04 クラスメイト
「元気そうね、フレア」
人も少なくなってきた教室で、明るい声で話し掛けてきたのは、フレアだった。
それが分かると私は、タイガとの会話を一度中断して、彼女の呼び掛けに応える。
「レアっちー!同じクラスになれて良かったよー!また今年もよろしく♪」
「うん、私も嬉しいわ。今年もよろしくね」
「この人も友達?」
「あれ?もしかして話し中だった?」
と、勢いのままに話し掛けてきたせいか、ここでようやくフレアは私以外の存在に気付いたようだった。
「ううん、大丈夫よ」
「てか、噂の転校生ジャン☆なになに?もう仲良くなったの?」
そして、私の話し相手が誰なのか分かると、そうやって興味津々で聞いてくるので、私がその質問にどう答えようか迷っていると
「彼女とは幼馴染みなんだ。同じクラスになれるとは思わなかったけどね」
と、タイガがストレートに答えをだす。
「へー。じゃあ、もしかしてさっき自己紹介の時言ってたのって、レアっちの事なの?」
「そうみたいね。あ、タイガ…この子、フレアは去年校外学習で同じ班になって、そこで仲良くなったの。」
「そうか。よろしくね、フレア」
「よろしくね~♪がっちん☆」
「がっちん…」
そのまま話していると、私にとってあまり良くない方へ話が進みそうだったので、多少無理矢理にでも話題を逸らしていく。
「それで言うと、自分もお二人と同じ班でしたね」
「あっ、カツミ!お久~」
すると、どこからともなくカツミが顔を出してくる。
どうしてこんなタイミング良く話に入れたのかと聞いてみると『彼女の声が響いてたので…』とのことだった。
「久し振りね。カツミ、今年もよろしく」
「えぇ、アルトレアさんも。お互いAクラスに残れて良かったですね」
カツミは校外学習の班分けの際、わたしの1つ前に名前を呼ばれていたのだけど、あの時言われていた成績順に呼ばれると言う噂が本当だった場合、彼は次にAクラスから落ちる可能性が高かったということになるので、今日のクラス分けを見てさぞほっとしたことだろう。
「あ、ちょっと待ってよ…カッツー☆」
どうやらカツミは、帰りがけに声を掛けただけだったようで、挨拶が済んだところで立ち去ろうとするのだけど、それをフレアが引き留める。
「なんですか?」
「えっとねぇ~ねぇねぇ、レアっちはこの後何かやることある?」
「えっ、私?」
「そうそう☆せっかく3人揃ってるんだから、ワタリも呼んでプチ同窓会&がっちんの歓迎会何てどう?」
そう言ってフレアが指差した先にワタリが居たのは驚きだけど、彼はその言葉が聞こえているのかいないのか、こちらを気にした様子はない。
「彼は…」
「うちの弟だよー!ワタリも同じ班だったんだよね♪」
「弟?」
「フレアとワタリは双子なんです」
「へぇ~、双子で同じクラスなんだね」
それとは別に、タイガは2人の関係に驚いてるようだった。
「それで、せっかくのお誘いなんだけど、行きたい所があるから私はちょっと…」
「そうですね。自分も今日は遠慮しておくよ」
けれど、なるべく早くこの場から去りたいと考えてる私は、そう言って辞退の意を示す。
「そっかー残念。また今度だね」
「うん、ごめんね」
「それで、何処に行く予定なの?」
「えっと…それは、あの、スイネグ先輩に挨拶に行こうかなって…
「なんだって!?」
そして、言い訳のつもりで何処に行くか考えてなかったので、フレアに聞かれてとっさにそう答えると、今度は予想していなかった所から叫び声が聞こえる。
「な、なによ…」
私は、突然こちらに詰め寄ってきたワタリに、多少たじろぎながらその目的を尋ねるけれど
「今、スイネグさんの所に行くと言いませんでしたか?でしたら、ボクも一緒に連れていってください」
そう言って血走った目を向けるワタリに、私は選択を間違えたことを悟り
「落ちこぼれの貴女が、彼の知識を独占してるなんて許せませんからね。」
安易にワタリの近くで、スイネグ先輩の名前を出してしまったことを後悔するのだった。
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