未犯罪
読みましょう。
2300年
警視庁本部にて
「今月は犯罪強化月間だからな。気を引き締めていくぞ!」
警視庁トップのお言葉にはやはり熱が入っておられる。
「はい!」
その暑さにはむさくるしい返事で返さなければといつものように声を張る。
集会は終わり、エントランスから出て同期の梶野と支部へ戻る途中、奴はこんなことを言いやがる。
「くぅ~。犯罪強化月間かぁ~。ほぼ毎月やってんじゃねえかよ。。。警察になんて就くんじゃなかったぜ。」
「おい梶野。何なめ腐ったこと言ってんだよ。お前は犯罪を犯さない糞どもを野放しにする気か?冗談じゃない。」
「俺だって別に野放しにしようってことぉ言いたいんじゃない。ただその役目は俺じゃなくても務まるって話だ。」
さっぱり訳が分からない。
「それが甘いんだよ。そんなんで警察にいられても困るんだよ。嫌ならやめろ。」
「あぁあ。菊名さんは今日も一段とお熱いですねぇ。こっちには生活がかかってるんでね。やめるわけにはいかないのさ。」
「はっ。そうかよ。せいぜい頑張って生活してくれ。」
「へいよ。あんたもせいぜい未犯罪の取り締まりがんばれよ。じゃ、俺はこっちなんで。」
「ああ。」
テキトーに返事をしておく。
最近はみんなこうだな。生活のため、嫁、子供、家族のため、しまいには金のためだ。よくわからねえ。よくもそんな気持ちで未犯罪の取り締まりが務まるものだ。
俺には未犯罪を取り締まって取り締まってこの世を犯罪で染めるという明確な目標がある。
そのためにはここで成果を上げて何としてでも上にのし上がらなければならない。
クライムボーイズのおかげで俺には信念が生まれた。
「未犯罪は絶対悪だ。」
続きを楽しみに。