11 試験の日・後編
次の場所は皆それぞれ得意分野の試験になるので、私は試験場所が同じなので、レアちゃんと2人で歩いていた。
「き、緊張するねー。レアちゃんは平気なの?」
「どうせ出来ることをやるしかないんだから、リラックスしてた方が良いわよ。」
「そ、そうだよね。よーし、頑張ろー。」
試験場近くまで来ると先に来ている人達が最後の復習をしているのが見える。
試験を受ける順番はまだ先の方だから、私も軽く復習する時間があると、気を落ち着かせようとするが、隣のレアちゃんはそんな私とは対称的にとてもリラックスした様子だった。
「リュウレンくんは何もしてないんだね。」
「普段あれだけの口を叩くんだしよっぽど自信があるんじゃないの。試験前に無駄に力を消耗させる理由もないし。」
「凄いなぁ。私はまだそんな風に考えられないや。」
しばらくして試験が始まる時間が近づいてくると、そわそわしている私を見かねてレアちゃんが声をかけてくる。
「落ち着かないなら、試験やってる他の人の魔法でも見ていたら?」
「そうだね。近くでちゃんと他の人の魔法を見たこと無いから少し楽しみだね。」
私がそう言うと、レアちゃんが不思議そうな顔をする。
「あれ?先輩の魔法を見たことあるんじゃないの?」
「ううん。実は『ぼくの魔法を見せて余計なイメージを付けないほうが良さそうだ。』って言われて見せて貰えてないんだよね。」
「そうだったのね。やっぱり向こうとこっちでは、魔法の使い方が違うのかしら。」
「先輩は両親がアリアスとベネウッド出身らしいから、聞いてみたら違いとか教えてくれるかも?」
「あっ、そういえばレイナ、あんた試験が終わったら、感覚の違いを教えてくれるって約束、忘れてないでしょうね。」
「わ、忘れてなんかないからそんなに顔を近づけないでー。」
話している間に、私達の番までもう少しとなるが、このタイミングで後ろから声をかけられる。
「おーっす。まだ試験終わってないのか。」
「あれ?メリッサちゃんもう終わったの。」
「あたしの場合は、知ってる先生が多いからな。急激に成長した訳じゃ無いなら、試験ってよりも確認作業みたいになるんだよ。」
「ほぇ~。私はまだ緊張が解けないのに、メリッサちゃんはもう全然感覚が違うんだねー。」
「次、レイナ。」
「あっ、呼ばれた。行ってくるねー。」
ついに名前を呼ばれたので、私は先生のもとへ向かう。
「よろしくお願いします。」
「レイナ、お前本当に風魔法で受けるのか?今ならまだ変えることは出来るぞ。」
治療魔法で試験を受ければ確実に高い評価を得られるのだろう。先生に最終確認をされるが、私はここに来るまでの努力を見て貰いたいので、
「私の"1番得意な"風魔法でお願いします。」
そうハッキリと答える。
「はい、お疲れ。戻っていいよ。」
「ふー。緊張したー。」
私の出したカマイタチのようなもので、離れたところに設置された的を切断すると、先生からそう声をかけられる。
Aクラスの魔法としてはいまいちだったかもしれないが、私の全力を出せたと思う。
私が結果に満足しながらさっきの場所に戻って少し経つと、レアちゃんが帰ってくる。
彼女は以前はもっと出来たと言って、複数同時に違う属性魔法を出す練習をしていたはずだが、表情から察するに満足のいく結果を得られたのだろう。
「お疲れー!緊張したけど、なんとかベストを尽くせたよ。」
「私も今日は2属性同時に出せたわ。入学したときと比べて確実にレベルアップしてるのを実感出来たわ。」
「2人ともアリアスから来たにしては、なかなか感覚を掴むのが早いな。さすがはAクラスに入るだけはあるな。」
試験が終わったことですっかり緊張も解けて、お互いを労っていると後ろから突然
「おぉー!すげー!!4属性同時に発動してるぜ!」
と、大きな声が聞こえる。
どうやらリュウレンくんが4属性の魔法を同時に展開しているみたいなのだが、何故か的に飛ばさずにその場に待機させたままでいる。
私達は声がしてからそちらの方を見たので、どうしてそうしてるのかわからないので、不思議に思って眺めていると、リュウレンくんがこちらを、と言うかレアちゃんの方を見てニヤリと笑った気がした。
「当て付けか?」
メリッサちゃんがそう言い、私はレアちゃんが触発されて、また無理をしちゃうんじゃないかと思い
「気にすること無いよ。ね、レアちゃん。」
と、声をかけるが彼女からの返事がない。
「レアちゃん?」
そのことに疑問を感じ、もう一度呼びかけてみるが
、彼女は何も言わずに彼の事を見つめていたかと思うと、くるりと体の向きを変えて試験場を後にしてしまった。




