03 新学期開始
遂に100話目投稿です!
此処まで続けられて、続けさせてもらって嬉しいです!!
キーンコーンカーン
「それ、皆席に着け。出欠を取るぞ」
チャイムが鳴り、先生が教室へ入ってくると、先程まで幾つかのグループに別れてお喋りをしていた人達が、自分の席へと帰っていく。
ちなみに私は、タイガが他の男子と喋っていたり、このクラス唯一の友達が教室から飛び出してしまっていたりとで、話す相手も居ないので、一人大人しく席に座っていた。
一応メリッサは、鐘が鳴る前には戻ってきたけど、ギリギリの時間だったので、彼女と関係のありそうなあの男について、話す暇はなかった。
その後先生の誘導で体育館へ向かい始業式が始まる。
その際に、それぞれのクラスの担任が発表されたが、Aクラスの担任はどうやら持ち上がりのようだった。
「さて、去年とほぼ顔ぶれは変わらないが、自己紹介といこうか」
教室に戻ってくると、担任がそうクラスの皆に呼び掛けて、名前の順に自己紹介をしていく。
だけどまぁ先生の言う通り、Aクラスのメンバーは、先生も含め去年とあまり変わりが無いので、ほとんどの人が名前だけを言う簡単なもので済ませていた。
たまに、自分の得意魔法や趣味などを付け足して言う人も居たけど、それは去年このクラスに居なかった人が主で、タイガもその中の一人だった。
「おれはタイガ!アルトに追い付きたくてこの学校に来ました!皆、これからよろしく!!」
他の人からすれば、その自己紹介はなんの変哲もない、いかにも転校生らしいものに感じられただろう。
『アルトって誰だ?』『そんな名前の人居ないよね?』『他のクラスの人かな?』
だけど私は、ざわざわとそんな声が聞こえる教室の中で、一人彼のその言葉に重圧を感じていた。
今はまだ、タイガが私をそう呼んでいるのを知ってるのはメリッサしか居ないけど、いずれその話はクラス中に広がるだろう。
そうなってしまった時、彼が話す私とクラスメイトからの私のイメージとの差を思うと、今すぐにでもここから逃げたしたい気分になる。
そんなことを考えているせいで私は、声の様子からしても、自己紹介の間ニコニコとこちらを見てるであろうタイガの方へ、顔を向けることが出来なかった。
「さて、終わったな」
一通り自己紹介が終わると、先生が教壇に立ち、皆の視線を集める。
「今ここに居るのが、今年のAクラス全員だ。皆、改めてこれから1年間よろしくな」
そして、もう少ししたら入学式で新入生が来るので、先輩として恥ずかしくない態度をとか諸々の諸注意、それと、武道大会や校外学習の年間の行事予定についてを話すと、最後にそう言って2年生最初のHRを締めくくった。
ちなみに、今年Aクラスから下のクラスに下がった生徒は居ないそうだ。
逆に、レイナ、サヤカ、リュウレンがSクラスに上がっているが、Sクラスから1人、Bクラスから1人、そして、転入生徒としてタイガがこのクラスに入ったので、Aクラスの人数は、去年と変わらないようだった。
「この後はどうしよっかな」
HRが終わると、今日はもう授業は無いのでこのまま解散となるのだけど、私は席を立たずにしばらくの間、扉へと押し寄せる人の波を眺めていた。
本音を言えば、先生が居なくなると同時に、教室を飛び出したメリッサのように、私もさっさとこの場を離れてしまいたかったのだけど、なんとなく、タイガを置いて一人でというわけにもいかないと思って、反対に人が居なくなるのを待っていた。
「アルト、一緒に帰ろうぜ」
「私は良いけど…タイガは?さっきまで話してたみたいだけど?」
「おう、あいつらは今から遊びに行くんだってさ」
予想通りと言うべきか、やはり彼は、適当な所で話を切り上げると、私へ声を掛けてくる。
「別に、そっちに行ったって良かったのに」
「久し振りだからな。色々話そうぜ!」
「まぁ…そうね」
私が彼に対して、複雑な想いを抱いてる事なんて、ちっとも考えてないんだろう表情でそう言うので、私も気にしてばかりでは仕方がないと、気を楽にする。
「おーっ!良かった。レアっちまだ居たー!」
そうして、この後、ちょっと寄り道を考えていることを話そうとすると、一際騒がしい声が、人の減ってきた教室内に響き渡るのだった。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございます♪
また次の更新もお楽しみに!!