私の名は…
R-15です。
性的表現を含みます。お気を付けください。
7/12 加筆修正
ゆっくりと、目を開ける。今日もいつもと同じ朝。見上げれば、濃紫の空が一気に燃え上がっていく。朝日だ。
あれからまた、幾日かが過ぎた。毎日、【浄炎】の練習したり、シャドウ”猫パンチ”もしてみたりした。(さすがに”猫パンチ”はないなと、すぐに止めてしまったが)そんな感じで、散策をしながら気配を探るなど、『ワイルドライフ』に勤しんだ。
相変わらず、『静かな』森で”危険な”相手にも出会う事無く、遠出もしたりした。もちろん、気配を張り巡らせ、静かに慎重に進んだ。
(まぁ結果はおいしい果物を手に入れられたくらいだが。)
一度、はるか遠くに『魔獣らしき気配』をとらえたが、離れて行く様だったし、あえて追う事もないと思い、放っておいた。
そんな生活もそろそろ、終わりにしようかと思っている。
理由は簡単だ。
「飽きた。」
やはり、元人間、好奇心が”猫”に劣るはずもない。そう云うことで、そろそろ、次の事を試そうかと、思っている。
ここで、ちょっとだけ、紹介しておこう。
私の前任者だ。名を、【雪】といったらしい。
(”イメージとしての記憶”だが…………どうも、彼女は、元々”猫”だった?誰かに飼われていたらしいが)
記憶の中の彼女は、白衣を着た白髪の…………そう、あの《・・》彼女だった。
(首に何か、着けてた様だけど。)
そんな彼女の事を、知った時から、多分自分にも、出来るのだろう、とは思っていた。が、【神気】の事をよく知らないうちは、試す気にならなかった。
(まあ、『決心』出来なかっただけなのだが)
ともあれ「早速試すとしよう。」と、偉そうに言ってみたが、内心ビビりまくりである。
ゲーム的に?とか、実際の大きさは?とかいろいろ考えてはみたが、結局、”一匹”のおっさんでしかないのだ。
(『化けて』見るしかない)と思った。
すでに”人”の姿を一度失っているのだ、一度『化ける』のも、二度も同じだろう。
兎にも角にも、人に『化ける』ことを強く念じて……………………………………
(神気をぎゅっと集める様にして、人、ひと、ヒト……………………………………)
………………………すると
…………………………………………「出来た!」
思ったよりも簡単にできて、拍子抜けしたほどだ。
(もっと、苦労すると思っていたのだが………………まぁ良いか)
では早速、
「水辺に行って確認するとしよう。」
「………………………………なんだ?これ……………………?」
確かに、ちゃんと人になれた。成功だ。でも何か?何処かで見かけた様な?
そこには、確かに、人が映っていた。
結構、美少女だと思う。白銀の髪、西洋人らしい卵型の顔つき、かぎ爪っぽい眉。そして、金色の瞳。
「思い出した!!!………………これ、私がゲームで使ってたアバターだ!」
どこか見たことあると思った。そうだ、自分が作ったアバターだ。だが、これは?
確かに、私が作った、”従者”として。
然う、従者なのだ。あのゲームでは自分の従者を作ることが出来た。
一人目は自分の”理想”で二人目は”家内”のイメージから、もちろん、家内は純然たる日本人だったし、似てもいない。
只、家内をイメージの”原型”にしたことは確かだ。言いたいことは色々あるが、今は”自分”なのだ。
身体を見てみる。
あまり高くない身長、足首まで届く、白銀の髪。
胸は『小ぶり』で色白、薄いピンクの頂、引き締まったウェスト、薄っすらと小さめのデルタに、『しっかりと張った』腰つき。
(”虎耳””虎尻尾”がある東欧風美少女なのは、ツいてた?と云えるのか。)
それにしても、なぜ、ここで”ゲーム”なんかが?少なくとも、世界観はあっていない、あの中に【神獣】なんて出てこなかった。とすれば、私の記憶の中から、勝手に選ばれた?
……………………………………分からない。
兎も角、【浄炎】を出してみる。手のひらからと、『イメージ』したせいか、ちゃんと手のひらに乗る様に、焔がある。能力は使える?じゃあ、爪はと伸ばそうとしたら、指先の『空間』から、本来の大きさで出てきた。流石に、吃驚した。視覚的には、手先に巨大な刃が四枚、浮かんでいるのだから。だが、その手を徐に前に伸ばすと、(ちょうど両手で出しているせいか)まるで、巨大な獣が私の後ろで『二人羽織』をしている様で……………………………………少し笑えた。
ところで名前?何にしようか。
今まで、『白虎』だったし、会話する相手もいなかったが、人に会うことを考えれば、必要になってくるよね。
(この子の名前は………………確か?ヘルミナだったっけ?)
今は、少女だから似合うけど、【本性】は白虎だしなぁ…………?
ふと目を上げると、水辺のオランダ海芋が『月明かりに照らされて』……………………
うん、『ルゥナ』にしよう。
お読みいただきありがとうございました。不定期更新にて、お送りします。
どうぞよろしくお願いいたします。