つまり 古城探索 2
2話目です。
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今私がいるのは、城壁の中にある、船着き場だ。
この城は元々、船を使って出入りしていたようだ。
恐らく往時には、対岸に町があり、往復するための船(と云うより、足場と云った方が良いか?)があって、城下も栄えていた気がする。
その証拠に、先程の桟橋以外にも、もっと大きな桟橋の”跡”があった。
寄る年波に勝てなかったのか?誰かが”わざと”落としたのか知らないが。
そんな”玄関口”には当然、上り口があり、そこを抜けると広い前庭に出た。見上げれば、月光に煙る、古の城。
何とも、雰囲気満点である。もっとも、私はこういうものが、怖いと思ったことは無い。何時頃からか、待ち遠しくなったのは………あれは……もうずっと昔の、夢のように感じる。
亡くした『大事な人に会える?』なんて………………。
はてさて、そんな雰囲気に流されることなく、慎重に進んでゆくと…………
そこには”池”があった。いや、屋外であれば私も、驚かなかったが、まさかの室内(プール?)である。池と言ったのは、丁度、プールで言えば、飛び込み台のある位置に”葦”の様なものが生え、そこから水辺が始まっている。それを見下ろすここからは、石段が水面へと続いていて、さてその先は?と慎重に下りてゆくが
ズァッバァァァ~ッ!黒い水面を割って、何やら黒い影が飛び出し
咄嗟に下がろうとして、ぬかるんだ石段に足を取られた、私を
バクリッ!と咥えた。私の股間から……………………
「ぎぃぃぃいゃ嗚呼あぁぁ―――ッ!!」
………✿✿✿漏らした
そして、ポカポカと、その大きな頭を叩く私。
なぜ、爪を立てないか?こいつ、さっきから、咬まずに只管、……………………………私を舐めているのだ。
(なんだ?この『山椒魚』は?)
しばらくすると、(やっと!)満足したのか、解放してくれた。そこで、こいつに文句を言ってやろうとしたら
「きゃぁ~♡きゃぁぁ~~♡」というかわいい声と共に
(今度は何ッ!)
何かが突然、私にぶつかる様に抱き着いて来たッ!
否!首筋を噛みつかれたっ!
(ぎゃあぁああ――)
一瞬、振りほどこうとするも、咬まれたはずの痛みが一向に、来ない。「これはなんだ?」と思っていると、さらに
「まぁまあ~、どのような御方がいらっしゃたのかと、思えば、この様な”愛らしい”方だったなんて♡」
そう言いながら、妖艶な美少女(?)が現れた。えっ!と驚いていると
「ッンパ、ふぅう~ッ」と先程のナニカが口を離した。
はっ!として、すぐそれを引き離して見ると
『びちっ、びちっ、びちっ』と”下半身”をうねらせていた。
(……………………………………ッ!!!)声もなく、叫んだッ!
(な、何だこの生き物はっ!)
そう思い、改めて見ると、それは、下半身こそ、ナメクジの様であるが、上半身は”愛らしい”幼女であった。
ただ、その瞳は形こそ”人”のそれだけど、白目もなく、只、『桃色の輝石を敷き詰めた』かの様だった。髪はピンク、下半身もややピンクっぽい。口元には小さな牙が覗いている。
「驚かせてしまって、申し訳ありませんわ。ですが、そろそろ”娘”を返して頂いて、よろしいかしら?」
そう、先程の女性(少女?)が言うので、素直に渡すと
「良かったわね『ロヴィッサ』♡こんなに頂いて♡」
と娘(?)に話しかけていた。
「あなた達は、何者ですかッ?それにさっきの”魔獣”は、いったい…?」そう問いかけようとしたら
「あらっ?魔獣とは失礼ね。これでも”妖精”の端くれのつもりよ。」と声がした。
声の主は?と見れば、目の前の美少女とはまた違った、艶やかな女性がいた。
先程の少女は、深紅の髪に、『ガーネット』のような瞳、真っ赤なドレスとも相まって
『妖艶な紅』を想起させる。
が、こちらは黒に近い藍色の髪、『黒曜石』の如き瞳、群青色のドレスと
『引き込まれそうなドーンパープル』を思わせた。その女性がさらに
「どうしたのかしら?自分だけが”『人化』出来ると思ってました”って顔してるわね?【神獣】さん♡」
「ナッ、何でそれを?それにあなた、さっき、私の…………………✿」
「あら、今代は鈍いのかしら?改めていうわね。先程はご馳走様♡私は水妖、つまり”水属性”の妖精ね。イヴォンヌよ。よろしくね。」
「えっ、えっと。はい、【神獣】のルゥナと云います。じゃなぁ~いっ!!!!(……✿)思い出させるナッ!」
「あらあら、まぁまぁ。仲間外れなんて、ひどいですわよ。私はこの城の”元”城主、エレオノーラですわ。種族で言えば、女吸血鬼になるのかしら。この娘も同じで、さっき言いましたわね、ロヴィッサですわ。娘共々、よろしくお願いいたしますわね、可愛い”お方”♡」
「さっきから、どういうことなのか?さっぱりなんですが、外の”魔獣”を呪ったり、冒険者の人たちを殺したのは、あなた達なんですか?」
「あらあら、ひどい仰り様ですわね。何時『殺した』などと申しまして?殺してませんわよ。」
「エッ?でも、行方不明になってるって……………………」
「それは、あの方たちが『勝手に目的を忘れて』別の町にでも、行ったんじゃありませんの?」
「エッ?何でそんな事に?」
「それは…………………その…………わ、………………ですのよ。」
「はッ?なんと?」「ですからッ!わたくし達が血や魔力を”頂く”時に、掛ける『魅了』が効き過ぎただけですわッ!お判りになってッ!」
「えっと、じゃあ、ここまで来た冒険者の皆さんは、何処か別の町に行ってしまったと?」
「恐らく、然うね。それに、外の魔獣、『水トカゲ』いえ今は『槍水竜』と呼ぶべきかしら(?)に呪いかけたのは、別のものよ。わたくし達もかけられている、いえ寧ろそこの”元城主”にこそ、掛けたというべきかしらね。」
「それは、一体?……………………………………」
「もう昔の事ですわ………………………………………………………………
そう言って、エレオノーラが語る”事実”とやらによれば
彼女は、この辺り一帯を治める、領主の一人娘であったらしい。今でいう”魔人族”も、その当時は数こそ少ないものの、”その国”では普通に一緒に暮らしていたという。今とは異なり、当時は、この辺りも含め、大きな”帝国”の一部だったそうだ。
そして、帝国が滅ぶと、別の国が興り、それが今のこの辺りいったを治める、『ヴォトーク連邦』となり、ここも帝国西方州の総督府により、管理されることになったそうだ。ただ、本来は、領民の生活(種族が多岐にわたっていた等)を鑑み、元々の領主に治めさせるはずだったが、総督に収まった人物が、当時の領主、つまり、彼女の父親が魔人族、それも吸血鬼族だったことを嫌い、終には『呪い』を掛けることまで、してしまったそうだ。
その”呪い”を掛けた人物もなくなり、はや百有余年、今では『呪い』の為に、この地を離れられず、ただ、己の能力を『暴走』させるだけの日々を過ごしていた、と謂う。
今の”総督”がどういった理由で、この依頼を出したのか知らないが、今、私にできる事は
「あの、その『呪い』とは、どういうものなのですか?何となく、”呪った人物”がなくなれば、『呪い』も消えるような気がするのですが?」
「えぇ、普通はそのようですわね。でも、この「呪い』は”この場所”に仕掛けて、我ら”魔素”を、『色濃く』身に宿すものを、狂わせるものですわ。」
「えっ!それでは、ここにいた魔獣も魔力の強い人物も、”皆等しく”能力を狂わせられたと?しかも、出られないッ?」
「えぇ、全く、どちらが『邪なる』ものだったのか。あぁ、いえ、ごめんなさい、つまらない事を……………………………………。」
「『呪い』の掛けられた場所が知りたいのね。案内してあげるわ、ついてらっしゃいな。」
「あぁはい。えっと、イヴォンヌさん、お願いします。」
「ちょっ、ちょっとお待ちなさいな。わたくしもご一緒に…………」
「きゃぁ~きゃはぁ~っ」
結局、全員でこの『呪い』の発生する”礼拝堂”へとやって来た。
然う、礼拝堂だ。道々聞けば、『呪い』を掛けるのに、最も適した場所やモノがあるそうで、それが、『神を祀り、祈りを奉げる』所だと謂う。つまりここだ。
そこは小さくはあるが、数十人の人が集まり、祈りを奉げる所であり、とても城内だとは、感じられなかった。高いところには小さいがステンドグラスもあり、嫋やかな女神様が”羅紗の様なもの”をまとっている姿は、正しく神々しくあるはず。それが、黒い、ぬめぬめした蔦の様なもので、締め上げられている。
あの蔦が原因なのか、この部屋に入ってから、気持ち悪い。イヴォンヌたちを見れば、震えて跪き、何やら『黒い煙』みたいなものまで、体から出ている。
「あれを、何とかすればいいんだよね。」
「ど、どうか無理をなさらず…………………」
「わたくし達はこれまでも、何とか………してま………た…………」
「ぐぅっぎゅっぐぅぅ……………………………………」
「やるよ。こんなの許せるわけないじゃん!」
私は、着ていたものや装備を一旦、【浄炎】にしまうと同時、神気の焔を上げて【白虎】へ成った。
皆が驚き、目を見張るのも構わず、辺り一面に【浄炎】で『聖浄』の念を、叩きつけた。
本来は蒼白い炎がさらに白く輝き、金色の火の粉を散らし、見える所全てを覆い尽くす様は、この場所を、一層神々しく感じさせた。
その炎が”蔦”を焼き始めると、少しずつ体が楽になっていくのが、感じられる。ならばッ!と、更に燃え上がらせ蔦を取り除こうと、一層念を込めれば……………
「や、やりましたのね。」「おぉ、本当にこのようなことが……………」「うぅきゃぅっ♡」
終に『呪い』の蔦は消えたかに見えた……………………………………が
「いえ、まだです。このままでは、また『呪われて』しまう。他に何か、『呪い』を抑えるような……………………………………」
ふと、女神像が目に入った。何とはなしに触れてみると
『神気の承認。神気の範囲効果、設定しますか?Y/N』と文字が浮かんだ。すかさず、”Y”に猫パンチ!すると
『効果付与した神器を設置してください。設置完了? Y/N』とでた。私は……………………………………
今目の前には、片手をあげた女神像がある。もう片方の手は”大きな盾”を支えている。そう、『神遮の大盾』だ。この大盾に出会ったのも、こうする為だったような、気さえしてくる。”効果”は、『聖浄』そして『解呪』だ。解呪、と云われても、最初は何だろう?と考えてしまったが、『あの厭な思い』をしないようにと思えば、簡単だった。誰もが持つ『邪まなモノへの忌避感』。それを『避けられるように』と気持ちを込めれば、良かったのだから。
さぁ帰ろうと、”娘”に化けると
「あぁ。貴女が来てくれて、本当によかったわ。このご恩は忘れません。ですから……………………………………」
「なんと、お礼を申し上げてよいのか。わたくし、一生、貴女様に……………………………………」
「あ、あぅ~。デラ~クォ しゃまぁ~~ッ♡」
などと云い、一斉に抱き着いてきた、いや、噛んだり、舐められたりした。
「アッぁ~。デュラーコ様、おいしいですぅ~」「あぁ~、あぁ~。タマリマセンワ。ずっと、ついて参ります。」「あぁぁう~。まんまぁ~~」
「いやぁ~ちょっ~~アッ、そこはッ……………………………」
それから、どれくらいたったのか?やっと、皆が落ち着き、私は解放された。色々減った、何が?とは聞かないでくれ。彼女たちは、一緒にいることを望んだが、私が(ルーニスの町に)戻ることを告げると、残念そうに見送ってくれた。もちろん、帰りには、あの”恐竜もどき”に会うのも忘れなかった。どう約束させようかと、悩んでいたが、会うと意外にも、従順で、どうやら、『呪い』の所為で気性が荒くなっていたのは、本当だったらしい。彼女(彼?)が言うには、これからは、この辺りで人が魔獣に襲われない様、気を配り、城への行き来や、沼地で事故が起きないよう、見張るそうだ。食べ物はどうするのか?と聞くと、この湖には魚が豊富で、魔獣もいるから、食べ物には困らないという。(まるで、パークレンジャー、いや”レイクレンジャー”か?)
こうして、収まるところに収められて、私の初依頼は完了した。
戦闘シーン、と云うか、1クエストですので、途中で切れるのは、無いだろう。と思ってたら、遅くなりました。申し訳ないです。不定期なので、こう云うこともあるかと、思いますが、よろしくお願いします。




