06 放課後の練習
試験まであまり日数がないので、放課後に私は1人魔法の練習をしていた。
「簡単な属性魔法は使えるようになってきたけど、形を変えたり、6属性以外の魔法を出すのはまだまだ難しいなぁ」
そう言いながら、私は今出来ることのおさらいと思って火、水、風、土、光、闇と順番に魔法を使う。
「うん。1つずつは大丈夫そうね。やっぱり問題はこれを複雑化させようとするとすぐに消えちゃうことか。使う魔力を減らしてみても消えちゃうし、これは魔素が薄い以外にも何か魔法が使いにくい理由があるのかな」
次に私は氷を出そうとするが、いつもと同じで魔力が物質化する前に霧散してしまう。
「やっぱりだめかあ。いっそまた魔力をギリギリまで使ってみようかな」
倒れた日、限界になる少し前辺りから、私は魔力を使うときに普段とは違う感覚が体にあったことは覚えているのだが、先程からいくら魔法を使ってもあの感覚が掴めないので、あの時と同じ状態を再現しようかと考えていると
「やっぱり無茶しようとしてた。言われた通り来てみてよかった」
いつの間にかレイナが近くまで来ていた。
「どうしたの?レイナが外に来るなんて珍しいね」
「だって先輩が、『この前、君のお友達っぽい子がふらふらで帰っていったけど大丈夫だった?』って言うんだもん。休んでた理由は知らなかったけど、無茶をしたのが原因だってすぐに分かったよ」
「それでテスト前なのに、わざわざ私の様子を見に来たの?心配しなくても、あの日は焦って魔力を使いすぎちゃっただけで、もう今日は倒れるほどいっぱい練習するつもりはないよ」
レイナの先輩が、私の事を知っているのは驚きだが、それよりも、練習の度に彼女が様子を見に来るのは、お互い大変だろうし、私もあの日の事は反省してて、大人しくするつもりだと言うことを伝えようとするが
「レアちゃんが何日も休んでて、ふらふらだった理由が魔力枯渇なわけ無いでしょ!絶対絶対、変な魔力の使い方して寝込んでいたんだって思ったから、また無茶しないように見張りに来たんだよ」
なんて怒られてしまった。
「そういえば、レイナは先輩と一緒にいたんじゃないの?外に来てて大丈夫なの?」
彼女は普段、放課後は2人で練習しているのを知っているので、話を誤魔化すついでに聞いてみる。
「実は私、次の試験は風魔法で受けるか迷ってたから、レアちゃんの話聞いて、レアちゃんと練習してくるって言ってきちやった」
「そうだったんだ、なんかごめんね。私のせいで迷惑かけちゃってるかな」
「ううん。そんなことないよ!それに、私が外に来たのはレアちゃんに魔法の事で聞きたいこともあったからだし」
「聞きたいこと?」
「うん。こっちに来る前は6属性以外の魔法も使ってたって言ってたでしょ?向こうでもあんまり使ってる人見たこと無いから、どうやるのかちょっと聞きたくて」
「教えるのはいいけど、私の場合やり方が2つあるんだよね」
「2つ?」
「うん。1つは自然現象とかを利用して基本の6属性以外を出す方法。けど、これは同時に幾つかの属性魔法を出せないと無理だから、今回はもう1つの方法を教えればいいのかな?」
「2つ以上同時にかぁ。私は風しか使えないし、もう1つの方を教えて」
どうやら完全にレイナの気を反らすことが出来たみたいなので、私はそのまま彼女と魔法の練習を始める。
「へぇ~。治癒魔法って風属性から変化したものだったんだ」
「正確には、レイナが使ってる治癒魔法が、風属性から変化させたものってことね。詳しい原理は後で説明するけど、もう1つの方法は、これと似たような感じで元々の属性から状態を変化させたものと、効果を変化させるものがあるの。レイナのは効果を変化させたものね」
「ほわぁ~。難しい話になりそうだね~」
「そうね、だから今日は基本の属性魔法の練習をして、それ以外のことは試験が終わってからにしましょう」
私はそう言って、話に区切りがついたところで自分のことに集中しようとすると、
「あーっ!忘れてた!レアちゃんに話したいことがあったんだ」
いきなりレイナが大声を上げた。