74 バラバラになっても
「来年かー。皆と離れたくないねぇ。」
レイナがそう呟くと、今年も残り少なくなり、いよいよクラス替えが近くなってくるのを感じる。
「クラス、違くなっちゃう?」
「そりゃあ、そこに来年はSクラス以上確定の奴が2人いるんだから、4人で同じクラスってのはありえねぇだろうな。」
「そうねぇ。結局、リュウレン達の方も、何だかんだで加点されることになったみたいだし。」
「わたし達もお咎め無し。」
そうなのだ。校外学習で私達が倒した熊は、どうやら最近魔物化が進んだようなので、依頼表にある脅威度とはずれてしまっていたらしい。
その為、あの熊と関わった人達の成績がまた見直されるらしいのだけど、『まぁ、直接あれを倒したお前らが低い評価はされんだろ。』と、スイネグ先輩の言った。
更に、『もしかしたら、あの子熊を観察することで、動物の魔物化のメカニズムを解明出来るかもしれん。』と、子熊を連れ帰ってきた事も、功績として捉えられているようだった。
なので、結果で言えば私達の班は、全体的に高評価を受ける事になるだろうとのことだった。
そうなると元から成績の良かったサヤカやリュウレンは、来年は確実にSクラス以上に上がると思われる。
「ね、ねぇ…2人はSクラス以上って言うのは…」
私が、メリッサの言葉に校外学習の事を振り返っていると、レイナそう不安そうな声を出す。
「決まってんだろ。お前とサヤカ以外に誰がいるんだ?Aクラスで平均のあたしと、ドベのこいつがいきなりSクラスに上がるとでも思うか?」
「あんたに言われるとムカつくわね。けど、聞いてる感じ救助隊って、大体Aクラス以上の人達がなってるみたいだし、今回のメンバーについて行動出来てるなら、あんたも良い評価を貰えるんじゃない?」
「で、でも…アリアス大陸の人は1年生では、試験の結果は評価に反映されないって…」
実際レイナの班は、彼女以外3年生で編成されていたので、春休みの期間にCからAクラスに変更されたと言う事例もあるのだし、同じようにまた来年クラスが変わってもおかしくはないだろう。
「そもそも、評価が反映されないって言うのは、先生から直接聞いた訳では無いからね。」
「うぅ~。クラスが違くても、皆とまた遊べるかな?」
「大丈夫じゃないの?別に他のクラスの教室に入っちゃダメってことは無いんでしょ?」
「あぁ、そうだな。別にそんな決まりはねえぞ?」
先輩達の様子を見てると、クラスやなんなら学年もそこまで気にせずに、関わりがあるように見えるし、きっと私達もこの友情が続く限り、離ればなれになることは無いだろう。
「まー、私達が決められない事で、来年がどうなるか憂いても仕方がないわよ。」
「うん。クラスが変わってもまた集まれば良いだけ。」
「けっ、同じクラスでもこんだけ集まり悪いくせに、果たして来年も集まれるのかねぇ?」
「だ、大丈夫だよ!今年は大きな行事も終わったし、私ももっと皆と遊びたいって、そう思ってるから…。」
最後に私がそう締め括ると、サヤカもその言葉に同意する。
それに対して、メリッサもやれやれと肩をすくめる仕草をして、抗議の意を示すけれど、今度は力強く、しかし最後には呟くような声量になりながらも、レイナが自分の意思を伝える。
普段は、『そんなこと無いよ~。』とでも言いながら事なきを得ようとするレイナだけど、私達1人1人の目を見てその言葉を伝えようとする姿からは、きっと救助隊として、今回の校外学習で色々な経験をしたのだということが窺い知れる。
「今度…24日。皆で集まれる?」
そうして、私達のテーブルに静かな時間が訪れるけど、今度はそう言ってサヤカが沈黙を破る。
「あたしはいつでも行けるぜ。どうせ暇だからな。」
「そうね。せっかくレイナが熱く語ってくれたんだし、私も行けるようにするわ。」
「も、もう!からかわないで!もちろん私も行くよ!」
「けど、どうしてその日なんだ?」
珍しく、サヤカから皆を召集したいとの事だが、私達は当然それを快諾する。
それにしても、何故その日なのだろうか。
普通に考えれば、提案されたのは終業式の日なので、冬休み前に皆で集まろうと言うことなのだろうが。
私達のその疑問をメリッサが直接聞いてくれる。
「わたしの所では、24日は家族で集まってゆっくり過ごす日だったから…。だから、皆とも…どうかなって…。」
「へー、そう言う風習があるのね。だったら、その日は誰かの部屋に集まろうか?」
「つまりは、お泊まり会ってこと!?」
「まぁ、あたしらの部屋なら2人部屋で元々広いし平気か?」
「やった!!楽しみだね!サヤカちゃん!」
「ありがとう…皆…。」
そうして、私達はまたすぐに集まることを約束して、残りの休日を十分に楽しむのだった。




