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指輪は指にはめたら指輪です

 山は見たこともないような立派な木々に囲まれ鬱蒼としていた。

イ「さてここらで伐採していこうか。」


 そういうとイーさんは、ひとつ指輪をはめた。すると目の前にひとつ斧が召喚された。


イ「なんだ。目を丸くして、斧も見たことないのか?」

シ「いきなり、斧が出てきたことに驚いているのですが……」

イ「もしかして、リングを知らないのか、よく、これなしで今まで生きてこれたもんだ」


 そう言ってリングについて説明してくれた。


 ざっくりまとめるとリングには物体保存機能があり、物を登録してつけるとそれが出現する。いわば持ち運びの楽なバッグみたいなものらしい。これにより刃物を持ち運ぶ際の危険が減り、なにかと便利だそうだ。

 しかし、リングは1つに1個の登録が基本であり、物が複雑であるほど登録するためには高等級のリングが必要とのこと。

 だから魔物用ナイフは、登録可能なリングが高い割に登録して便利度が増すわけではないので手に持っておくといいのだと。切った木々も、売ってもリング一個のほうが高くなってしまうから重くとも運ぶしかないのだそう。


 そうこう言っているうちに目の前に木片が積み重なっていく。その向こう木々の間に赤い点が2つ浮いている。飛び出した赤い点は、イーさんへ飛びかかる。


シ「あっ、、」


 気がついた時にはイーさんは、ナイフで飛びついてきたであろう小型犬くらいのモノを手慣れた動きで突き刺していた。


イ「ほれ、これが魔物のだ。」

シ「ほれ、って(笑)襲われてそんな余裕なのですか。」


 見るからに魔物は、毛むくじゃらで鋭い歯を備えていた。


イ「儂らはこれを、ミミズツキと呼んでいる。毛と毛の間にミミズをいっぱい住まわせて、時に撒き餌で獲物を待ち伏せたり非常食としてミミズを食べたりしている。木の根にいくらかミミズが落ちていたから、もしやとは思っていたが……。」


 撒き餌とは習性に驚いたが、自分よりいくらも大きな相手に飛びかかるあたり知性はそんなにないのだろう。


イ「ほれ、あそこにもう一匹いる。次はお前さんがやってみなさい。」


 そういった矢先、私にむかって飛びかかる赤い点、慌ててナイフを取り出し切りつける。が、ナイフで切れず弾かれる。

 軌道がそれたミミズツキが体制を立て直しまた飛び付いて来る。今度は、落ち着いてナイフを振り下ろす。が、切れない。

シ「痛っ!」

 腕に引っかき傷ができ血が出ている。


 イーさんの仲介によりミミズツキは無事に倒せたが怪我の処置の為に帰ることとなった。


 怪我の処置を終えてからイーさんは話し出す。


イ「お前さん、攻撃力が一般より低いのかもしれないな、ミミズツキは5歳の子供でも傷をつけれる程度の防御力だが、それよりも低いとなると……魔法を使える者は総じて攻撃力が低く精神力が高いと聞く。この村にも1人いるから明日にでも会いに行って見てもらおう。なんせ同じ魔法使い同士でしかわからない感覚とやらがあるらしい。

 まあ、今日は疲れただろう木もある程度集まったことだしゆっくり休んでくれ。

 寝ていた部屋は自由に使ってもらって構わないから。そうだ、これで生活用品でも買ってくるといい。今日のアルバイト代だよ。」

 そういうと、私にぷるぷるとしたモノを渡してきた。


イ「商業区ではキャッシュレス化が進んでいるとは聞いていたが、これも無くなってしまったのか。そいつは、スライム。通貨から出る魔力をちょっとずつ食べながら生きてる。その中に500Pペイント入れておいたから好きに使いなさい。ただ全部使ってはいけないよ。スライムの食料がなくなってしまうから。」


 私は、スライムを持って家を出た。握りこぶし1個分のそれはひんやりとしていてぷるぷる気持ちが良い。

 村の道具屋は、案外近くにありすぐに見つけることができた。





1Pは10円程度です。

お金でもなにでもやり取りや取り引きをする時は、両者の関わりにおいて成立します。自動販売機でも私と自動販売機の関わりです。

私が相手の人生にちょっとした関わりを残す。そんな意味で単位をPペイントと付けさせていただきました。


魔物を物質がすり抜けるとありますがスライムに触れているように、敵意を持った物質をすり抜けるように魔物がしているだけで触れることは可能です。

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