50 ヨロシクね☆
「つ、遂に今日発表なんだね。」
お昼休み、いつも通り皆でご飯を食べていると、レイナが先程先生から発表されたことを話題に出す。
「なんであんたが緊張してるのよ。」
「だ、だって…、皆同じ班になれたらいいなって…思ったんだもん。」
「どうせレイナは救護班だから関係無い。」
「ま、別に誰と一緒になろうが構わねえけどな。」
「み、皆ひどいよ~。」
そんな話をしている内に、休み時間は終わりAクラスの皆が訓練所へ集められる。
そこでは、さっきまでの私達みたいに何人かで集まりながらグループ分けを待っているようだった。
そうして遂に班分けが開始されると、私達は呼ばれた人から順に、それぞれの所へと別れていく。
どういう順番だったのか分からないが、私は一番最後だったので、呼ばれた場所へ向かうと、そこには既に5人の班員が揃っていた。
「あっ、レアっち~ウチらの班に来たんだー。あんまり絡んだこと無いけどこれからヨロシクねー☆」
「れ、れあっち…?」
「姉さん、いきなりそんなに距離を詰めたら、びっくりされるっていつも言ってるじゃないか。」
彼らの前に行くと、すぐに赤髪の女の子が元気な声で話し掛けてきて、それを隣に居た青髪の男の子が窘めている。
「うげ、お前が最後の1人かよ。」
「よ、宜しく…。」
「レア、同じ班だね。宜しく。」
その声で残りの班員達も私に気付いて、それぞれに声をかけてくる。
リュウレンはこちらを見て嫌そうな声を出すが、私だって同じ気持ちだ。
彼の隣に居るのは、私の1つ前に呼ばれた人だろうか。最後に声を掛けてきたサヤカと同じ黒髪なので、恐らく彼女と同じくユニウス出身だと思われる。
集まったメンバーを見てみると、半分ぐらいはあまり話したことの無い人達だったので、サヤカが同じ班に居ることに途轍もない安心感を覚える。
班分けされた後、特に先生からの指示が出ていないのでどうしようかと思っていると、赤髪の女の子が『ねぇ、ウチら同じ班になったんだったら、自己紹介とかしとかない?』と言う。
同じクラスとは言え、サヤカ以外ほとんど接点が無かったので、私は特に反対する理由も無く、他の人も同じような感じだった。
「と言うわけでー、まずはウチから!ウチはフレア、得意魔法は炎属性だよ☆あっ、ちなみにこいつとは双子で私が上!ってことでヨロシクねー!」
「どうも、この姉の双子の弟、ワタリです。得意魔法は水属性かな。」
どうやらこの2人は双子のようで、出身はリュウレンと同じくベネウッドらしい。
「俺はリュウレン。得意な属性は水だが、他の属性も大体使える。俺もベネウッド出身だ。」
「私はサヤカ。得意な属性は…無い。ユニウス出身。」
「おおっ、これは両極端だねぇ。」
「自分はカツミって言います。一応土属性が使えるけど、得意って程じゃないかな。出身はユニウスだよ。」
他の人が自己紹介をしたので、次は私の番だ。
「私はアルトレア。得意な属性は分からないけど、一応どの属性でも使えると思う。出身はアリアスよ。」
「うんうん、皆ヨロシクねー☆あ、そうだレアっち!校外学習ではウチらに付いてくの大変だと思うけど、ウチらに合わせようとしなくて平気だからね☆」
「え?私?う、うん。力を合わせて頑張ろうね。」
全員の自己紹介が終わると、フレアは満足気に頷いているが、最後に何故自分だけ名指しされたのか分からず、とりあえずそう答えて首を傾げていると、リュウレンが口を開く。
「おい、伝わって無いみたいだからハッキリ言った方が良いぞ?」
「はっきりって何よ。」
「足手纏いだから余計な事をするなって話だよ。」
「な…、余計な事って…」
「レンレン、何言ってるの!?」
そのあまりにもストレートな物言いに、私は口籠ってしまい、フレアも驚いたように慌てて否定の意を示す。
「レアっち、違うからね?ウチはその…おかーさんが良くアリアス出身の人は体力が無いって言ってて、それで心配して…」
「そ、そう…。心配の気持ちは嬉しいわ。ありがとうね。」
「もぉー、姉さんはいつも言葉と頭が足りないんだから。」
私達の様子を見て、ワタリが呆れたようにため息を吐くと、フレアが伝えたかったことを要約してくれる。
それによると、どうやら彼らの父親がアリアス出身ならしく、彼が強化魔法が苦手であること、そのせいで素の身体能力に自信があっても、魔法込みだと彼らの母親に全く歯が立たないらしい。
だから、同じアリアス出身の私もきっと、彼らの父親と似たようなものなのではないかと考えたらしい。
まぁ理由はどうあれ、気遣ってくれた事には間違いないので、私はフレアにお礼を言う。
そうして一瞬場が収まるかと思った瞬間、リュウレンが再び口を開く。
「おい、そこで仲良しごっこするのは良いけどよ、こいつはバカだからちゃんと釘を刺しとかないと駄目だぞ。」
「バカって何よ。あんたこそ、今は同じ班何だから、校外学習では足を引っ張るような事しないでよね。」
「俺達はお前と違って、今回の授業も成績に入るんだ。わざわざそんなことするわけがないだろう。」
私は久しぶりに本調子の彼と会話をして、改めてこいつの事が嫌いな理由を思い出すのだった。




