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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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28 スイネグさんからのお誘い

「此処に居たか。おい、今日は街にいくぞ。」


それは、スイネグさんの講義を受けて数日経った日の事だった。

私は休日だったこともあり、いつもよりも少し遅めの朝食を取っていたのだが、そこに彼が姿を現し、私の方へツカツカと歩み寄って来るなり、こう声をかけてくる。


「街…ですか?」

「そうだ、どうせやることも無いだろう?」

「あの、まだ朝食を取っているところなので少し待って貰っても良いですか?」

「あぁ、俺もまだだから、隣で食べながらこの後の予定を話そう。」


スイネグさんは、講義をした後に私の魔術を1度見に来ただけで、しばらく関わりが無かった為、どんな人物なのか分かってない部分もあるが、他の人から自分の言動がどんな風に見られる可能性があるのか、教えた方がいいのかもしれない。

何となく意味が無いような気もするが…




「えっと、今日は何をしに街に行くんですか?」

「簡単に言えば買い物だな。実験に必要な機材を買いに行く。」

「なんで私を誘ったんですか?多分機材に関してはそんなに知識がないので、あまり役に立たないと思いますけど。」

「知識に関しては期待してないから気にするな。」


自分から言ったとはいえ、こんな言い方をされると少し腹が立つ。

なので私は、スイネグさんに少し意地悪なことを聞いてみる。


「今日私が暇じゃなかったら、1人で行ってたんですか?」

「何を言ってるんだ。俺との用事以上に優先するものがあるのか?」

「なっ!?どーゆー意味ですか??」

「大人しく俺の言うことを聞くと言っただろう。せっかく助手ができたんだから、有効活用しなければな。」


だが、彼の口から自然に出てきた言葉が横暴過ぎて、今度は怒りに震えてしまうが、彼に悪びれる様子はない。


「まぁ、冗談だ。俺のやっていることは趣味に近い部分もあるから、他の奴に強制してまで手伝わせるつもりはそんなに無い。」

「冗談とか…言うタイプだったんですね。」

「俺をなんだと思っているんだ。あの2人に何を吹き込まれたか知らんが、俺はあいつらよりも常識的な人間だぞ。」


私は、彼の言葉で一気に気持ちが落ち着くが、彼の言う常識的なと言うのはあくまで相対的なものにしか感じなかった。

それに、スイネグさんにそう言われるとは、他の2人もこの人のようにおかしな所があるのだと、これから先が少し不安になる。

それとは別に、少し気になる事を言っていたので質問してみる。


「あの…、趣味に近いって言うのは…。」

「あぁ、俺が講義で説明した理論や時々行っている実験の事だ。」

「あの講義も趣味だったんですか?」

「まぁ、そう言うことだな。元々は俺の使っている魔法と、他の大陸の奴が使う魔法、つまりは魔術だな。これが、似たようで全然違うものだと言うことに気付いて、その仕組みを調べるところから始まったんだ。」


それを聞くと、サク先輩が彼を紹介する時に、気が合いそうだと言ってた理由が何となく分かった気がした。


「もっとも、俺はあまりこの大陸から出たことがないから、推測しか出来ずに、実際にその通りなのか分からない事も多いがな。」

「それなら、私は魔術の方面では結構力になれるかもしれませんね。これでも元の大陸では、無茶をする為に色々と考えて魔術を使ってきましたから。」


「そうだな。アリアス大陸からの受験で、Aクラスに振り分けられているんだ。知識に関しては、良いものが得られると期待しているぞ。」

「何ですかその言い方!それ以外は期待していないって事ですか。」


私は、スイネグさんの最後の言葉に、不貞腐れたような返事をしてしまったが、知識だけとは言え、私の力が彼に認められたような気がして、少し嬉しかった。




「そう言えば、魔術に関して聞きたいだけなら、私じゃなくても同じ学年の人に聞いても良かったんじゃないですか?」


ご飯食べている途中、私はふと、気になったことを口にしたのだが、直後にそれをしなかった、いや、出来なかった理由に思い当たり

「あっ、すみません。やっぱり何でもないです。」

と急いで疑問を引っ込めようとしたが、既に手遅れで、スイネグさんから呆れたような目で見られてしまう。


「おい、なんだその目は。はぁ…、お前が俺のことをどんな奴だと聞いているのか、1度本当にあいつに問いただす必要があるな。」

彼は深く溜め息を吐くと、勘違いするなよと言い、私の疑問に答えてくれる。


「俺はまず、自分がよく使う魔法の方を研究から始めたから、魔術の研究を本格的に始めたのは2年になってからだったんだ。その頃には良くも悪くも、魔術を使う奴らはここの環境に慣れてきていた。」

「慣れると、何か都合が悪かったんですか?」


「あぁ、要するには自分の魔術に対するイメージが固まってきたと言うことだからな。」

「あまり悪いことには聞こえないですけど…。」

「そいつらが自分だけ使うには問題無いんだが、俺の考えた理論を試すにはイメージが固まりすぎててな。既に自分のやり方で成功しているのに、わざわざ他のやり方を試したい奴もそう居なかった。」


魔術を使う人は、それなりに居るような気がしたが、誰もスイネグさんの理論を試そうとしなかったのだろうかと考えていると、表情に出ていたのか話しの続きをしてくれる。


「試した奴も居たが、結局期待通りの結果を出せた奴は居なかった。そもそも魔法と魔術を別物だと考えている奴が少ないからな。話を聞いても参考にならんことが多い。」


「もしかして、私を助手にした理由って…」

私は、そこまで聞いてあることに気付き

「あぁ、ちょうど俺が求めていた、魔法と魔術の違いは分かるが、この大陸のやり方に染まっていない人材だったからだ。」

それはスイネグさんから肯定される。


「さて、俺は食べ終わったから先に門のところで待っているぞ。なるべく身軽な格好で来てくれ。なんだったら手ぶらでもいい。」


そして、スイネグさんはそう言うと、私の返事を待たずに、さっさと食堂から姿を消してしまうのだった。

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