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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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86 2月14日 後編

「そう言えば、君達はメリッサちゃんのお友達なんだよね。あの子も元気でやってるかな?」

「うん。よくふらふらーってどこかに遊びに行ったりしてるかな。」

「いつも暇そうにしてますよ。」

「そうなんだね…。」


しばらくそうして、先輩の質問に答えたり、2人の会話に耳をすませていたけど、机の上のパイも残り少なくなってきたところで、サク先輩の口からここには居ない人物の名前が出てくる。


なぜ突然彼女の事をと思わないでもないが、私達がとりあえず彼女についてありのままの感想を伝えると、先輩がそう言って少し考え込むような仕草をするので、私は気になっていたことを聞いてみる。


「あの…先輩とメリッサって、昔何かあったんですか?」

「おや?どうしてそんなことを?」

「いえ、先輩達と知り合いだと言うのは前に教えてもらったんですけど、あまりどういう関係なのかは聞いたことが無いなと思って…。」

「そうか…。そうだね…。…………彼女とぼくたち、ぼくとセイラは中等部の頃、君とスイネグみたいな関係だったんだ。」


スイネグ先輩が躊躇いの末、口に出したその答えは、半分予想していたものだった。


「えっ!?そ、そうだったんだー。」

「けれど、いつの間にか彼女は、ぼく達から距離を取るようになってしまってね。」

「いつの間に?」

「理由は、聞いてないんですか?」

「うん。もしかしたら、ぼく達の期待が、知らず知らずの内に、彼女の負担になってたのかも知れないね。」

「期待…。」


そして、彼が語る彼女が疎遠になった理由に、私はなんとなく思い当たる節があった。


「メリッサちゃんが、誰かの期待を負担に思うなんて想像つかないや。」

「今の彼女がどうなのかは分からないけど、あの子は中等部の頃は、髪の毛も染めていなくて、レイナちゃんに似ておとなしい性格だったんだよ?」

「それこそ想像がつかないですね。」

「そうだろうね。とりあえず、彼女から何も聞いていないなら、ぼくから話せるのはこれぐらいかな。」


私はもう少し話を聞いてみたかったのだけど、先輩はそう言ってこの話題を終わらせる。


もっと詳しく知りたければ、本人に直接聞けということなのだろう。


「本当にそうなのかはぼくらにも分からないからね。ただまぁ、君が最近よそよそしい態度を取るのが、同じ理由だったら嫌だなって、ぼくは思ってるかな。」

「うっ…。」

「レアちゃん?」

「あはは。冗談だよ。」


先輩は笑いながらそう言うが、私が出来る限りの接触を避けていたのは事実なので、何も言えずにいると、レイナは不思議そうな顔をする。




「それにしても、もう2月か。卒業式まであっという間だね。」

「そうですね。」

「もしも、君達が4年生に伝えたいことがあるなら、校外学習から帰ってきてすぐにでも話に行くことをおすすめしておくよ。」

「何か理由があるんですか?」


レイナとの約束も果たところで、私はそろそろ退室しようと腰を上げると、サク先輩がふとそんなことを呟く。


「いや、上級生達は何かと忙しいからね。要らぬお節介と言うやつさ。」

「あいにく、4年には知り合いが居ないので、本当に要らぬお節介でしたね…。けど、来年先輩には会いに来てあげますよ。」

「ふふっ。冗談でも嬉しいねぇ。でも、一緒に行くとは言わないのかい?」

「自分の実力は分かってるつもりなので。」


私の返事にサク先輩は『試験の評価方法が変われば、可能性はあるのになぁ。』と、残念そうにするが、それは言っても仕方がない事だろう。


「まぁ、4年生に限らず、クラスメイトや友人との交流を大事にね。」

「はい。」

「何せ世の中って言うのは、大切にしたい日々ほど、飛ぶように過ぎ去っていくからね。特にこの時期は。」

「お言葉…心に刻んでおきます。」


1年の私達ですらあっという間に感じるのだから、年明けからやることがぎっしりな先輩達にとっては、言葉通りの意味なのだろう。


私は珍しく真面目な顔で話す先輩に、視線を合わせ、胸に手を当てながらそう答える。


「うん、ありがとう。あぁ、そうだ。セイラは今日は研究室に行くだろうから、今から向かえばそこで2人に会えると思うよ。」

「………わざわざ教えてくださってありがとうございます。」

「ううん、気にしないで。こちらこそ引き留めて悪かったね。」

「れ、レアちゃん、またね。」


しかし、サク先輩の、こちらの行動を見透かしたような言動に、私はついふてくされたような態度を取って、その場を後にした。




その後、研究室ではサク先輩の言う通り、セイラ先輩とスイネグ先輩が居たのだが、そこで私は、本物のチョコレートの味と、アップルパイを見たときに、サク先輩が警戒していた理由を知るのだった。

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