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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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58 出発準備

「まだ朝早いのに、けっこう居るわね。」


今日はいよいよ校外学習当日となり、私達は普段授業が始まるよりも少し早い時間に外に出たのだが、そこにはAクラス以外の人達の姿もあり、思っていたよりも混雑しているようだった。


「うはぁー☆こんなに寒いのに皆早起きだねー。」

「見た感じ、Aクラス以上の人達が多いですし、サヤカさんの意見は正しかったようですね。」

「そ、そうだね。とりあえず受注はリーダー達に任せて、自分達はこの辺りで待ってれば良いのかな?」


今回の校外学習は、ギルドの擬似体験のような形で行われるので、上級生が受付等の実際にギルドが行う業務を担当し、私達1年生が依頼をこなしていく訳なのだが、最初リュウレンが『点数を上げられるようになるべく早い時間に出発しようぜ。』と提案したときは本当に焦ったものだ。


幸い、サヤカがすぐに『慣れてない場所を、暗いうちから歩くのは危険。冒険者協会の依頼でもないのだから、もっとゆっくりで良い。』と発言し、他の班員もその意見に賛成したため事なきを得たのだが、周りの様子を見るにその判断は正しかったようだ。


と、そんなことを考えていると、向こうの方から聞き慣れた声に名前を呼ばれる。


「あーちゃーん!見送りに来たわよー。」

「せ、セイラ先輩。朝から元気そうですね…。」

「おはよう、レアちゃん。サヤカちゃんは居ないんだね。」

「うちの班は、リーダー達が受付に行ってるからね。」

「そうなんだ。メリッサちゃんの所は皆で行ってたけど、やっぱり班によって色んなやり方があるんだね。」


私は、早朝からいつも通りなセイラ先輩に挨拶をすると、一緒に来ていたレイナから他の班の人達の様子を聞いたり、セイラ先輩の愚痴を聞いたりする。


いきなり上級生がやって来たので、私の班のメンバーは驚いてたようだが、フレアは持ち前の適応力で、早速セイラ先輩と楽しそうにお喋りをしている。

そして、それを見ていたワタリが突然『あのっ!』と、興奮したように彼女へ声をかける。


「あら?どうしたのかしら。」

「貴女がアルトレアさんの先輩なんですよね!?あの、魔道具を作った!」

「えっと、どういう事かしら?」

「あー…多分、先輩から色々と教わってるとしか言ってなかったから…。」

「勘違いしちゃったのね。確かに私もこの子に教えたりするけど、魔道具を作ったのはもう一人の方よ。」

「ちょっ…離してください!!」


どうやらワタリは、私の所へわざわざ来た上級生が、例の先輩だと勘違いしたようだったが、セイラ先輩は私の事を抱き寄せそれを否定する。


「そ、そうなんですね。失礼しました。では、その方はどちらに?」

「受付を担当してるから、本部の方に…

「本部で受付をされてるんですね!きっと彼女と同じ物を着けてますよね?!ありがとうございます!!」

「…行けば会えるとって、…もう行っちゃったわね。」

「す、すみません。あんまり悪い人じゃ無いと思うんですけど…。と言うか、スイネグ先輩が受付をしてるんですね。」


そして、その人物が受付に居ることを知ると、セイラ先輩の言葉を最後まで聞かずに、そう言ってあっという間にこの場から去っていく。


「うふふ、大丈夫よ。それに、スイが受付をやってる理由って『朝から森になんか行ってられるか。』って事だから、別に意外でも何でも無いのよ?」

「あはは…先輩らしい理由ですね。」

「…さっきの子が、この前言ってた子かしら?」

「はい。あまり良い返事は貰えなかったんですけど…。」


セイラ先輩は、恐らくスイネグ先輩にワタリを紹介したときの事を言ってるのだろうが、私はスイネグ先輩が『興味ない。』と、素っ気なく一言だけ返してきたのを思い出す。


「それもそうよね。スイの要求水準を満たすのは大変だろうし、あーちゃんが居るならわざわざ他の子を欲しいとは思ってないみたいだからね。」

「そ、そうなんですか…?」

「えぇ。この前私達の前でそう言ってたもの。ねぇ、レイちゃん?」

「えっ?あれってそう言う意味で…。そっか、だから…」

「スイったら、よっぽど貴女とそれを作った時が楽しかったみたいね。もう、嫉妬しちゃうわ。」


けれど、セイラ先輩からスイネグ先輩がワタリに興味なかった理由を聞き、レイナの反応からそれがほぼ事実である事を知ると、彼には悪いが私は少し…ほんの少しだけだが、嬉しいと感じてしまった。



「あの…何の話か良く分からなかったけど、ウチの弟…ワタリも凄い優秀だと思うよ?」

「そ、そうです、セイラ先輩。彼も私と同じで魔術を使えるんですよ。」

「あら、貴女は?」

「えっと、ウチはワタリの双子の姉、フレア。セイラ先輩…で良いのかな?よろしくね☆」

「そう、フレアちゃんね、よろしく。それで、弟君の事なんだけど…」


隣で聞いてて、身内の事なので気になったのだろう、フレアがセイラ先輩にそう声を掛けたので、私も彼のアピールポイントを伝えてみる。


「確かに彼はAクラスだし、1年生の中では優秀なのかも知れないわ。だけど、ただ優秀な人が欲しいだけなら、別に下の学年から助手を取る理由は無いのよね。」

「あ………」

「そもそもSクラスやSSにも、一部なら彼と一緒に研究したい人は居るわけだしね。ただ、助手になってまで手伝いたいって人が居ないだけで。」

「で、でも…それならレアっちはどうして?」


だが、それは彼を推薦出来る理由にならないと、セイラ先輩にはっきり言われてしまう。

それでも、フレアは食い下がるようにそう質問する。


まぁ、クラス成績最下位の私が助手に選ばれてるのに、自慢の弟が必要無いとバッサリ切られたのだ。

理由を聞きたくなる気持ちは理解出来る。


「そうねぇ、色々と理由はあるかもしれないけど、一番は運…かしらね」

「う、運…?」

「そうよ。元々スイは、あーちゃんの事も、助手に取るつもりなんか無かったんだから。」

「やっぱりそうですよね…。」

「でも、きっかけは運だったけど、その後の事は貴女が頑張った結果よ?だから自信を持ってスイの助手を名乗りなさい?」

「は、はい。ありがとうございます。」


実力で取った訳じゃない事は前にも聞いてたけど、改めて他の人の前でもそれを言われて落ち込みそうになるが、続く彼女の言葉に、私は少しだけ先輩達に認められたような気持ちになった。


「フレアちゃん、貴女の弟も運良くスイと会うチャンスが生まれだから、後は彼が上手くアピール出来るかどうかよ。」

「うん☆ワタリはウチなんかよりも、すっごく頭いいから、直接話せるならきっとだいじょーぶ!」

「ふふっ、私もあの研究室に人が増えるのを楽しみにしてるわ。それじゃあ、あんまり出発前の時間を取るのも悪いし、私達はそろそろ行くわね。」

「うん、じゃーねー☆」

「が、頑張ってね、レアちゃん。」

「あんたもね、レイナ。」


最後にセイラ先輩は、ワタリが助手になれるかは、彼の頑張り次第だとフレアに伝えると、そう言ってその場をレイナと共に去っていくのだった。

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