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オルタナ外伝ーアルトレア物語ー  作者: 絃芽こう
1学年 新しい学校生活

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21 昔の失敗

空き教室に来てからしばらくしてもスイネグさんが来る様子が無いが、セイラ先輩は気にした風も無く、元々これが目的だったのかと思うぐらいに話題を振ってくる。


「そう言えばあーちゃんって、意外と私達から教わることに抵抗は無いのね。」

「意外ですか?」

「ええ、貴女みたいな性格の子って、自分だけで全部なんとかなるって、無茶しがちなイメージなんだけど。」

「そうなんですか。でも、私は元々出来る限りは1人で何でもやるって感じだったので、あながち間違っては無いかもです。」


先輩の聞き方が上手なのか、言いにくいことでもズバッと聞いてくるからか、気が付いたら私は、先輩に今までこの学校で誰にも言ったこと無いことまで話していた。


「何か変わるきっかけとかあったの?」

「実は私、幼馴染が居るんですけど、その人に凄いって思われたくて、1人で街の見回りとかしてた時があるんです。」

「見回りって、不審者を探したりしていたの?」

「それだけじゃなくて、魔物が来ていないかとかも見ていましたね。」


こちらでは魔素の濃さも原因なのだろう、あまり魔物を見掛ける機会が少ない。

そのせいか、私の言葉にセイラ先輩がびっくりしたように口を手で押さえる。


「魔物って、ここに来る前なら本当に子どもじゃない!?なんて危ないことをしてるのよ!」

「信じられないかも知れないですけど、向こうでは時々魔物が街に来るのは当たり前だったりして、授業でグループを組んで魔物を討伐する事もあったんですよ。」

「こっちの方では完全にギルドとか、兵士のお仕事なのに向こうでは子どもの授業で魔物討伐をしちゃうのね…。」


大陸間においての常識の違いと言うか、この事に流石のセイラ先輩も驚きを隠せないでいる。


「向こうの方でも基本はギルドとか兵士の仕事でしたよ。それでも普通は大人でも数人がかりで一匹倒すとかでした。」

「そうよね、私はあまり街から出ないからあまり多くは遭遇したこと無いけど、魔物だろうと野生の動物だろうと、1人で相手をするのが危険だと言うことは分かるわ。」


「はい、誰だってそんなこと考えなくてもわかりますよね。」

「まさか…」

「えぇ、私は1人で魔物を狩って幼馴染に褒めて貰おうと街の外に出たりもしました。実際に1人で倒した魔物もいるんですよ?」


私は、改めて昔の事を思い返すと、くだらない理由で危険な橋を綱渡りしていた自分の行動に、自嘲の笑みを浮かべる。


「でも、どうして褒めてもらうのに、1人で魔物を狩ろうなんてしたの?」

「最初は、本当にちょっとした対抗心のようなものだったんです。授業でどっちの方が上手に魔法が使えるかとか、そんな感じで。」

「確かにそれぐらいなら誰でも良くあるようなことね。」


セイラ先輩はここからどうして魔物を狩る事に繋がるのかわからないのだろう、早く次を話すようにと促してくる。


「中学生になると授業の一環で、グループで魔物を狩る事も始まったんですけど、その時にもどちらの方が活躍出来るかみたいな事をしてて…」

「そんな小さいうちから魔物と戦う事自体が信じられないけど、やんちゃ盛りの子達ならば勝負事には夢中になっちゃうわよね。」

「それでも、その時は流石に1人で戦おうとは思ってなかったんですよ。あくまで、グループ戦闘でどっちの方が強かったかみたいなので。」


そう、私も中学に上がったばかりの頃は魔物と戦うのも初めてだったし、1人で魔法を使うことがどれだけ危険なのかを分かっているつもりだった。

けど、


「ある日、幼馴染が父親と2人で魔物を倒してきたって私に言ったんです。父親がどんな風に魔物を引き付けて、止めを刺したとか。」

「その時のお父様はとても格好良く見えたでしょうね。」

「だからそれを聞いて、もしも私が1人で魔物を倒せたら、幼馴染は私の事も誉めてくれるだろうって、スゲーって言ってくれるかなって考えたんです。」


「そうね、大人でも苦戦するものを友達が成功させたら、自分の事じゃなくても嬉しくなるわね。」

「だから私は、その話を聞いてから魔法も魔物の事も一生懸命勉強しました。そして、遂に1人で討伐することにも成功したんです。」

「そのお友達はさぞびっくりしたことでしょうね。」

「はい、最初に聞いたときは目玉が飛び出るくらいびっくりしてましたよ。」


「それはそうよね、私だって今の話を聞いてびっくりしてるんだから。」

「びっくりして、それで終わりだったら良かったんですけど…」

「何か貴女が変わる切っ掛けが起きたのね。」

「はい…」


出来ればこれ以上言いたくはないが、ここまで話したなら最後まで聞いてもらった方が私もスッキリするだろう。


「その後も私は、何回も街の外に魔物を狩りに行きました。」

「1人で…よね。」

「はい。私は、それを繰り返すことで自信がついて、どんどん街から離れたところまで行くようになりました。自分はとっても凄いんだ、もう大人の手を借りなくてもこんなことまで出来るようになったって。」


「そうして調子に乗っていくうちに、心に慢心が生まれたんでしょうね。油断したところを襲われて、動けなくなるくらいの怪我をしてしまったんです。」

「街の外でそんな…。よく生きて帰って来れたわね。」

「なんとか魔法を使って助けが来るまで耐えることが出来たので…」


その時の私は、魔力も体力も使い果たしたボロボロの状態で、助けに来てもらえるのがもう少し遅かったら誰にも知られずひっそりと自然の脅威に呑み込まれていたかもしれない。


「1人で魔物に囲まれているときは、自分でなんとかしなきゃいけないのにどんどん身体から力が抜けていくのが分かって、不安な気持ちで一杯で。皆が来てくれたとき、本当に安心したんです。」

「いくら力がついたと言っても中学生ですものね。怪我した時点で動けなくなっててもおかしくないわ。」

「誰かが助けに来てくれるまで、魔物とかから隠れながらずっと自分の行動を後悔して泣いていましたよ。その時に気付かされたんです。自分の力だけで何でも出来るなんて思い上がりもいいところだった。1人で何かをするには限界があるんだって…」


と、私がそこまで話した時、突然教室の扉がガラッと開けられる。


「ふん、それが理解出来ているのなら悪くはないか。」

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