51 リーダーを決めよう
「自己紹介が終わったなら、そろそろリーダーとか決めない?」
私とリュウレンの間に不穏な空気が流れ始めたとき、サヤカがそう言って会話を断ち切ることで、私はリュウレンと喧嘩なんて、今ここですることではなかったと冷静になり、あいつも同じように考えたのか、他の班員に迷惑をかける前に、お互いに一旦矛を納める。
「そうね、騒がしくしちゃってごめんなさい。」
「平気…。」
「大丈夫だよ、レアっち☆それで、リーダーはどんな風に決めるの?」
「普通に成績順でいいんじゃねえのか?」
「確かにそれが分かりやすそうではありますね。」
私が謝ると、すぐに皆気にしていないと言ってくれ、そのまま話はリーダー決めへと移っていく。
「成績順って、…もう評価って発表されてたっけ?」
「お前らが来る前に少し話してたんだよ。わざわざ現時点での正確な評価を参考にするって言ってたから、どこも同じぐらいになるように班分けされてんじゃないかってな。」
「そんなこと話してたんですね。」
班を振り分けるときに、試験の結果は発表されてなかった気がしたので、私は聞いてみると、どうやら成績の良い順から呼ばれてるのではないかとワタリが予測していたらしい。
それを聞いてカツミが感心したような声をあげる。
「そうだね☆レアっちがこの班に来るかもって事も話してたんだよ!」
「私が?」
「そう!『最後の1人はきっとアルトレアだろうね。』って。予想がほんとに当たっちゃうんだから、ワタリは凄いね☆」
「姉さん…。」
それを聞いて、フレアが自分の事のように嬉しそうに、先程話していた内容を説明するが、ワタリは彼女から誉められてもあまり嬉しくなさそうだ。
ワタリの諦めたような表情からするに、きっとこれは、彼ら姉弟の中では良くある光景なのだろう。
しかし私は、今の会話で少し気になるところがあった。
「どういう事?試験って確か、最後以外は別れて受けてたと思うんだけど。」
「知らないの?レアっちってAクラスの中じゃ超有名じゃん!☆」
「有名?なんで私が?」
「そりゃ~魔法も運動もダメダメなのにどうして…」
「姉さん、あまり本人の前で言う内容じゃないと思うよ。」
私がそれを尋ねると、すぐにフレアが理由を教えてくれるが、途中でワタリに遮られる。
だが、『どうして私がAクラスに居るのか…。』恐らく彼女が後に続けようとした言葉は十分に予想がついた。
「レア…。」
「まぁ、今の私がAクラスの基準に追い付けてないのは事実だからね。」
「そんなの分かりきってることだろ。それよりもリーダーはどうするんだ。さっき言ってた通り、成績順でサヤカで良いのか?」
「わたし?」
サヤカが心配そうにしているが、実際の所、魔術を満足に使えなくて、魔法の練習を始めたばかりの私が最下位なのは当然ではあるだろう。
それよりもリュウレンの発言の方が意外だ。
「へー、あんたがリーダーをやりたがると思ってたけど、そうでもないのね。」
「適任者が居るのに、わざわざそれを押し退ける程バカじゃねえよ、俺は。サブリーダーは俺がやるけどな。」
「ウチは出来る気しないしそれでいいと思うよ☆」
「ボクも特に反対はしないかな。」
サヤカがリーダー、リュウレンがサブリーダーをやると主張するが、それに反対すると言う人は居ないようだった。
「自分は、先程話していた通りなら成績上位であるお二人に任せるのに異論は無いです。」
「私もまぁ、サヤカがリーダーになるなら無茶な指示も止めてくれるだろうし別に良いと思うわ。」
「えっ?えっ?皆、本当にわたしで良いの?」
だけど、当の本人であるサヤカだけがリーダーをやることに意欲的では無いみたいだ。
「いいじゃーん!やっちゃいなよ☆」
「そこまでリーダーと言う役職を重く捉え無くても良いのでは?単純に、我々の班としての最終意思決定す立場だと思えば気が楽になると思うが。」
「う、うぅ~…」
「そうね、何もあなた1人に全部任せたいって訳じゃなくて、私達の中で意見が別れたときに、それを纏める役目をお願いしたいのよ。」
「わ、分かった…。皆がそれで良いなら、わたしリーダーをやるよ。」
「ありがとう、サヤカ。」
それでも、皆が彼女に全ての責任を負わせたい訳ではないこと、暗にリュウレンのストッパーになって欲しいと言うことを伝えることで、ようやくそれを引き受けてくれる。
「そろそろ顔合わせは済んだか?遅くても今週中にはリーダーを決めろよ!」
「あ、呼ばれてるみたいだね☆」
「今度の校外学習の内容についてだって。それじゃ、戻ろうか。」
「うん。」
そうして話が纏まったところで、タイミング良く先生からの招集がかかり、私達は再び訓練所の中央へと集まるのだった。




