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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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48 文化祭・その後

「ここ…よね。」


今私は、とある人物の部屋の前で佇んでいた。

と言うのも、サヤカ達と噂話を聞きながら屋台を回っている時、私自身は体調面など、特に問題を感じてなかったのだが、途中である違和感に気付いたことで、昨日まで元気だったのに、今日何故か1度も姿を見てない人物の事が気になり、後夜祭と言うものに参加せずにそいつの部屋まで来たのだ。


「ねぇ、なかに居るの?」

何時までもここに立っていると、他の人も帰ってきてしまうと思い、意を決して部屋の中に呼び掛けてみるが、返事は無い。


予想通りの結果ではあったが、この場を立ち去る前に、念のためと取っ手にに手を掛けてみると、ガチャリと音を立てて扉が開く。

「鍵…開いてるのね。無用心過ぎないかしら。」


まさか本当に開くとは思っていなかったので、どうしようと戸惑っていると、部屋の奥から「誰か…来たのか…?」と、あいつの声がする。


「あの…私だけど…。」

「アルトレアか。…何しに来た。」


普段からいがみ合ってる相手が、こんな時に訪れてきたのだ。あいつからしたら当然の疑問だろう。


「なん…となく、かな。今日文化祭なのに来てなかったからどうしたんだろうって…一応…」

そう言って私は部屋に入り、他の人が突然入ってこないように鍵をカチャリと掛ける。


中に入って明かりを付けるが、その間もあいつが部屋から出てくる様子が無いので、やはり今日は体調不良で休んでいたのだろう。


「あら?私以外にも誰か来てたのね。」

奥の部屋に行く途中、テーブルに置いてある明らかに女の子のだと分かる物を見て私はそう呟く。


「開けるわよ。………やっぱり予想通りかしら。」

「何の話だ…。」


私は寝室の扉を開けると、これまで感じていた違和感が消えるのを感じる。

いや、どちらかと言えばこの半年で日常となっていた空気に戻ったのを感じたと言う方が正しいだろうか。


そして、開いた扉の先でリュウレンがベッドに横たわっていたが、私の姿を見ると辛そうに体を起こす。

その様子を見て、私は今日1日メリッサの話を聞いて感じていた違和感が確信へと変わる。


「あんた今、頭がめちゃくちゃ痛かったりとかするんじゃない?」

「…そうだけどよ、それがなんだってんだ。あいつから俺の様子を聞いて、笑いにでも来たのか?」

「あいつ?もしかしてあのお弁当箱の持ち主かしら。」


私は、リュウレンに今の体調を聞くと、今日メリッサから10月31日の噂を聞いたこと。そして、その中で出てきた体調不良の原因が、魔力酔いなのではないかと言う考えを話す。


「魔力酔い?何で俺がそんなものに。」

「気付いてないかもしれないけど、今日は何故か分からないけど、空気中の魔素が濃くなってるのよね。」

「濃くなってる?それなら魔力酔いになってる奴、もっと多くないとおかしくないか?」

「それは…」


私の考えを聞いて、リュウレンは否定的な意見を出す。

実際、彼の周りで同じような症状で悩んでる人はほとんど居なかったそうだ。

確かにただ魔素の量が多くなってるだけならそうだろうが、実際にはオゾンタイプの魔素が増えている事によって、アリアス大陸の環境に近い状態になっていると思われる。


ここからは完全に私の予想になるが、ベネウッド大陸でしかこの噂が流れていない理由として、世界中で同じような事が起きていたとして、アリアス大陸では元々オゾンタイプの魔素が多いので、普段と変わり無いように感じてしまうだろう。

そして、ユニウス大陸ではサヤカの様にそもそも魔術を使う人がほとんど居ないので、空気中の魔素量が変わったところで大して影響も受けないだろう。


その中で、ベネウッド大陸は昔から魔法と魔術どちらの技術も扱う人が多い為、何故この日だけ魔素が濃くなるのか分からないが、今の彼のように体調を崩す人も出てきていたのだろう。


「おい、急に黙んなよ。見て分かるだろうが、俺は今気分が悪いんだ。無駄話しに来たならさっさとかえっ…おい、何をしようとしてる。」

「ふふっ、なんだと思う?」

「まさか!?やめっ…ぅぐっ…」

「暴れないでね~。どっかで借りを返さなきゃって思ってたから、色々とちょうど良かったわ-。」


しかしまぁ、こんな事を説明したところで、リュウレンの言う通り無駄話にかならないだろうし、今回の目的は別にあるので、私は以前彼にされたように、布団に置いてある手を取って魔力を流していく。

一瞬強い抵抗を感じたが、すぐに受け入れたのか魔力を通しやすくなる。


「お前…覚えてろよ…。」

「あの時あんただって無理矢理やって来たでしょ。私の予想が合ってれば、これで幾らか楽になるだろうから大人しくしてなさい。」

「くそが…」


最後にリュウレンはそう呟くと、私が魔力を流すのに集中出来るように大人しくなる。

そうしてしばらくの間、部屋の中ではお互いの呼吸の音だけが静かに響くのだった。

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