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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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62 急がなきゃ

「ちょっ…いきなり大きな声出さないでよ。せっかく近くまで来てくれたのに、逃げちゃうでしょ☆」


私が思わず叫ぶと、フレアがそう言って少し怒ったように膨れっ面をして見せる。


更に、リュウレンも

『そうだぞアルトレア。お前、さっきからサヤカが庇うからって調子に乗ってきてないか?だいたい…

と、度重なる私の行動で苛立ちが募っているのだろう。何かを言いながらこちらに詰め寄ってくるが、今の私にはそれに構っていられるだけの余裕が無かった。


サヤカとカツミは今がどんな状況なのか把握出来ているのだろう。2人だけは茂みから出てきた子熊を見て血の気の引いたような顔をしていた。


だが恐らく、彼女達は大人の居ない状態でこのような場面に遭遇したことが無いのだろう。2人とも子熊を見つめるだけで、何の行動も起こせないでいた。


それを見て私は、動ける人が自分しか居ないのだと悟り、何をするにしてもまずは情報が必要だと判断し

「サヤカ!周りの様子を探れる!?」

と、彼女へ端的に出来ることが無いか尋ねる。


私の言葉を聞いて、ハッとサヤカは固まっていた表情を動かし、辺りをキョロキョロと見回すが

「レ、レア…ごめん。わたし、索敵魔法は使えない…。」

と、泣きそうな顔になりながら彼女は私の期待に応えられないと返事をする。


「身体強化!全力で!!」

けれど私は、前にスイネグ先輩から聞いた事を思い出し、一か八かサヤカならこのやり方で索敵出来るのではと考え、そう叫ぶと

「分かった!!」

と、彼女は私の言葉に何の躊躇いもなく、即座に全身に魔力を流し始める。


「居た!あっちの方!!」

そして、回路に魔力を流したことで恐らく鋭くなっているであろう感覚で、私が探して欲しいものを発見すると、そう言って子熊が居る奥の方を指差す。

それを聞いて私は、やはり恐れている事態が起こるまで、もはや一刻の猶予も無いと考えた。


「サヤカ、皆を連れて反対側に逃げて。」

「レ、レアはどうするの?」

「そいつはこっちに気付いてそう?」

「わ、分からない…。」

「そう、なら急いで動かないとよね」

「おい、何の話をしてるんだよ。」


けれど、まだ森に慣れていないメンバーも居るなかで、迅速に行動をするのは難しいだろう。かといって、全員で走って移動しようとすれば、ほんの少しの間にはぐれてしまう人や、疲れて動けなくなってしまう人が出てもおかしくない。


なので、私はサヤカとカツミに皆を纏めてもらい、私自身は別行動をとることを彼女に提案しようとする。


その前に、話し合いの様子を見てさすがに只事では無いと感じたのか、リュウレンはしばらく口を挟まずにいたが、自分の意思と関係無く進退が決まりそうになった事で我慢出来なくなったのか、そう言って私達の間に入ろうとする。


「今は邪魔をしないで、自分達はいつでも動けるように待機しておこう。」

だが、そう言ってカツミがリュウレンを引き離し、班員も纏めに行ってくれたので、私は心の中で彼に感謝しつつ、そのまま話し合いを続ける。


「助かるわね。それじゃあ、二手に別れて行動したいんだけど、サヤカ…他のメンバーの事は任せるわよ?」

「レアっ!?」

「狩りをしたことがあるなら、今は言い争ってる場合じゃないのは分かるでしょ?」

「うん。でも、今ならまだ気付かれてないと思うし…それに、わたしが知ってる気配と少し違う気がする…。」


私の提案に、サヤカは不安そうな顔をするが、今すぐにでもこの場を離れないといけないこと、そして、迂闊に救難信号を上げるわけにもいかない状況だというのを、彼女は誰よりも理解していることだろう。


「どっちにしても、向こうが本気で追いかけてくる前に、出来ることをしなきゃでしょ?」

「レア…やっぱり……」

「大丈夫よ。私は1人で魔物退治したりしてたんだから、心配しないで。」

「……………分かった。絶対に無茶しないで。」

「約束するわ。」


だからだろう、きっと色々と言いたいことはあっただろうに、彼女は言葉少なめにそれだけを言うと、皆の所に撤退の指示を出しにいく。

私はそれを見ると、先程彼女が指を指した方向へと動き出す。

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