酒場って言ったらデッカイジョッキでカンパーイ!
鬱だ。
酒場って、あんなところだったのか。
イメージと違いすぎた。
気さくな人はいないし、みんな喧嘩腰だし。
酒臭いし。
ガチャガチャうるさいし。
大声ばかりが飛び交ってるし。
なんならコミュ障なの忘れてたし。
そもそも、私が人に声かけるとか無理だし。
頑張ってみたけど声小さくて聞こえないって言われるし。
おどおどすんなって言われても無理だし。
冷やかしなら帰りなって言われるし。
情報なんて集まる以前の問題だし。
なんか怖いし。
身体震えてきたし。
就職で抱えたトラウマ思い出したし。
もう、なんか足が固まって、邪魔だとわかってても動けなくなったし。
怒鳴られてやっと動けるようになったし。
そこからなにも考えられなくなったし。
気がついたらこの路地裏でうずくまってたし。
もう、なにもしたくないし。
人と関わりたくないし。
話したくないし。
なにもできないし。
体育座りの足の間からスライムが心配そうにこっちを見ている。
ほんと、お前はプルプルしてて可愛いな。
見てるだけでもすごく癒やされるよ。ありがとう。
ねぇ、
私はどうすればよかったのかな。
あのまま村にいればよかったのかな。
もし、柴刈りに行ってなかったら、
もし、森の騒がしさを疑問に思って村にすぐ帰っていたら、
もし、ミミズツキをすぐに倒せる力があったら、
もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、……。
もし、どれか選べていたら、イーさんもオバァも助かったかも知れないのに。
チャンスはいくらでもあったのに、なにも、できなかった。
自分は何も特別じゃなかった。
思い描いた結果なんて訪れるのが稀なのに、そうなるはずだと信じて疑わなかった。
何も出来ない。何も意味ない。
挑戦してみても。
変わらなきゃって思っても。
何かしてあげたくても。
自分にはハナから無理だったんだ。
毛虫がいくら背伸びをしても蝶々にはなれず、
アオムシがどれだけ寝転んでても蛾にはならないように。
ちっぽけな私は誰かの手の上でしか生きていけないんだ。
もう、どこにもいけない。
もう、終わりだ。
手も足も力が入ろうとしない。
頭だって起き上がってくれない。
もう、終わりなんだ。
誰かが近づいてくる足音が聞こえる。
「ねぇ、君どうしたの?」
誰に話しかけているのか。
もしかしたら、自分に言ってるのかもしれない。
でも、そんなことを気にすることも、だるい。
すべてがどうでもいい。
水たまりに霜柱がはっていくように、見えない殻がゆっくりと私を覆っていく。
そうです。
シュラは、1話丸々立ち直れずに終わりました。
次はきっと立ち直ります。




