59 いざ、森の中へ
「皆揃ってるか?俺達も森へ向かうぞ。」
レイナ達が居なくなってしばらくすると、リュウレンとサヤカが受付を終えて戻ってくる。
「ちょっと待って!まだワタリが戻ってきてないよ☆」
「あぁ?そう言えば途中ですれ違ったような気がするな。あいつは何処に行ったんだ?」
「なんか、受付にレアっちの先輩が居るって聞いて、走ってっちゃったんだよね。」
リュウレンは、戻ってくるなりすぐにでも出発しようとするが、まだワタリが戻って無いことを聞いて、はぁと溜め息を吐くが、さすがに置いていくつもりはないようだ。
「まったくあいつは、出発前だってのに何してるんだ…。」
「普段関係の無い先輩と、話せる機会なんて早々無いから、気持ちは分からないでも無いけど。」
「あ、帰ってきた。」
それでも、リュウレンは出鼻を挫かれたことで不機嫌になり、腕を組んでワタリを待っている。
そして、カツミが彼を落ち着かせていると、ワタリが戻ってくるのをサヤカが見付ける。
「お帰り、思ってたよりも早いわね。」
「2人とも戻ってきてたのか。待たせてすまない。」
「まださっき戻ってきたばかりだよ☆」
「そうですか、それならよかったです。」
「それで、結果はどうだったの?☆」
「今は忙しいから後にしてくれって言われたよ。」
「そっか、残念だね。」
「あぁ…けど、ようやく直接話が出来たからね。きっとボクの顔も覚えてくれただろう。」
話を聞く感じ、あまり良い返事は貰えてなさそうだったけど、ワタリがそんなに気にしてなさそうだったので、私はそのままサヤカ達の方に耳を傾ける。
「それで、依頼の内容はどうだったの?」
「色々とあったが、俺達は魔物の討伐を目標にして森へ向かう事にする。」
「討伐依頼を受けて来たって事?」
「違うでしょ、ちゃんと説明して。」
「ちっ、分かったよ。今回俺達は、依頼を受注してこなかった。」
「受注してこなかったって…いったいどうして?」
最初にリュウレンが魔物の話をした時は、私達は皆やっぱりと言った顔をしていたのだけど、サヤカに訂正されて続いて告げられた言葉に、私達は衝撃を受ける。
戸惑いを隠せないまま、どういう事なのかを彼に詳しく聞いてみると、内容はこうだった。
冒険者協会では、討伐や採取どちらでも出発前に依頼を受注するのが基本なのだが、ギルドでは住民からの依頼や情報を纏めたものを掲示板に張り出し、ギルドに所属する人達がそれらを確認し、依頼を達成した後に報告する事が多いらしい。
なので今回は、サヤカの提案でそれに倣い、依頼を確認するだけに留めて、採取依頼が出されているものを集めつつ、狩れそうなら討伐依頼も達成しようということらしい。
「へぇ、それじゃあ依頼の取り合いみたいなのにはならないのね。」
「うん。でも、クラスで制限がかかってたり、受けられる人数が限られてる依頼もあったよ。」
「一応サヤカが、今日通る予定のルートにある依頼の確認はしてるから、お前らも見ておけ。」
「ここでこうするなら、皆で依頼を見に行っても良かったんじゃない?☆」
「そんなことしたら無駄に時間が掛かっちまうよ。何の為のリーダー達だと思ってるんだ。」
リュウレンによれば、2人は制限がある依頼は今日1日で達成は難しいと考え、掲示板に出ている依頼をほぼ全て確認して、その上で達成出来る可能性の高いものをピックアップして纏めて来たようだ。
「皆で来ている班も居たけど、あそこで意見を纏めてから、受注してる方が時間がかかる。」
「そうだね、受注しないならこのやり方の方が良いのか。」
「そう言うことだ。ギルドは冒険者協会と違って、幾つかの依頼と調査結果を纏めたものを貼り出しているのが多かったから、依頼主とのやり取りもほとんど必要無い。」
「へー、似たような組織だと思ってたけど、結構やり方が違うのね。」
私の街には、ギルドも冒険者協会もなかったので、皆の会話を聞いて掲示板がどういう物なのかとか、色々と気になることが出てきたが、それは報告の時に皆で見に行こうとフレアが提案し、皆もそれに納得したところで、いよいよ森に向けて出発するのだった。




