。
「にしても、学生だけでこんなに人が多いなんてな。おれもここで友達出来るのかね」
「あんたなら余裕でしょ、私が出来たんだから。けどまぁ…
「ただいまー。」
とかそう話してる内に、確認を終えた2人が帰ってくる。
「お帰り。どうだった?」
「2人とも、Sクラスだったよ。」
「そう。良かったわ。」
結果はやはりと言う感じだが、私は2人の名前がAクラスに居ない事しか確認してなくて、レイナは試験で私とそんなに変わらない結果だったので、Bクラスに落ちてる可能性もあるかと、少し不安だったけど、それも杞憂ですんだみたいだ。
「嬉しいけど、レアちゃんと違うクラスで複雑だよ」
「私の事なんか気にしないで、素直に喜びなさいよ」
「ありがとう、レアちゃん。Sクラス、嬉しいよ!!」
「うん、おめでとう」
けれど、当の本人はそう言って浮かない表情を浮かべるので、私は彼女に後ろめたく感じる必要が無いことを伝えると、それでようやく気が晴れたのか、喜びの表情を見せてくれる。
「レア、わたしにも」
「はいはい、おめでとう。2人とも凄いわね」
「ふふん」
それを見ていたサヤカも、何故か自分にもと要求してくるので、彼女にも同様にお祝いのメッセージを送ると、レイナとは反対に、ドヤァッとした自慢気な表情を見せるのだった。
「はあ…でもやっぱり、レアちゃんとクラスが違うの、寂しくなっちゃうね」
段々外に居る人も減ってきて、私達もそれぞれの教室にと言う空気が流れてくると、レイナがそう呟く。
「大丈夫よ。今年は去年と違って、知らない人ばかりって訳じゃ無いんだから」
「むしろレイナの方が心配」
「むぅ~、私だって大丈夫だもん!」
「ふふっ。じゃあ、また後でね」
「うん、また後で」
「またね~、レアちゃん」
そんな彼女を、私とサヤカでからかうと、プクーっと頬を膨らませて抗議するといういつもの流れをやったところで、私達は一旦の別れを告げる。
「私達も、中に入ろうか」
これ以上は外に居る理由もないので、私もタイガにそう声を掛けて昇降口に向かうと『おい、誰だよこいつ』と言う声が、またしても後ろから聞こえてくる。
このくだりは何回目だろうか。そんなことを思いつつも、私は声を掛けてきた人物、メリッサに『私の幼馴染みよ』とだけ簡潔に告げ、教室へと向かう足は止めない。
どうせ彼女は同じクラスだし、初日から遅刻するのも嫌なので、詳しい話は教室に着いてからにしようと思ったのだ。
「あー、そう言えばそんなのが居るって言ってたな。」
「そんなのって…。まぁ、こいつも悪い人じゃないから、仲良くしてあげて」
「アルトの友達なら、悪い人は居ないんじゃ無いの?君もこれから宜しくね!」
「はぁ、めんどくせぇな」
メリッサもそれを分かっているのか、特に自分のクラスを確認するでもなく、そのまま私の隣に並んで歩くけど、私の幼馴染みと言うことで珍しく気を使っているのか、タイガへの対応を若干やりづらそうにしている。
そうして教室に到着すると、私は自分の席を確認して、荷物を下ろしたところでメリッサの方へ向かおうとするが、その前に
「よう!メリッサじゃねえか!俺もAクラスに落ちちまったぜ。落ちこぼれの先輩として色々教えてくれよ!!」
と、去年はAクラスに居なかった誰かが、メリッサに大きな声で話し掛けるのが聞こえる。
聞こえてきただけでも、気になるワードが幾つかあったけど、それをメリッサに質問する前に、彼女は
「ちっ…」
と言って、教室から出ていってしまう。
「はあ…」
始業式の前だと言うのに、早速トラブルが発生する事態に、私はこの一年もまた面倒事が増えそうな予感がして、思わず溜め息を吐いてしまうのだった。




