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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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34 む、難しそう…

「確かお前はAクラスだったよな。」


どうしてクラスの確認をするのだろうか。

私はそう思うが、早く彼の説明を聞きたかったので、言葉少なく答えを返す。


「はい。」

「お前は、そいつが魔法を使うところを実際に見たのか?」

「いえ、魔法を見た他の人がそう言っているのを聞いただけです。」

「ふん。ならば、そいつは別に同時に複数属性を扱った訳ではない。おままごとみたいなもんだな。」


あの時、同級生が興奮していた姿から想像するに、簡単な技術では無いだろうに、スイネグさんが何故そこまで言い切れるのかが、私には分からなかった。


「あ、あの…。どうして見ていなかったのに、そう断言出来るんですか?」

「簡単な話だ。そいつが本当に複数、それも3つ以上同時に使えるならとっくにSクラス以上にあげられているだろうからな。大方、属性を次々に切り替えて連続で発動させただけだろうな。」


私の魔術を見たときとは違い、スイネグさんはやれやれとでも言うような仕草をして、明らかにつまらなそうな態度で話を結論付ける。


例え連続だとしても、どちらも複数の属性を扱っている事に違いは無いと思うのだが、何故スイネグさんの反応はこんなにも違うのだろうか。

私は彼に聞いてみる。


「そんなに同時と連続って違うものなんですか?」

「あぁ、全くの別物と言って良いだろう。と言うのも、魔法は魔術と違い、完全に直前までのイメージで形作られる為、魔法を発動させた後に、それを変質させることも、同時に発動させるのも困難な訳だ。」

「そんなにごちゃごちゃと言われても良く分かんないわよ~。もっと簡単に教えなさいよ。」


スイネグさんの説明を聞いて、意味を理解しようとしていると、セイラ先輩がそんな風に言う。

てっきり何時ものように彼女の言葉を無視するのかと思ったが、今回はちゃんと噛み砕いた説明をしてくれるようだ。


「簡単にか、そうだな…。例えば魔法は魔素を変換する行為が体内で完了している。なので、ファイヤーボールを発動させたとして、そこから魔法でアイスボールに変換するのは不可能だと言うことだな。」

「なるほど。」


確かに、そもそも魔法は体内の魔素を利用して発動するものなので、魔法として体外に魔力が放出された時点で、術者の管理から離れることになるのだろう。


「2属性以上の魔法を同時に発動させるのは、ピアノを両手で弾く感覚に近いと言えば分かりやすいだろうか。」

「両手で…。曲によっては全然違う動きをしますよね。」

「あぁ。同じ動きをすることですら、素人では難しいだろうからな。ファイヤーボールとアイスボール、これを左右で同時に発動させるだけでも相当な技術が必要なのが分かるだろう。」


魔法で、同時に複数の属性を扱うことがそこまで難しいのであれば、本当にそれが出来るのならば、スイネグさんの言う通りそんな人はSクラス以上になっているだろう。


「まぁ、お前はそれを半年足らずでマスターすると豪語したわけだが。」

「ち、ちがっ!あの…その…私、魔法と魔術の違いを良く分かっていなかったので…。」

「ふっ、そうだろうな。まぁ、魔力回路に魔力を通せるようになれば、1年のうちに簡単な身体強化くらいは出来るようになるだろう。」


改めて私の過去の発言を掘り返されると、自分がどれだけの大言壮語な物言いをしていたのかと顔が熱くなる。


けれども、スイネグさんはそれを咎める風ではなく、現実的に目指せる範囲の内容で、私に魔法を学ぶための指針を示してくれる。


「身体強化…。」

「あぁ。魔力を扱えるようになれば、簡単に使えるようになる魔法の1つだ。」

「もしかして、レイナが試験の時に加速したのも…」

「そいつは確か、サクが入学前から教えてるやつだったか?だとすれば、使えるようになってても不思議ではないな。」


ここに来て、友人達の身体能力が高いこと、レイナの運動能力が日を追う毎に上昇していった理由が判明する。


出身大陸的にも、基礎魔法として習得しているであろうサヤカ達だけでなく、私と同じアリアス大陸から来ているレイナでも使えるようになっていることから、習得難度は高くないと思われる。


「1度魔力を流されたときに、感覚が鋭くなったように感じた時があるんですけど、身体強化はそれを自発的に引き起こす魔法って事で良いんですか?」

「あらあらあら~。あーちゃんってば、もしかして…」

「ふむ、そうだな。確かに身体強化は、肉体的な強化を得る魔法だが、同時に五感の能力も向上させる事が出来る。」


私が過去の経験を元に、どのような魔法なのか予測を立てるが、何故かそれを聞いたセイラ先輩が、口元を押さえて此方を見るが、スイネグさんはそれを無視して答え合わせをしてくれる。


「発動自体は魔力を回路に通すだけだから、出身大陸によっては恒常的に発動しているやつも珍しくない。」

「それだけで発動出来るんですね。」

「ちなみにこの魔法は、流す魔力を調節することで、簡易的な探知魔法として使う事も出来る。そんなことするよりも、素直に探知魔法を使った方が消費魔力も少ないから、あまりやる人は居ないがな。」


スイネグさんはそこまで説明すると、脱線した話を戻すように、先程の実験の目的を話し始めるのだった。

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