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 【01】  ≫デアイハ、ハランノスエ≪

     「ゆる~く見てって下さいな。」









 パーティーメンバーと暮らし始めて43日目の朝


 苦しい…。息が出来ない、やばい僕死ぬ


というところで目が覚めた、まあいつものことだが。

よくも狭い木造ベッドに、そろいも揃っていい年した女たちが………。

「僕の顔から胸をどけろぉー!」

 K「なんでー?」

「なんでじゃないっ!今日は危うく死ぬところだったわ!」

なんでじゃないよ全く。なんでこいつらは自分のベッドがあるのに、わざわざ僕の子供用ベッドまでいつの間にか転がってきて、全員でぎゅうぎゅうになって暑苦しい朝を迎えてるんだよ。

しかもお前ら全員女だろ! 少しは淑女の慎みをもってホント。


K「だってー寒いんだもーん」


「熱いわ!中心にいる僕だけがな!」


S「なんで怒ってんの。」

Y「ほんとだー怒ってるー、どうしたのー?」


くっ、また今日もダメか。まったく、何度言っても家のパーティーの女どもは。

(K)カミエラ、(S)シー、(Y)ユミーレ、この問題児たちはパーティーのリーダーである、この僕の言うことを九割方きかない。

カミエラ20歳、シー25歳、ユミーレ22歳全員りっぱな大人、そう、大人のはずなのに…。


僕は確かにこの中の誰よりも年下だけど、一番魔力も高いし、使える魔法も一番多いしモンスターの討伐数も高い。

 つまり僕が何を言いたいかと言うと、そんな僕への日々の感謝でもなんでもいいから、せめて五割は言うことを聞いてほしい。


「カミエラ早く胸どけろ、

 シーさん太もも重い、

 ユミーレお腹を枕にしないで。


今日は町の外にクエストいくんだろ?」


K S Y「ごめん、明日から本気出しまーす(即答)」


「いい加減にしろ、そしてどけ、というかギルドに行く準備をしろぉぉおぉお!!!」


とうとうクエストを放棄しようとした三人に、僕は怒りの咆哮を放った。

怒られた三人はようやく僕の体から離れ、装備品を整え、用意を早々と済ませ、口を合わせてこう言った。


「す、すいません、なんか。。。」

「はあ、 なんかじゃないよまったく」



僕は毎朝こうして、だらける三人を頑張ってクエストに連れていく。


パーティーの中で一番話を聞かない女、職業レイピア使いのノノロイカ・カミエラ

紫の髪が特徴的でパーティー最年長、職業アーチャーのヂュエル・シー

マイペースかつ天然行動が目立つ、希少職業テレポーターのポイミコナ・ユミーレ


そして僕、パーティーリーダーで最年少の12歳、職業、ヒーラー兼、マジッククリエイターのヨミ。

ちなみに、家政婦兼 ママ兼、三人のおもちゃ でもある。

以上の四名でパーティーを組んでいる、つい一か月半前から。






出会ったのは僕が経験値集めに、町からかなり離れた中級者向けの討伐地で、モンスターをひたすら狩っていた時だった。

「はあ、疲れたー、でも結構たまったなー経験値」

大分経験値も稼げたから、僕は何か食料でも捕って少し休憩しようと、近くの湖の魚をボルトで感電させてから、焼いて食べるために、薪にフレアを放っていたとき、念のため張っていた直径100メートルの広範囲感知結界に、15体ものモンスターの生体反応がいきなり現れた。


「さっき倒したばかりじゃないか、し、しかも15体?」


だが運悪くうしろは湖、森の中からこちらへ向かってるであろうモンスターからは、逃げようにも逃げられない。仕方なくヨミは、大火力魔法の詠唱を始めた、もう迎え撃つしか方法はない。魔力もかなり消耗しているが、こうなったらやるしか……。


『我の名はヨミ。 炎のマナよここに集まりて集つまりて、業火に変わり果てては滅っするがいい。

容赦なき灼熱の炎よ、我に仇なす敵を一掃せよ!』


森の中から数体の獣型モンスターが飛び出した、今だっ!


『マグナ・アルティメットイグニル!』


ヨミの持った杖から、燃え盛る気高い炎が木々を焼き払う勢いでモンスターめがけて放たれた。


「よしっ!これは決まった!」


一瞬絶体絶命の状況に陥ってしまったが、ヨミはすぐに自信に満ちた表情に返った。

なぜならこの魔法は、マジッククリエイターのジョブスキルで昨日作ったばかりの新高威力魔法。

昨日しっかりと発動の練習をしていて良かった。

もしいていなければ、この大魔法を敵に上手く命中させるのは至難の業だったと思う。

僕は安堵の表情を浮かべた。


(ひゃあーっ!)


「え、 ひゃあ?」


近くでモンスターに襲われているのか?しかし助けに行ける状況じゃないぞ僕は。

仕方がない、自分たちだけでなんとかしてもらおう、物理的に今は無理だ。

ごめんっ、襲われているであろう冒険者さん。


(熱い~!誰か助けてー!誰かー!)


熱い?この辺りの森に火属性のモンスターなんかいたっけ。ほとんど獣型モンスターか、昆虫型モンスターしかいないはずだけどな。


 いやまてよ、そういえば一種類だけいたような、確か名前は……… ホムラバナだったっけ?

でも、あのモンスターはギルドの低級クエストボードに貼ってあるような、初級クエストの討伐モンスター

だし、ここにいるのは経験値稼ぎの中級冒険者か、なりたて女性冒険者のガードマンをしている出会い目的の上級冒険者くらいかのものだ。


 もしかして、ソロのなりたて冒険者が無理して経験値稼ぎにきていたのかな。

それとも、ガードマン冒険者とはぐれた女性冒険者がモンスターに襲われたのか。

まあいずれにせよ、実力不相応覚悟で中級エリアに足を踏み入れたのだから、自業自得だ。


あいにく僕は今助けてあげられないから、他の冒険者が助けにくるのを待つか、自力でなんとかするしかないね。さ、敵を燃やすことに集中しよう。


((熱いー!丸焼きにされるー!やめてー!))


「なんか、声が近くなったような……。気のせいか」


(((いやー痛いー!痛いよー!)))


「・・・・・・・・・。」



『ちょっと!キミ無視しないで! そのバカでかい火属性魔法早く止めて!』


「「えΣ!?」」


声のする方に慌てて目を向けると、ヨミの魔法に誰かが巻き込まれていた。

すぐさま僕は、モンスターを焼き払うために発動した魔法を、慌てて解除する。


「だっ大丈夫ですか!?」


杖を放り出して冒険者のもとへ駆け寄り、ぐったりした三人を起こそうと何度も体をゆするが、ピクリともしない。ヨミは回復魔法を展開した。


『癒し癒せ癒せるままに! 治癒の知恵を授かりし水のマナよ! 包み包みて包み込め!』

「ヒーリング・ヒーリンディア」

「たのむ! 効いてくれ。」


回復魔法の効果があらわれれば、まだ死んではいないという事。

僕は蘇生術式なんて超高位魔法は使えない。使える冒険者に頼むにも、蘇生術式には時間制限があるため、今からでは絶対に間に合わない。


 第一、使える者は極稀だ、呪術師かヒーラーの上級職をカンストしているような、化け物クラスの冒険者にしかにしか扱えない禁術級の代物だ。

 だから今かけている回復魔法が効いてもらわなければ困るのだ。ヨミはより一層手に込めた魔力を集中させる。


「やった!効いた、まだ死んでない!

 けど、僕の回復魔法だけじゃ、やけどの傷跡が残ってしまうかもしれない。

 魔力が持つか分からないけど、僕の飛行魔法で三人を町の医療機関まで運ぼう!」


回復魔法が効いたのは生存の証明、命はつなげたし、ひとまず危ない橋は渡り切った。

しかし、このままでは火傷の傷跡がくっきりと残ってしまう。三人は全員女性冒険者、体に傷が残るのは何としてもさけなければならない。

だがそうするには僕の回復魔法じゃ間に合わないから、ここから一番近い町「霧の舞う町ミストリア」まで行って、もっと高度な回復魔法を彼女らに施さなければならない。

もうこうなったら魔力量なんて気にしてられない、ミストリアまで僕の飛行魔法で運ぶことにした。


『我、風を呼びし者。時に強く時に穏やかに吹くマナよ、収束し気流を操る如く加速せよ』


「アクロ・エアウイングス!!」


魔法を唱えると、空気が乱回転をしながら徐々に球体に纏まり、ヨミたちを包んで、上空へと飛び立った。








こうしてなんとかミストリアまでたどり着いて、高度な回復魔法が使えるヒーラーたちに助けられ、彼女たちの体に火傷のあと一つ残ることなく、事なきをえた。


そしてこのとき僕の魔法に巻き込んでしまった三人が、後のカミエラ、シー、ユミーレで、何故かパーティーを結成した今にいたる。


はじめ、三人の意識が戻ってすぐに深々と誤ったのだが、「なにか、代償を背負ってくれないと」と言われた。そりゃ、一歩間違えれば命を落としていたかもしれないのだから、代償を受けるのは当たり前かと、金貨でも何でも払えるものは何でも払おうと覚悟をした。

 どんな代償なのかと、僕は内容が告げられるまでドキドキハラハラしていた。すごい額の金貨を要求されるんじゃないかとか「目には目を歯には歯を」に則って、大火力の魔法を浴びせられるのではないかとか、とても恐ろしい罰を頭の中にかけ巡らせていた。

そして、ついにその瞬間が、、、。


S「じゃあさ、あたしらとパーティー組んでよ」

「え?」


  拍子抜けだ、てっきりもっときつい要求をされるかと…


K Y「嫌なの?じゃあ仕方ない、アンタがやった魔法と同じ威力のものを……………」

「組みます!組みます!組ませていただきます!」


(って、やっぱり考えてたんかい――かい―――かい―――かい――――!)


と、なんで代償がパーティー結成なのかは分からなかったけど、半ば無理矢理パーティーを組まされた。

 そういやパーティー結成申請をするためにギルドにいったとき、ギルドのお姉さんに凄く心配そうな顔をされたなあ。だって少年一人と成人女性三人のパーティー申請なんて普通聞かないもんな。



そして現在、ギルドのお姉さんの心配は的中。未成年の僕が成人済みのメンバーの面倒を見るという、

世にも奇妙な生活が日常となった。悪夢だ、冷めない悪夢だ。














     「ありあとーございましたー」

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