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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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80 研究ノート

「………。」


レイナと私、それぞれ研究ノートを受け取ったあとは、そのまま図書室の自習スペースへ移動したのだけど、1度ノートを開くと、私達はお互いに一言も会話する事なく、読むことに夢中になっていた。


そして、どれくらい時間が経ったのだろうか。

突然、室内にゴォーンゴォーンと、大きな鐘の音が響き渡る。


私は思わずその音にびっくりして、視線をノートから外して周りをキョロキョロと見るけど、いつの間にか図書室が閉まる時間が迫っていたようで、私と同じように視線を手元から剥がされた人達が、帰りの支度を整えているのが見える。


「び、びっくりしたねー。もうこんな時間だったんだ。」

「っそ、そうね。私達も早く片付けて食堂へ向かいましょ。」

「うん。うわぁー、今日はきっと私、眠れないなぁ。」

「分かるわ。私も早くご飯を食べたら続きを読みたいもの。」


話し掛けられるまで、隣にレイナが居ることすら忘れていたけども、そうなってしまうほどこのノートは魅力的だった。


何せ、あのスイネグ先輩が、私だけの為に書いたノートなのだ。

今の私が知りたい情報が、ページをめくる度に出てくるのに、こんなの読み進める手を止められる訳がない。


恐らくは、私の周りにちらほらと見える、司書さんや図書委員に早く帰るように促されてる人達も同じような気持ちなのだろう。

ご飯も、お風呂も、本を読む以外の全ての時間が煩わしいと。


そうして、私達は食事を終えると言葉少なくさっさとお互いの自室へと戻っていく。




その日私は、いつもよりも早くに寝る支度を整えると、そのままノートを抱えて布団にもぐる。


「せっかくだから、また初めから読もうかな。えーっと『このノートに書いてあることは、あくまで俺の研究を纏めたものであり、100%正しいかは保証しないものとする。』って、それでも99%ぐらいの自信はあるんだろうな。」


最初の一文から、スイネグ先輩らしい文に、私はクスッとしながらノートを読み進めていく。


「『まずは、魔素についての復習からだ。以前に話したタイプ分けについては覚えてると思うが…』確か、オゾンタイプとか酸素タイプとか3種類あるって言ってたやつよね。」


私は教わったときの事を思い出しながらそう呟くけど、ノートにはあの時よりも詳しい説明が書かれている。


先輩の研究によれば、魔素には、『保存』『媒介』『変質』の3つの機能があるらしく、これらの全て兼ね備えているのを分かりやすく説明したのが、所謂オゾンタイプの魔素というわけだ。

ちなみに、魔素の機能は『変質』『媒介』『保存』の順番で失われていくらしい。


「なるほどねー。こっちで魔術が使いにくいのも納得だわ。えぇっと『3つの機能についての説明は、それぞれこのページに纏めてある。』?うぅ、気になるけど、とりあえず今は次のページね。」


こんな風に、教わった事以外の内容が出てくると、必ずと言って良いほどそれらの説明のページも用意されてるのだけど、私はまずは復習が先だと思い鉄の意志で1ページ順番に捲っていく。


「次は、魔法と魔術の違いね。『魔素は空気中にも体内にも存在するが、これらに意思を込めることで現象を起こすことが出来る。この際、空気中の魔素で発生させたものを魔術、体内の魔素を利用したものを魔法と俺は読んでいる。』魔術って名前を決めたのも懐かしいな。」


私が使っているのは魔術なのだけど、これが大陸によって使い勝手が全然違うのをこの時初めて知ったのだ。


「私の居たアリアス、この学校があるベネウッド、サヤカの出身のユニウスって順番で魔素が薄くなっていくのよね。あ、ノートにも書いてある。」


反対に、魔法は体内の魔素を利用する訳で、そちらに関してもやはり魔素の濃さが影響するのだけど、これは鍛練を積み重ねることで、濃度を上げられることが分かっている。


「他にも、胸の下辺りに魔力の塊がある人は、ほぼほぼ魔素が濃いって言ってたのよね。実際、サヤカにもあったものね。」


魔力の塊が出来る理由については、まだ分かってない事が多いらしいけど、強い感情によって強化される可能性があると先輩は予測していた。


他にもこのページには、文化祭の日に発見した魔力を吸収する体質や、後天的に魔法を使えるようになる方法についての研究も進める予定だと言うことが書いてある。


「はぁ~あ。早く週末にならないかな。」


私は、まだ魔力操作が不安定なので、学校以外ではあまり魔力を使わないようにと言われていた。

だからこそ、在校生に練習場が解放される休日が、いつも以上に待ち遠しく感じる。


次の練習は何をしようか、このノートにも何か試せるような事は書いてないか。

そんなことを考えながら、私はページを捲り続けるのだった。

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