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つまり 私が異世界電池 / 神獣と私と異世界と  作者: 弦紐 かえる
神気増槽
23/24

つまり 古城探索  1

プロット見直していて、遅くなりました。


2話連続投稿です。


1/2

 あれから、数日。私は待っています……………………………………仕事を。

然う、今私は、仕事(依頼)が来るのを、待っているんです。

「さぁ、仕事(冒険)だ。と勇んで出てきた、私に掛けられた言葉は、


「貴女、”能力”全開で”低級”依頼、なされるつもりじゃあ、無いですよね?」「エッ?」

「あのね、みんな貴方みたいに最初から、”強く”無いのよ?……………後は分かるわよね。」

「えぇ~とぉ………………、はい。」

「じゃあ、少し待っていなさい。何か、見繕ってみますから。」


 そして私が、「はい。」と返事をしてから、彼此、数十分、一向に見つかる気配がない。

とはいっても、先ほどから、目の前を行ったり来たりする、我が”専属”受付嬢を見ると、じゃあ、ガロン爺の所で臨時店番(アルバイト)でも、とも言えず…………。


 結局、その日は”常時”受付の『角うさぎ(ホーンラビット)狩り』をすることになった。

その角うさぎと云うのは、後足で立ち上がると、私の腰辺りに届くらしい。そして、頭の、丁度”手の平程ある”角で、攻撃してくるそうだ。角が大したことない?いやいや、そんなに簡単じゃないと思うよ。

その”大きさ”で2メートルも向うから、いきなり飛び掛かって来られたら、初級の者たちには危ない。

そうは言っても、私は”虎”だ。兎なんぞに、後れを取るはずもなく…………(いや、最初はびっくりしたが)一瞬で返り討ちにした。威張れるようなものではないが、そのお返しとして、なるべく、奥の方で狩る事にした。なぜって?それは間引きの為に。奥から狩れば、初級の子たちの獲物を、奪うことなく、増えすぎるのを、防げると思ったからだ。まぁ、そうは言っても、全体の生息数とか調べてないから、自己満足の域を出ないけどね。


 まぁ、そんな風に”常時依頼”で少し狩りに出たり、ガロン爺の”臨時店番(アルバイト)”したりして、過ごしていた。

 そして、今日も”私の”受付嬢は走ってくれております。また今日も、”少し”狩りに出て、”店番”かなぁ、と思っていると



「何じゃ?今日もルゥナちゃんへの依頼、探しか?それなら、例の”古城”の調査依頼でも良かろう?」

と、いつの間にか、ギルド長が下りてきていた。


「何言ってるんですか!今日から私用で、ドリューがいないんですよ。一人でやらせるなんて、危険すぎます。」


あぁ、そう言えば、今朝、

「急に”実家”に帰らねばならなくなった、すまんが暫く”一人で”何とか、過ごしてくれ。」

と、寮に来るなり、言い残して、どこかに出かけて行ったっけ?


「なら余計に問題ないじゃろ。調査だけに限定しておけば、良かろう。」


「それは、確かにドリュー(問題児)がいない方が、捗るかもしれませんが……………、はぁぁ~~、分かりました。」

(ドリューの”仕事ぶり”が気になるなぁ~)



「仕方ないわね。えぇ~と、ルゥナ。この『湿地の古城、調査依頼』、お願いするわね。それで、この依頼内容なのだけど……………………………………」




 あれから、依頼内容と、今わかっていることを聞いた私は、「さぁ行くぞ」と出掛けようとして


「まさか?そのままで、出発しようとしてないわよね?」

と、サーシャに、再び(・・)引き留められ、そのまま買い物へと…………………………………

 いやぁ、いつも【浄炎】製の服着てて、みんな何も言わないから、これでいいのかも?なんて、思ってました。まさか、”貧しい”人にありがちな、一張羅(・・・)の類と思われていたなんて…………不覚でした。いやぁ、お恥ずかしいぃ。

その後、色々連れまわされ、結局、町を出るのは午後になってしまったが、これはかえって、都合が良かった。

と云うのは、どうやら、件の湿地には、昼間は濃い霧が出て、古城の手前にあると謂われる、沼地に嵌まりかねないのだとか。ここから湿地までは、歩いて半日程度、着く頃にはすっかり真夜中、という訳だ。




                 ∽∽∽





 そして、辺りはすっかり暗くなり、ここは月明かりと、そこに住まうもの世界。しんと静まり返った、森が目の前に広がっている。それを見つめる私は、サーシャから聞いた、依頼の内容を思い返していた。


 元々、ここにはこの辺りの領主が、住んでいたと謂う。それが、今の地に移り住んで、気がつくと魔獣に占拠されていた、そうだ。依頼を受けて、いくつものパーティが挑戦したが、皆失敗、ある者はモンスターに襲われ、ある者は沼地に迷い込み、城にたどり着いた者もいたようだが、消息が途切れた、と謂う。まごう事無く、『ホーンテッドキャッスル』である。まぁ、お城と云っても、地方領主の居城だから、そこまで、大きくないという話だが、元日本人としては、尻込みせざるを得ない。

 そして、一番肝心な事は、”男喰い”と呼ばれている事。何故か?簡単だよ、男の生還率が非常に低い。つまり、対男用の罠が仕掛けてある、と推測されている。それが、どの様な罠かは分からないが、(物理か?魔術か?)いずれにせよ、用心するに越したことは無いだろう。


 そんな事を、色々な資料を引っ張り出しながら、話してくれたサーシャを、思い出しつつ


「さぁ、冒険の時間だ。」




 


 森はすぐに途切れた。聞いていたように、ここからが本番だ。霧はもう、かすかに漂う程度だが、やはり、足場が悪い。ぐちゃぐちゃと湿気た、大地の上には、丈の高い草が生い茂り、行く手を阻む。

とは言え、私はワイルドライフ出身(この世界に来てからですが)これくらい何とも無い。

 

 そうして掻き分けること暫く、そこには”湖”と呼べるほどの、沼地が広がっていた。

いや実際、湖かもしれない。手前は泥地になっているが、その向こうは湖面が広がっている。その湖の小島に、城が建てられている。

さて、そこまで、【浄炎】で筏を作ってもいいが、ここまでたどり着いた、パーティがボートを残している、と聞いたが





 見れば左手に桟橋があり、そこに一艘のボートが繋がれている。ボートにはオールも付いていたが


「『タマトラ』お願い出来る?」


【浄炎】を出し、タマトラを呼び出すと、引っ張ってもらうことにした。

決して、漕ぐのが面倒、という訳じゃなく、ここまで、何も出会わなかった。つまり、湖に何かいるのでは?と思いついたからだ。

 


 果たしてそれは、間違っていないことが証明された。波音を立てず、静かに進んでいくと



 やがて、左手前方に、『蒼白い人影』の様なものが、湖面をすべる様に進んでいく。

(どう見ても”幽霊”みたいだが?)


 まだ、距離があるからか、こちらには気づいてない様だ。そして、あと少しで、城の桟橋につくと思われたその時、急に、彼女がこちらに気付き向かってきた。





急いで、ボートを桟橋につけ、舫うのと


彼女がたどり着いたのは…………………同時だった。




「お逃げ下さいッ!早くッ!急いでッ!!」




彼女が然う、叫ぶや否や、水面が激しい音を立て、そこから”牙の生えた巨大な口”が襲い掛かって来た。



「ウウッワァァァ―――ッ!!」



慌てて振りかぶった爪を、当たれとばかりに叩き込んだ。


(ズシャァッ--!)「GyiiYhaaa―――」


 上唇を裂かれた怪物が奇声を発した。

見上げる様な巨体が、さらにのけぞって、吼える。瞳を真っ赤な怒りに染め上げて、怪物が桟橋の上へと、のし上がって(・・・・・)来た。狭い桟橋の上に、無理やり乗りあがったソイツは、威嚇の唸り声を上げつつ、ゆっくりとこちらに迫ってくる。



 改めて見ても、デカイ!優に10メートルはあるんじゃなかろうか?頭の上に伸びる、触覚の様な先に、……………………………………いや、『先端そのもの』が”女性(・・)である”それを除けば、明らかに『スピノサウルス』、そっくりだ。いや、本物見たことないから、分からないけど。


 それに対する私は、浄炎から、しまっておいた【神遮の大盾(ピリファディボルカ)】を、取り出すと構え、そして言った。



「答えなさいッ!何者ですかッ?もし、遣り足りないのであれば、最後(・・)まで”ヤリますッ”!」



聴かぬか、応えぬかも分からず、()をしっかりと、込めてはみたが、はたして




「Gui,gyiiyhaaa――――ッ」「やめてッ!まだ解らないのっ!アナタじゃ、勝てないわッ!」

「Gurrrr,gwuu――。」「お願いだから、もうやめて……………」



(なんだ?言い争っている?)




「申し訳ありません。どうか、もう止めてください。この子には、しっかりと言い聞かせますから。どうか……………………………………」


「何なんだ?君たちはいったい?……………”高位の魔獣”?」




「はい、私は”元”人で……………………………………」


 そして、彼女が言うには、彼女自身も被害者だそうだ。元々、此の魔獣は喰った人の、魂をとらえ、触覚の様なソコに捉えた者の似姿を、現すことが出来るのだと云う。

 そして、彼女は”囚われた”夫を探して、今度は彼女が”囚われの身”なってしまった、そうだ。


ならばなおの事、この私が仇を、と思ったが



「いいえ、良いのです。ですが『どうかこの仔には、”ご慈悲を”』!」


「なぜ、そう言えるのか(言えてしまうのか?)聞いても?」


「はい。元々、この仔はこのような魔獣ではなかった………………………らしいのです。それがある時、突然………気付いたらこのように、魂を”求める”ようになっていたようで……」


「でもだからと云って、貴女の事は…………………」


「いえ。もう良いのです。こうなって、すでに幾年月過ぎたのか、忘れてしまいました。」


「然う…………分かった。でも、その子が過ちを犯さないという、証は?」


「それは……………でも、ここには何か、”呪い”がかかっているに違いないんですっ!それがなくなれば、この仔だって、きっと……………」


「(ふぅ~)ホンットに全くッ!いいわよ。一旦、保留にする。後で、また会いましょうッ!」


「はい。有り難うございます。」


然う、言って頭を深く下げる、彼女(名はマーサといったか)に別れを告げ、城への探索を再開した。




本来はもっと、静かに潜入するつもりだったのに



「”白虎”の自分を過信しすぎたかなぁ?」





続く。

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