柴刈りって芝じゃないんです
オビ婆「シュラ、起きて、イーさんが山に柴刈りに行くようですよ。」
いつの間に寝てしまったのだろうか。
昨日は、美味しいご飯を食べて、お風呂に入っていたらいつの間にか元いた部屋に布団がひかれ、枕元に着替えまで準備されていた。
時計を見れば朝の9時、マズイ……、イーさんのお手伝いをする約束だった。
今までの不規則な生活が響いたのだろうか。と、考えているとオバァからおにぎりを渡される。私はそれを早急に頬張り、身支度を整えイーさんの所へ駆けた。
シ「い、いっへきまふっ」
オ「いってらっしゃい!気をつけてね」
柴刈りのなにを気をつけるというのだ、心配性もいいとこである。
シ「おまたせいたしましたっ!!」
イ「おお、遅かったじゃないか」
そういって振り向いたイーさんの手にはナイフが握られていた。
そんな……なんでっ。気がついた時にはすでに私の下腹にナイフが突き刺さる。
ナイフが抜かれた瞬間大量の血が吹き出……
さない??
イ「やっぱりビックリしたか。昨日の反応を見る限り、あんた魔物を知らないだろ」
ドキリとした、いったい何が起きたかわからないうちに私がここの者ではないことを怪しまれたからだ
イ「お前さん、商業区出身だろ。供給安定の為にあそこは魔物を一切排除しているからしかたない。」
どうやら危惧したほどでは、ないようだ。
イ「魔物はな、儂らの認識出来る物質では、身体をすり抜けてしまう。このナイフは、魔物専用になっててな、柄以外はダークマターで構成されている。もちろん儂らの認識を超えているからわかりやすいように、柄にホログラム機能がついていてナイフのように扱えるのだ。逆に言えば、ダークマターは儂らをすり抜けるからとても安全な武器なんだ。」
しかし、魔物とはなんだろうか、昨日聞いた時はせいぜいイノシシやら蛇やらの害獣をひっくるめてここでは魔物と呼んでいるものばかりと思っていたが。どうやら違うらしい。
そもそも、昨日からどうもおかしい。私は、死んだはずなのに。知らない村にいて、魔物のいる世界にいて、知らないおじいさんと柴刈りに行っている。
考えられるのは、どこかの本で読んだ、異世界転生か、夢だ。
きっと夢だ。とてもリアルな。夢ならば、充実した日を送れる気がする。
イ「小さい魔物しかいないが、たまに飛びかかってくるやつがいてな、お前さんも護身用に一本持っておくといい。」
そういうと、イーさんはナイフを投げてきた。
安全と頭で分かってても怖いものは怖い、アタフタしながらもぎりぎりキャッチする。
シ「魔物が、、、いるんですね。」
パニクる頭は単調な答えしか出せなかった。夢であっても作りこみ過ぎだろ自分。
読んでいただきありがとうございます。自己満に目を通していただけただけでほんとありがたいです。