61 遭遇
とまぁ、そんな事があったので、リュウレンは私が休憩の指示を出すと、不機嫌な態度を見せる訳だ。
それでも、あまり文句を言わずに指示には従ってくれるので、私はサヤカがリーダーを引き受けてくれたことを、心の中で密かに感謝する。
それはともかく、ここは今まで休憩した場所と比べて、少し広いスペースがあるので、サヤカと軽く見回りをしたら昼食を提案しても良いかもしれない、なんて事を考えながら、サヤカの方を見ると彼女もこちらの視線に気付いたようだ。
「見回り?」
「うん、毎回悪いわね。」
「別に、慣れてるから問題ない。」
「それなら良かったわ。レアも平気?」
「私はカツミと交代しながらだから大丈夫よ。」
私達は、はぐれてしまった時にサヤカとカツミが、自分の居場所を示せるような魔法が使えないので、いざと言う時は渡した魔石を砕いて、合流を待つといった対策を立てていた。
それでも魔石の数にも限りがあるので、サヤカが別行動を取るときは基本的に私かフレアが着いて行き、半分に別れての行動の時は、合流がしやすいように私はサヤカとカツミと一緒に行動することに決めていた。
けれど、森の中に入ってみると2人とも、見回り等で軽く離れるぐらいなら、予想よりも簡単に合流出来るのが分かったので、休憩の時にはサヤカと私、もしくはサヤカとカツミで見回りをしていた。
ひとまず地図を見て、現在の依頼達成状況的にも、目標点数には十分間に合うことを確認すると、私達は見回りから戻ると、皆にお昼休憩を提案するのだった。
「ふー、疲れたー☆今日は1日だけだからお弁当を持ってきたけど、何日もかかる依頼の時はご飯を現地調達したりするんでしょ?ウチにはそんなのムリー。」
「わたしの所では、魔物もほとんど出ないから、お弁当よりも簡単な調味料とかを持っていくことの方が多い。」
「私の所では、逆に狩れるような動物があんまり出ないから、食糧が尽きる前には帰るって事が多かったなぁ。」
昼食を取っている時、私達は偶然にも皆違う大陸出身だったので、それぞれの普段生活や文化の違いの話し等で盛り上がっていた。
「それにしても、レアっちって意外と体力あるんだねー。ウチらが休んでる時も、時々見回りしてるのにまだまだ余裕そうじゃん☆」
「あまり戦闘に参加できてないから、それもあるのかしらね。」
「それを言ったらウチも同じだよ。強化魔法もずっと使ってる訳じゃないのに、ワタリより動くの早いし。」
「森の中だから慣れもあるのかしらね。」
ご飯も食べ終わり、皆で荷物を纏めていると、ちょうど良い高さの切り株に座って、足を伸ばしていたフレアからそう声をかけられる。
実際、ベネウッド大陸の人達は、魔法での攻撃が想像よりも魔物に有効打を与えられなかったり、森の中と言う環境での戦闘に苦しんだりと、私が思ってたよりも体力を消耗していた。
けど、そんなことよりも私はフレアの指摘にドキッとした。
そう、私は彼女の言う通りずっと身体強化をしていた訳では無かったのだけど、その理由が、まだ動きながら魔法を使うのに慣れていないからだったので、こんな状況でも、しっかりと私の状態を把握されていたことに驚いたのだ。
「わたしはあまり後ろの様子を見れてないけど、ペースはこのままで大丈夫そう?」
「ウチが見てる感じ、そのままだとちょっとワタリがキツいかもね☆」
「自分も見ててそう思います。」
「けどよ、ペース落として平気なのか?」
「採集もしてるから、一応目標の半分以上は達成出来てる。」
そうしてフレアと話していると、いつの間にか用意が終わったのか、皆が集まって来ていた。
その様子を見て、出発準備が出来たのかを尋ねようとすると、がさがさと茂みが揺れるので、皆の視線がそちらへ向けられる。
『な、なんだろう…何か来てる?』
フレアはそう言うと、恐る恐る音が鳴る方へ歩いていくと、
『ひゃっ、ビックリしたー!子熊ちゃんかー。』
音の原因であった子熊がヌッと姿を表す。
『ご飯の匂いにつられちゃったのかな?可愛いねー☆』
こちらを警戒する様子もなく、のそのそと歩いてくる子熊に、フレアもそう言って警戒を解くと、その子熊へと近付いていく。
私はそれを見て、思わず「離れてっ!!」と叫ぶのだった。




