やっぱりMISS!
イ「右だ!」
シュラは、右に反転し攻撃を避けつつ素早く切りつける。
MISS!
相変わらずミミズツキにダメージを与えることができないが、最初と比べたら段違いに動けるようになっていた。
イ「いい動きになってきたじゃないか。素早さはいかに早く動けるかだけではない。判断してからすぐに行動に移せるかも関わってくる。これでミミズツキにダメージさえ与えられれば一人で柴刈りも任せられるんだがな。」
イーさんはそう言いながらミミズツキにとどめを刺している。
目を閉じてステータス見てみると、確かに素早さが15から33まで上がっていた。運動不足の解消と毎日の判断から養われたのだろう。
だが、攻撃力は1のままだった。
あきらかにおかしい。
スライムよりもオバァよりも低いのに上がることもないなんて。あんまりだ。
これではいつまでも傷ひとつつけられない。
その時、
イ「シュラ!トライデントベアだ隠れろ!」
見ると、森の奥に輝く△が浮かんでいる。
近くの茂みにうずくまるように隠れ様子をうかがう。
ただ、なにかがおかしい。こちらの方に向かってくるのだが、フラフラとしていて敵意も感じない。
すると、200m手前あたりでトライデントベアが倒れた。
イーさんと共に様子を見に行くとトライデントベアの周りに果物がポロポロと落ちていた。
イ「これは、マカドシワスだな。幻覚作用があってコイツは幻覚が切れそうになると意識操作により適宜食べさせられ、散々歩かされ餓死したのだ。種を遠くに運んでもらう為の手段であって、餓死したやつはそのまま肥料になるんだからうまく考えられてる。説明しても実感無いだろう。ちょうどそこにコイツが運んできた手付かずが1個ある。食べてみなさい。なあに、儂があとは家まで連れてってやるから安心しなさい。」
家で食べればいいのでは?とも思ったが心配性のオバァがいる前では食べることも出来ないので言われた通り食べてみることにした。なにより、興味があった。
1口かじってみるも、なんともない。さらにかじってもなんにも起こらない。ただ何故か食べるのを止めようと思わない。食べる。食べる。食べる。
不意にグラっと天地がひっくり返るような感覚に陥った。
紫、黄色、赤、紫、黄色、赤、紫、黄色、赤、紫、黄色、赤。
目の前の色がフラッシュライトのように移り変わる。
いつの間にか原っぱの上に立っていた。原っぱと言っても生えている草は紫、空はくすんだ赤、近くには大きな黄色のゴミ箱がある。
なんだか気持ちが悪い。
近くにとても美味しそうな果物が落ちている。それだけは何故かちゃんとした色をしていた。
右を見ても左を見ても果てのない紫。
グラグラとする感覚に襲われうずくまり、落ち着こうとして目を閉じる。
ステータス!
種族 ヒト
攻撃力 1
防御力 8
精神力 35
素早さ 33
運 6
バッドステータス 幻惑
幻惑状態に陥っていることを自覚する。自覚するも症状は変わらない。
?「‥ず‥けるぞ。」
冷たい水がかけられ少し症状が和らぐ。
イ「大丈夫か?水をのみなさい。」
コップ1杯の水を一気に飲み干し、気分も少しずつ落ち着いてきた。
シ「すごく気持ちが悪い世界でした。
いつの間に家に帰ってきたのでしょうか。」
気がつけば家の前にいた。
北海道は停電等被害がすごいようで、あと3ヶ月遅ければなおさら一大事になってたのは不幸中の幸いでしょうか。復旧に時間がかかるところ、避難生活を強いられている方等、非常食の備蓄に影響が出てくる時期でもあります。これから大変になってくることも多くあるでしょう。私には祈ることくらいしか出来ませんが、少しでも早く元の生活に戻れるよう祈っております。