46文化祭・中編
「うげっ、すまん。ちょっと用事を思い出した。あたしはここら辺で一旦行くわ。じゃーな、文化祭楽しめよ。」
「えっ?ちょっと、メリッサちゃん!?」
私はセイラ先輩に呼ばれたので、彼女達の元へ向かおうとしたのだが、メリッサは先輩達の姿を見ると、早口でそう言うとその場から逃げ去ってしまった。
メリッサと先輩達の関係も分からないし、以前から気まずそうだとは感じていたので、私は取り敢えず気を取り直して先輩達と合流する。
「おはようございます。今日は3人なんですね。」
「ふふっ、そうね。サクに着いていくつもりだったんだけど、スイが部屋に籠っていそうだったから一緒に連れてきたのよ。」
「俺をなんだと思ってるんだか。そもそも普段だってそんなに籠ってないだろう。」
仲が良い訳では無いと言ってたのに、何故この3人で行動してるのかと思ったが、どうやらセイラ先輩に誘われたらしい。
私とレイナは既に顔見知りだったので、特に気後れすることも無く挨拶をしていたが、さすがに2年上の先輩達と言うこともあり、サヤカが緊張の為か一言も喋れずにいた。
「あの、先輩…この子が前に話してた、ユニウス大陸の…」
「あら、その子が?」
「ほぅ、お前に魔力操作を教えてるやつか。」
「わたしの事を知ってるの?」
お互いの様子を見るに、メリッサの時みたいに知り合いだったと言うことも無さそうだったので、レイナが先輩達にサヤカの事を紹介する。
「サヤカちゃん、この人達がいつも話している先輩達だよ。女の人がセイラ先輩で、隣にいる人がスイネグ先輩。後は…」
「ぼくがレイナの事を教えてるサクフィウスだよ。サクって呼んでね。」
「う…宜しくお願いします?」
「ふむ、なるほど。悪くないな。」
挨拶した後も、サヤカはまだ緊張気味だったが、先輩達からサヤカへの印象は悪くなさそうで、スイ先輩ですら悪態をつくこともなく、彼女と普通に接している。
だが、サヤカは初対面だしレイナは元々接点が少ないから特に何も感じないのだろうが、私はさっきのメリッサの話もあって、スイネグ先輩の頭に付いてる獣耳が気になってしかたがない。
「スイネグ先輩もそう言うのするんですね。意外です…。」
「こいつに無理やりやらされたんだ。俺の趣味じゃない。」
「さっき聞いた話なんですけど、やっぱりその耳って、悪霊とかそう言うのと関係あるんですか?」
「今はすっかりただの慣習と化してしまってるがな。」
スイネグ先輩が、サヤカに一声掛けた後に会話の輪から外れたのを見て、私は直接その耳について尋ねると、昔はメリッサの言ってたように、仮装にはちゃんとした意味があったようだが、今では文化祭と同じで、決められたわけではないが続けられている風習となっているらしい。
「まぁ、そんな話はどうでも良いだろう。他に用が無いなら俺はもう行くぞ。」
「そうね、せっかくお友達同士で遊んでいるところを邪魔しちゃ悪いわね。」
「あっ、そうだ。レイナは午後から救護班として動くことになるだろうから、忘れないで救護室にくるんだよ。」
「は、はい。絶対に行きます!!」
先輩達がここに居たのは偶然だったようで、それぞれに話が終わると、適当に別れの挨拶をしてその場から去っていく。
それにしても、私の見る限りサヤカほど魔力操作が上手な人は居ないと思ってたのに、スイネグ先輩が彼女にユニウス大陸出身と言う事と、私にどんなことを教えているかを聞くとすぐに興味を無くしてたのは意外だった。
その後私達は、午後にはレイナが外の見回りに行ってしまうので、メリッサが離脱したままではあったけど、そのまま3人で校舎内の出し物を見て回る事にする。
「さっきの人達、3年生って事は今度の課外授業にも来るの?」
「そうね、確か1.3年は同じ所に行くのよね。」
「でも、サク先輩が一緒には行動はしないって行ってたから、そんなに気にしなくても良いかも。」
「そうなの?先輩達の魔法を見れると思ったんだけどな。」
出し物の中には謎解きや迷路、他にはさっきの話に出た化け物が脅かしに来るお化け屋敷と言ったアトラクションもあり、お喋りをしながら上級生の教室を回っていると、あっという間に休憩時間が近付いてくるのだった。




