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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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92 夢のために

ここまで読んでくださり、ありがとうございます

「「「さよーならー!」」」


終業式も終わり、1学年の締め括りとなるホームルームで、先生からの春休みに関しての諸注意が終わると、そう言ってクラスの皆は元気に帰りの挨拶をして、次の学年までの束の間の自由時間を目一杯楽しむために、教室から三々五々散っていく。


そうしてあっという間に、教室に残るのは私達4人を含むほんの数名だけになる。


「最後だってのに、ずいぶんあっさりしてるのね~」


レアちゃんは、それを見て呟くけど、実は、Aクラスから違うクラスになる人はそんなに多くない。


と言うのも、下からAクラスまでは、基本的に魔法の習熟度と、知識の総合力に応じて振り分けられてるらしいので、よほど大きく実力が変化しない限りは、クラスが上がることも下がることも無い。


けれど、Sクラスは、扱える魔法の種類によっては、属性魔法の習熟度が低くても、編入される事もあると言う。


実際、サク先輩に会う前は、Cクラスになるだろうと言われていた私が、こうしてSクラスになるかもと言う話が出ているのがその証明だろう。


流石にSSクラスともなれば、通常の魔法の習熟度もしっかり高く無ければいけないようだけど。


だから、レアちゃんの周りにそういう人が多いだけで、クラスメイトのほとんどは、本当にちょっとしたお休み期間と変わらないと、感じてる人がほとんどなんじゃないだろうか。


なんて事を考えるけども、ほとんどはサク先輩から聞いた話だし、レアちゃんにとって寂しい事には変わり無いので、私は『そーだね~』と言う、なんとも気の抜けるような言葉を返すのだった。






「はあ~。あれから1年かー」


私は、メリッサちゃん達が眠りについて静かになった部屋で、去年の事を思い出しながら1人そう呟く。


「思えば、あの時からずっとお世話になりっぱなしだなぁ。サク先輩には」


当時、中等部を卒業したばかりの私は、受験することすら無茶だと言われた、このベネウッド中央学園に合格出来た事が分かると、喜びのあまり両親や友達との別れの挨拶もそこそこに、荷造りを終えるとその勢いのままに、アリアス大陸を飛び出して来てしまった。


「ちゃんと考えてみれば、卒業式が終わってすぐに寮が空いてるわけ無いよね」


実は、私のお父さんは、ベネウッド学園の卒業生なのだけど、お父さんが学生の頃の話とかを色々聞いていた事もあって、私は人一倍ここに通うことに憧れがあったのだと思う。


お父さんは、Bクラスで卒業だったとか、家はそんなに大きな病院じゃないって言うんだけど、お買い物に行くと良く色んな人からお礼を言われているのを見る。


それだけで、私にとっては十分自慢のお父さんだった。


小さい頃からその姿を見ていたせいか、いつの間にか、お父さんの仕事を手伝うのが私の夢になっていた。


だから私は、その夢を叶えるためにお勉強も魔法の練習もいっぱいした


けれど、それは学校の成績に繋がるものじゃないから、お父さんお母さんには心配をかけたりもした。


それが、この学校に来てサク先輩に出会ったことで、今までの努力が無駄じゃなかったことを教えてもらえた。


運命だと思った。


最初は、私だってサク先輩のこと、危ない人かもって考えたりもしたけど、彼がSクラスで、しかも回復魔法を使うと聞いた時、こんな偶然は2度と起きないと思って、私がここに来た理由も、Cクラスになりそうだと言うことも全部話したのだ。


その話をサク先輩は、故郷の人の誰よりも真剣に聞いてくれて、『君の夢が叶うように、ぼくも出来る限りの協力をするよ』って言ってくれて…。


そうして日々を過ごしていく内に、気が付けば私の目標は2つに増えていた。


サク先輩は、卒業したらユニウス大陸に行く予定らしくて、私は学園を卒業したら、お父さんの病院を手伝うためにアリアス大陸へ戻るつもりなので、来年を過ぎると、彼と会う機会はほとんど無くなってしまう。


それを知っているからなのか、サク先輩とは男女のお付き合い的なこと、その…キスとか…をしたこともない。


だから、スイネグ先輩から卒業後も時々様子を見に来るって、約束をして貰っているレアちゃんが少しうらやましかったりもする。


「だけど、諦めなければ…」


私はそう呟くと、改めて出来た自分の目標を思い出して、Sクラスであろうとなかろうとがんばる覚悟を固めるのだった。

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