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倒れても棺桶では運びません。

 いきなり目の前が真っ暗になった。

 さっきまでうちは、シュラと一緒に魔法の練習をしていたはずなのに。

「クルセナ。いい?

 ここに隠れていれば安全だから、ここに居なさい」


 え、ママ?

 ママがなんでいるの。


「後で絶対に迎えに来るから。クローゼットから勝手に出てきてはダメよ。

 ちゃんといい子に出来るね?

 そろそろ追手がここに来てしまうから、ママはもう行かなきゃ。閉めるね。いい? 絶対出てきてはダメよ。」


クローゼットが閉まっていく


 また、うちは独りぼっちになってしまうの?


 置いて行かないで、ダメ!

 閉めないで! ママ、お願い。私を1人にしないで。

 行かないで。行かないで。ママ……。


 

 ダメ!

 今度こそ、ママをひとりで行かせない。うちは、もう前までの私じゃない。もう、絶対に失わない。


 クローゼットの扉を思い切り押す。


 ウソ……。ビクともしない。

 思い切り蹴る。蹴る。蹴る。

 体当たりをする。


 なんで、なんで開かないの。開いて、開いてよ。

 そうしないと、ママが。ママが。

 ママが、また。



 扉が開く。ママ?


「ミルイが殺されて、もしやと思い様子を見にきてみたら。

 彼女の思い描いた通り、君は無事でいてくれたか。

 怖かっただろう、おじさんは、君のお母さんの古くからの友達さ。おいで、怖いことはもうないから、うちで一緒に暮らそう。」





 ケレソニアを病院まで運んできたが、まだ意識が戻らない。医師によれば、彼女は、なにかによって一種の副作用、中毒症状の状態に陥っているらしい。手を尽くしたが、目を覚ますかどうかは、彼女の頑張りしだい。このままでは、ショック死の可能性が極めて高いとのこと。


 思い当たる節といえば、マカドシワスの短時間による連続使用。ただ、自分は、心配しか出来ない。

 まただ、また自分がなにも出来ないまま過ぎ去っていく。

 無力、せっかくこれから頑張ってみようかと思い始めていたのに。また、ダメなのか。


彼女の手を強く握る。


 お願いです神様。彼女を助けてください。これからは、彼女のわがままにもちゃんと付き合います。ちゃんと強くなって彼女を守れるくらいにまでなります。守ってみせます。ですから、お願いです。助けてください。


ケ「……。ん、シュラ?

 シュラなの?」

シ「ケレソニアさん!?

 やっと目を覚ましてくれた!

 よかった。ほんとによかった。」

ケ「そっか……。もう居ないのね。そうだよね。

 てか、うちいつの間に寝てたの。まさか、やらしいことしてないでしょうね!」

シ「してない、してない!!

 てか、ここ病院だから静かにしてっ。

 いきなり倒れて大変だったんだから。

 スゴく心配したんだから。」

ケ「倒れ……そうだったんだ。だから。

 その、ありがとね。シュラがここまで運んでくれたんでしょ?

 ありがと。」

シ「いいの。元はといえば、魔法の副作用だろうから、たぶん私のせいだし。」


ケ「さてと、はやく戻らないと、家の人が心配しちゃうかな。

 シュラ、また明日ね。

 昨日の宿、一週間は取っておいてあるから自由に使ってね。」


 ケレソニアが何事もなかったかのように病院の精算をすませ家に帰っていく。

 私には、帰っていく彼女の後ろ姿がいつもより小さく見えた。

普通は、やらしいことします。

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