運以外を70%down
シ「ただいまー」
家の奥からはとても良い匂いがする。
オ「あら、おかえりなさい。今日は疲れたでしょう。夕飯はミミズツキの鍋ですからね。」
身体にミミズのはい回っていたそれを、食べる……。考えただけで吐き気がする。
ギュルルルルル。
ただ、お腹は正直だった。
美味しそうな匂いには勝てない。いただこう!
テーブルに鍋が置かれ3人が座る。
「いただきます!」
見た目のグロさとは裏腹に美味しい。箸がとまらない。
例えるならば乳臭さのない牛。癖がない分食べやすい。
あっという間に鍋が空になる。
「ごちそうさまでした。」
オ「さてとっ、」
シ「あ、洗い物は私がやりますので!」
鍋を下げようとしている手を遮る。
種族 ヒト
攻撃力 15
守備力 10
精神力 18
素早さ 12
運 32
バッドステータス 老い(運以外を70%down)
またもステータス!邪魔だ。
人は、なにか基準を見つけると無意識的にそれに当てはめて物事を見るようになってしまう。ステレオタイプとまではいかないがこれからオバァをステータスで判断してしまうのは確実になった。
まあ、そうなったところでオバァはオバァでしかないのだが。
鍋を洗って、お風呂に入り明日に備える。
明日は、魔法を使う者と会う予定だったな、なにか私のことが分かる手がかりになるかもしれない。楽しみだ。
⊿
今日は、ちゃんと起きた!7時に着替えを済ませ部屋を出る。
シ「おはようございます。」
イ「おーおはよう。まだ、人様に会うのは早い時間だな。そうだ村を案内してから会いに行こうか。」
ゑ田道具屋から、病院、宿、武器・防具・農具店、そして神社。
狭い村かと思っていたら案外建物は充実している。たまたまイーさんの家が村の端の方にあっただけだったようだ。
イ「この神社には、入ってはいけない。
村の昔からのしきたりなんだ。
なんでも、ここの神様はすごく綺麗好きでホコリ一つ入ってくるのも嫌らしい。
だから鳥居にすら結界を張って無菌化しているのだと。
入れるのは選ばれた者のみで、出入りを最低限にする為一度入ってから出てきていない者が大半だ。」
そういって指を刺された神社は、おどろおどろしく建ち、他のものを寄せ付けまいと拒んでいるように見えた。
イ「そろそろ、例の者の家だ。
ごめんください。」
家には魔法陣のような幾何学な模様がところどころに書かれていた。
「誰だ!?。」
なかから中年の男が現れる。いかにも魔法使います。って感じではない。一見普通の男。
イ「今日はちょっと見てほしい者がいてな。」
シ「はじめまして。シュラと言います。」
握手を求める。……。ステータスを見て先にマウントをとってやる。
来た。
バチッ。
あと1歩のところで静電気よりも強い電気のようなものが生じた。
「ほう、君も魔道士か。魔力を持つもの同士が触れ合おうとしても気を許さない限り、無意識で防衛能力が働き反発する。私の名前は、ヨヂ。土の魔道士だ。」
シ「私も魔力があったんですね!
知らなかったです。
ちなみに私にはどんな素質があるんでしょうか!
わかるなら詳しく聞きたいです。」
さすが自分の夢だ!と私は思う。
魔法とはまたツボを抑えている。
きっと、ドラ○ソク工△┣みたいなデッカイ炎の玉やスッゲー雷みたいなのを使ってドッカーンとするんだな!ワクワク。
ヨ「なら見てみようか。手を出してみなさい。
この世には攻撃寄り、補助寄り、2つのタイプがある。
火の魔法、雷の魔法は攻撃寄り、水の魔法や私のような土は補助寄りだ。
土の魔法は、そのももの性質を引き出す。
木や草が早く成長するのを助けたり、傷の治りを早めたりする促進作用と眠っている性質を呼び起こす引き金となることが出来る。
例えば、土は固まれば壁にもなろう。石も尖らせれば武器となる。人もまた然り。」
そういうと、サラサラとした一握の土を私の手に乗せ、小さな苗をそこに植えた。どうやら土と苗の変化によって判断するらしい。
ヨ「エクスロード!」
手の上にあった砂が痩せ、苗が一気に枯れた。
ヨ「これは、毒属性……補助寄りの属性か、土とは対象的に成長を阻害したり、蝕む、障ることを得意とする。ほぼ毒属性の出る人は聞かない、珍しいのか、視覚化されるのを使えないから発見されないままなのか分からないが。事例が少ないがゆえに研究結果は1つ。他の属性魔法と同じように精神力によって毒の強さが変わる。それだけだ。だからなにも教えてあげることは出来ない。とはいえ、魔法を使う基本はどの属性も同じであるからして、基礎は教えてあげることはできるが、どうする?」
地味過ぎる…!!!
炎も雷も水もでないし。何か作れるわけでもない!
見た目の変化も無し。地味。
もっとこう。
なんかあっただろ。
ちょっとくらい充実させてくれよ。
そんなことを考えていたら、他の会話が耳に入ってくることはなかった。
まあ、いちおう魔法?が使えるみたいだし。練習くらいはしてみよう。
シ「是非、私に魔法を教えてください。」
ヨ「なら、明日のお昼過ぎにくるといい。」
こうして、地味な魔法の習得特訓が始まった。
今回も読んでくださりありがとうございます!