29 2人で買い物へ
「来たか。思ったより早かったな。」
私が門の所へ到着すると、先に来ていたスイネグさんからそう声をかけられる。
「そうですか?意外ですね。遅いって言われるかと思いましたけど。」
「俺に対するイメージが悪すぎないか?」
「ひねくれ物だと言う風に聞いてたので…」
「そうか、あいつらは本当に…。自分の事は棚に上げるくせに。」
スイネグさんは、そう言って面白くなさそうな顔をしているが、私もその様子を見ていると、この人がひねくれていると言うよりも、言葉遣いのせいで勘違いして見られることが多いだけなんじゃ無いかと思えてくる。
「まぁ、そんなことはどうでも良い。さっさと出発するぞ。」
「あれ?セイラ先輩は来ないんですね。」
「あいつが来ても邪魔になるだけだろう。そもそも普段から一緒に行動することなんてない。」
「そうなんですか?意外ですね。」
どうやら街へは、私とスイネグさんだけでいくみたいだが、結局私は、何かしらの実験器具を買い物に行くと言うことぐらいしか分からないまま付いていくことになる。
街へ着くと、少し遠くの方からガヤガヤとした声が聞こえてくる。
「なんかあっちの方が賑やかですね。」
「今日は休日だからな。広場で屋台が出ているんだろう。」
私がそう言うと、スイネグさんが喧騒の原因を教えてくれる。
「屋台?今日は何かお祭りでもやってるんですか?」
「いや、特にそんな話は聞いてないな。」
「えっ?それならどうして。」
「ここは学校から近いからな。学生とかをターゲットにした店が、休日になると集まるようになったんだ。」
「なるほど。確かにうちの学校は大きいですし、狙い目かも知れませんね。」
「どうした?行きたいなら先に寄っていってもいいが。」
「いえ、休日にいつも出ているなら今日以外でも行けるので大丈夫です。」
「そうか。お前がそう言うなら別に良いが。」
私達はそう話すと、その後は特に寄り道もせずスイネグさんの目的のお店へ向かうのだが、彼の寄るお店が一軒や二軒ではなく、徐々に私の両手が荷物でいっぱいになってくる。
「あの…、ずいぶんと荷物が増えましたけど、お昼はどうするんですか?」
「どうする…とは?」
「えっ、?いや、そろそろお昼も近くなってきましたし、ご飯はどうするのかな~って思ったんですけど。」
「あぁ、そう言うことか。」
街に着いてから既に数時間ほど経っており、お腹もすき始める時間になってきたのだが、スイネグさんは買い物をやめる様子が無かったので一応聞いてみると
「別に気にしなくても良いだろう。その荷物の為だけにロッカーを探すのも面倒だしな。」
と言われる。
お昼を抜くことは私もたまにあるし、それは分かったのだが、もう1つ気になることがある。
「お昼を抜く可能性があるなら先に言っておいて欲しかったです。と言うか、なんで私が荷物持ちなんですか!なんと言うか、こう言うのって普通逆なんじゃ無いですか?」
「文句があるなら、俺がそれを持つからさっさと帰っても良いぞ。ちょうど昼だしな。はぁ、半分はお前の講義の為に用意してる物だったんだかなぁ。」
それを尋ねると、スイネグさんは仕方がないとばかりに、私から荷物を取ろうとする。
だがここで素直に渡すと、今後私にとっても不利益が生じそうだったので、慌ててそれを遠ざける。
「ぐっ、分かりましたよ!私が荷物持ちをすれば良いんですよね!!」
「いやいや、お前が機材を選んでくれるなら荷物持ちをする必要は無いぞ。」
「そんなこと出来るわけ無いじゃないですか!」
「まぁ、そのうち自分で分かるようになったときは、俺が荷物持ちでもなんでもしてやろう。」
「やっぱり今日だけじゃ無いんですね…。」
私は嫌そうな顔をしてそう言うが、心の中ではお互いの利害が一致する限り、スイネグさんとは今後とも長い付き合いになるだろうことを予測していた。
そしてそれは、きっと私だけでなく彼も同じなのだろう。
そうでなければ、わざわざ機材を選ぶ時に、いちいち私にどういう風に使う予定なのかを話しはしないだろう。
この前の講義の話を聞いて、もう少し放置気味にされるのかと思っていたが、今日の買い物の様子を見るに、私を助手として育て上げようとしているのは間違い無さそうだ。




