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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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79 私だけのもの

「今日も急がしそうだねー。」


年が明けてからしばらく経ったある日、私は放課後、レイナと一緒に校舎の廊下を歩いていた。


と言うのも、この時期は受験生が学校に来るため、上級生達はその為の準備であちこち駆け回っているし、訓練所も受験で使われるから、今はそこで練習する事も出来ない。

だからと言ってわざわざ毎日街まで行くのもめんどくさい。


なので、私と同じようにやることが無さそうなレイナを誘って、ある目的地へと向かう事にしたのだ。


「そうねー。私は受験は向こうで受けたから、こっちがこんなにバタバタしてるの知らなかったわ。」

「来年は私達があんな風に準備するんだねー。」

「うぅ、暇すぎてやることが無いのとどっちがマシなのかしらね。」


そう話しながら、忙しそうに準備を進めている先輩達を尻目に、私達は移動を続ける。


「あと3ヶ月もしたら、私達も先輩かー。全然想像がつかないや。」

「私もよ。けど、私はスイネグ先輩が新入生に呼び掛けとかしなければ、去年とそんなに変わりは無いかもしれなさそうね。」

「レアちゃんの知り合いとかは、誰か受験してないの?」


レイナは先輩達との関わりが多かった分、新入生との関係に不安があるようだが、私は去年Aクラスの人達以外とそこまで話す機会が無かったので、2年生になってもそれはあまり変わらないと思っている。


それに、レイナがそう聞いてくるけど、同郷の人もわざわざ街を出てこんな遠い学校に通いたがる物好きは居ないだろうと私は言う。


「と言うか、それはあんたも一緒じゃない?」

「そうだね。お金もかかるもんね。」

「あっ、でも1人だけ、幼馴染みは来たいって言ってたかも。」

「えっ!?レアちゃんって幼馴染みが居るの?」

「あれ?言ってなかったっけ。」


なんてレイナと適当な話をしながら歩いてる内に目的地へと到着する。




「こんにちはー。」

「こ、こんにちはー。」

「あら?何かお探しですか?」


私達は目的の場所、図書室へ着くとそのまま司書の所へと向かい用件を伝える。


「はい、Sクラスのスイネグさんと、サクフィウスさんの研究ノートですね。少々お待ちください。」

「お願いします。」

「ほんとに置いてあるんだね…。」


そう、私はレイナと暇な時間をどうやって潰そうかと話をしていたのだけど、レイナが図書室で勉強するのはどうかと提案したときに、ふと、そこには一般に販売されてる本だけでなく、先輩達の論文とか、そういったものもあるんじゃないかと考えたのだ。


実際に司書の人に尋ねてみると、その勘は当たったようで、そう言うと後ろに行って目録のようなものを2枚と、ノートを1冊持ってくる。

だが、


「はい、こちらがサクフィウスさんの分ですね。この文字が光っている論文、研究ノートが今貸し出せるものになります。それと…」

「ん?」


と、レイナにはそう説明してその紙を渡すのだけど、私の方を見つめると何故かしばらく考え込むような仕草をする。


「…お2人は1学年の方…ですか?」

「はい、そうですけど…。」

「失礼ですが、お名前を聞いても?」

「えっと、アルトレアです。」


私は困惑しながらも自分の名前を伝えると『では、これを。』と、目録ではなく一緒に持ってきていたノートを渡される。


「あの、これは?」

「スイネグさんからの預かりものなので、返却はしなくて大丈夫です。」

「預かりもの…。」

「はい、スイネグさんからアルトレアさんが来たら渡してやってくれと。」

「あ、ありがとうございます…。でも、どうして分かったんですか?」


司書の人によると、どうやら年末ぐらいにスイネグ先輩が私用にとノートを預けていったらしい。


それにしても、周りを見る感じ私達以外にも研究ノートを借りに来ている人達は居るようなのに、私が名前を言う前から誰なのかを察している様子だったのは何故なのだろうか。

私はそう疑問に思って尋ねてみる。


「実はですね、彼が『この時期に俺の研究ノートを借りに来るような奴なんてアルトレアしか居ないだろう。』と言ってたので、そうかなって思ったんです。」

「行動を予測されてたのね…。」

「ふふっ。レアちゃん、仲良くなれてるんだね。」


このノートが恐らく自分用に作られたものだと考えると、私はなんとなく、少しだけ嬉しくなってつい、ノートをぎゅっと抱き締めてしまう。


「なっ、レイナ…!もう。余計な事言ってないで、さっさと借りるやつ決めなさいよ!」

「えぇー!ま、まってよ~。どれが良いのか分からないよー!」

「今の時期でしたら、この辺りとかどうでしょうか?」


それを見て、レイナが茶化すような顔をするので、私はそう言って彼女の意識を逸らすのだけど、彼女達が相談している間も、にやけそうになる顔を抑えるのに苦労するのだった。

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