宴《サルザケ》
タイトル通り、食事風景があります。気になる方は、後書きへ。
あらすじの様なものを、置いておきます。
では、どうぞ。
6/20 全二話と同じく、手直し致しました。よろしく、お願いします。
どこまでも続く、樹海。然う、私は今、森の中に?いる?!
手をかざして、見渡せば、緑、みどり、ミドリ…………。
あれから彼らの棲み処に、案内されることになった。宴を開くそうで、招かれたわけです。
(えっ?)と、最初は思いましたが、そもそも私が、【神獣】だってことは、何となくわかっていたらしい。
『神獣様が、お隠れになった辺り』から、白い光が立ち上り、何かの強い気配を感じていたと、云うのだ。
だから、会って初めに、威嚇したの、だとさ。ワイルドライフの『常識』?なんだろうか。とにかく、敵意があったわけじゃなく、只の確認と、少しの好奇心、だったようだ。
(結構、激しかったような…………………………………………。)
そうして、樹上に移動することになったのだが、このまま駆け上がろうか?どうしようかと、考えていると?
「我らの棲み処へお招きしようと、思いますが、人に化けられるのなら、我らがお連れします。」と…。
どうやら、先代の、【人ver,】にも会ったことがあるらしい。
そして、”ケモミミワンピ少女”になった私を、抱きかかえて、連れて行ってくれた。
(道中ですか?えェ、サイコーデシタトモ。初めて行った遊園地で、初めて乗った絶叫系がバイキングで、2回目の振り上がりで、鼻血ブーッ?!!だったとしても…。)
∽∽∽
そこには、”生活”があった。
葉で覆われた洞?玉?の様なものが、所々にあり、その間を太い枝が繋いでいる。人なら十分に、と云うか、”本性”のままの私でも歩けそうなくらい、確りとしている。今登って来た樹がすでに、他より大きい所を見ると、ここが選ばれた場所であることが、分かる。
そして、相変わらず抱えられたままの私。
(いやぁ、つい楽枕だったから…)
と、わらわらと、沢山のお猿さんが顔をのぞかせた。大きいものもいれば、今の私と、同じくらいの大きさの、お猿さんもいる。
「人、ひと…?」「違う、人じゃない…?」「シンジュウサマ?…」「神獣様」
「神獣様だ!」
…………………………………………………「神獣様、万歳!!」
やがて
「「「「「「神獣様、万歳!」」」」」と、一斉に吠え始めた。
ギョッとする私を他所に、大猿さんは、群れの中を歩いていく。
そうして、しばらく進むと、枝がいくつも広がり開けている、さながら広場のような処に出た。
「皆の者、此度の”神獣様”が、遂に降臨された。彼の、神獣様が、お隠れになって幾瀬、ついに降臨された。」
「こんなに、めでたいことは無い!………………………………………さぁ!宴を開こうではないか!」
「「「「「「「UwHOoooo!!!!」」」」」」」
私は、唯々驚いていた。
が、徐に彼から降りると(モフモフ気持ちよかったから、つい………)
本性に戻り
「GgaarrrraAh---」と、応えた。
皆はまるで、『南の島の祭礼』のように、周りを囲み唱和した。(リアルニ オサルサンタチ デスネ………。)
暫くして収まると、皆、銘銘に宴の準備を、始めた様だ。私は、邪魔にならぬようにと、一旦、娘の姿に戻って、待つことにした。
そうして、暫くそのまま待っていると、一匹のお猿さんが、近づいて来て、言った。
「神獣様、宜しければ、身繕いなど、致しましょうか?」と、
私は
「ありがとう。でも、身繕いなら、簡単だよ。ほら」と答えつつ、
【浄炎】を足元で発動させ、一気に頭上まで、炎を奔らせた。
それを見た彼女は
「えっ!それだけで!!え、えっと、お頭から、お世話するようにと、言われてて………………。」
と、言うので
「じゃあ、何かお話しましょ。」と、誘ってみると、
「あたいで良いんですか?」と言ったが、準備ができるまでと、色々な話をした。
そんな他愛もない、時間を過ごしていると、いよいよ、準備ができたらしく、一番奥(上座?)に呼ばれた。そして、………………
「皆、今日は素晴らしい日、になった。”神獣様”が来られ、我も、名を頂いた、”イツツ”と云う。これからは”イツツ”として、神獣様と、森のために、共に生きようぞ。乾杯!!」「「「「「「乾杯!!」」」」」吠え声が、唱和した。
目の前には、色とりどりの、木の実や果物が山のように、置かれている。それらに目を奪われつつ
「乾杯なんて、するんだね。人のようだ。他にも、決め事みたいな、事があったら、教えてもらえないかな?」と聞くと、
「わかりました。喜んで。」
と、色々、語ってくれた。
そこから、沢山の話を聞いた。まず最初の、乾杯についてだけど、元々、彼らは、所謂【猿酒】を飲む、習性があったらしい。(きっと、群れのボスに、雌猿がこしらえて、飲ませて上げた、みたいな?おいしく出来たら、かわいがる、みたいな?ソレ ナンノ ハーレム?!)
そののうち、冒険者を見かけるようになり、こっそり、観察していると、
彼らが、多腕猩々と、呼ばれているなど、乾杯のことだけでなく、沢山のことを、知ったそうだ。どうして、彼らが、人の言葉がわかるのか?それは、彼らにもわからない、そうだが、高位魔獣とは、そういうものらしい。ただ、私”神獣”に限っては、人の言葉も通じないが、【神獣の力】によって、意を伝えることが出来る、と知っていた然うだ。もう、何代も伝えられてきた、と謂う。
そんな話をして、今は
大きな、お姉さん猿に、抱き……いや…ダッコされて、果物を食べさせてもらっている。
何でこうなったのか?さっぱりだが、どうやら、この世界に生まれて間もない、ってことが、庇護欲をそそられたらしい。群れで生活する、野生生物には、そんな習性もみられると、聞いたような気もするが………………これは?柔らかいし、温かいし、何より、獣臭くない。聞いた話の中で、ストラグダン達は、肉を食わない、と云うのがあったから、そのせいなのかな。
実際、肉食えるの?と聞いたら、高位魔獣は、食べるものを分かっている、と言われた。ン、ごめんね。と、すぐに謝ると……許してもらえた……それどころか、神獣様に失礼なことを、と頭を下げようとするので、気にしないでと、ギュッと抱きしめてあげた。そして、落ち着いてきたころ、感謝のつもりで、【浄炎】をかけてあげた。
すると、何だか毛艶が良くなった?!
只の赤色だったものが、今では”紅色”に。アレッ??ヤッチッタ?!試しに、他の娘もと、偶々、近くに座っていた、最初に声をかけてくれた娘に、掛けてみた。(もちろん、承諾いただきましたよ。お猿さんとは言え、女の子ですし、大事にしないとね。)
やはり、”紅色”になって、艶艶している。何か、元気が出てきた!と喜んでる。ので、まぁいいか、と宴を続けた。
そうそう、忘れてた、”猿酒”ですが、”始まり”に回ってきました。まず、一匹の娘さんが、目の前に座り、大きな葉っぱ?(里芋の葉、の様な感じ)を片手に持って、そばから、幾種類かの果物などをとると、徐に口に含み………………………そして、フルーツの香りと、何かきつい匂いのする、それを葉っぱごと、五に渡した。彼は、一口飲むと、私に渡したので、
えいやっと口に含んだ。(うっ…………………。)
飲めたのは、思うほど、匂いがきつくなかったし、何より目の前で、娘さんが、じっと、見ている。飲まないことはあり得ない!結構、頑張りました。そのまま、次のお猿さんに渡しました。そして、お味ですが、(お酒に詳しくないので、正しいのか分かりませんが)ラムベースのきついカクテルといった感じ、でしょうか。どんなカクテル?と言われても、難しいですが、あえて言えば、”ブルーハワイ”に果物を足したような?そんな感じでした。ちなみに、度数は結構強く、何でも口に含むと、酔う性質の、木の実があるそうだ。それを、一緒に含むと、まさしく、カクテル。
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そんな宴を過ごして、私は、しばらく、この群れと過ごす事に、決めた。この後、様々な群れと過ごすことになるとも、知らずに。
「五たちに連れられ、樹上に。
そして、宴。あの?!猿酒も!!
彼らと、棲んでみてもいいかも♡」
こんな感じです。 ではまた、お暇なひと時に。