つまり 古城探索 1
プロット見直していて、遅くなりました。
2話連続投稿です。
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あれから、数日。私は待っています……………………………………仕事を。
然う、今私は、仕事が来るのを、待っているんです。
「さぁ、仕事だ。と勇んで出てきた、私に掛けられた言葉は、
「貴女、”能力”全開で”低級”依頼、なされるつもりじゃあ、無いですよね?」「エッ?」
「あのね、みんな貴方みたいに最初から、”強く”無いのよ?……………後は分かるわよね。」
「えぇ~とぉ………………、はい。」
「じゃあ、少し待っていなさい。何か、見繕ってみますから。」
そして私が、「はい。」と返事をしてから、彼此、数十分、一向に見つかる気配がない。
とはいっても、先ほどから、目の前を行ったり来たりする、我が”専属”受付嬢を見ると、じゃあ、ガロン爺の所で臨時店番でも、とも言えず…………。
結局、その日は”常時”受付の『角うさぎ狩り』をすることになった。
その角うさぎと云うのは、後足で立ち上がると、私の腰辺りに届くらしい。そして、頭の、丁度”手の平程ある”角で、攻撃してくるそうだ。角が大したことない?いやいや、そんなに簡単じゃないと思うよ。
その”大きさ”で2メートルも向うから、いきなり飛び掛かって来られたら、初級の者たちには危ない。
そうは言っても、私は”虎”だ。兎なんぞに、後れを取るはずもなく…………(いや、最初はびっくりしたが)一瞬で返り討ちにした。威張れるようなものではないが、そのお返しとして、なるべく、奥の方で狩る事にした。なぜって?それは間引きの為に。奥から狩れば、初級の子たちの獲物を、奪うことなく、増えすぎるのを、防げると思ったからだ。まぁ、そうは言っても、全体の生息数とか調べてないから、自己満足の域を出ないけどね。
まぁ、そんな風に”常時依頼”で少し狩りに出たり、ガロン爺の”臨時店番”したりして、過ごしていた。
そして、今日も”私の”受付嬢は走ってくれております。また今日も、”少し”狩りに出て、”店番”かなぁ、と思っていると
「何じゃ?今日もルゥナちゃんへの依頼、探しか?それなら、例の”古城”の調査依頼でも良かろう?」
と、いつの間にか、ギルド長が下りてきていた。
「何言ってるんですか!今日から私用で、ドリューがいないんですよ。一人でやらせるなんて、危険すぎます。」
あぁ、そう言えば、今朝、
「急に”実家”に帰らねばならなくなった、すまんが暫く”一人で”何とか、過ごしてくれ。」
と、寮に来るなり、言い残して、どこかに出かけて行ったっけ?
「なら余計に問題ないじゃろ。調査だけに限定しておけば、良かろう。」
「それは、確かにドリューがいない方が、捗るかもしれませんが……………、はぁぁ~~、分かりました。」
(ドリューの”仕事ぶり”が気になるなぁ~)
「仕方ないわね。えぇ~と、ルゥナ。この『湿地の古城、調査依頼』、お願いするわね。それで、この依頼内容なのだけど……………………………………」
あれから、依頼内容と、今わかっていることを聞いた私は、「さぁ行くぞ」と出掛けようとして
「まさか?そのままで、出発しようとしてないわよね?」
と、サーシャに、再び引き留められ、そのまま買い物へと…………………………………
いやぁ、いつも【浄炎】製の服着てて、みんな何も言わないから、これでいいのかも?なんて、思ってました。まさか、”貧しい”人にありがちな、一張羅の類と思われていたなんて…………不覚でした。いやぁ、お恥ずかしいぃ。
その後、色々連れまわされ、結局、町を出るのは午後になってしまったが、これはかえって、都合が良かった。
と云うのは、どうやら、件の湿地には、昼間は濃い霧が出て、古城の手前にあると謂われる、沼地に嵌まりかねないのだとか。ここから湿地までは、歩いて半日程度、着く頃にはすっかり真夜中、という訳だ。
∽∽∽
そして、辺りはすっかり暗くなり、ここは月明かりと、そこに住まうもの世界。しんと静まり返った、森が目の前に広がっている。それを見つめる私は、サーシャから聞いた、依頼の内容を思い返していた。
元々、ここにはこの辺りの領主が、住んでいたと謂う。それが、今の地に移り住んで、気がつくと魔獣に占拠されていた、そうだ。依頼を受けて、いくつものパーティが挑戦したが、皆失敗、ある者はモンスターに襲われ、ある者は沼地に迷い込み、城にたどり着いた者もいたようだが、消息が途切れた、と謂う。まごう事無く、『ホーンテッドキャッスル』である。まぁ、お城と云っても、地方領主の居城だから、そこまで、大きくないという話だが、元日本人としては、尻込みせざるを得ない。
そして、一番肝心な事は、”男喰い”と呼ばれている事。何故か?簡単だよ、男の生還率が非常に低い。つまり、対男用の罠が仕掛けてある、と推測されている。それが、どの様な罠かは分からないが、(物理か?魔術か?)いずれにせよ、用心するに越したことは無いだろう。
そんな事を、色々な資料を引っ張り出しながら、話してくれたサーシャを、思い出しつつ
「さぁ、冒険の時間だ。」
森はすぐに途切れた。聞いていたように、ここからが本番だ。霧はもう、かすかに漂う程度だが、やはり、足場が悪い。ぐちゃぐちゃと湿気た、大地の上には、丈の高い草が生い茂り、行く手を阻む。
とは言え、私はワイルドライフ出身(この世界に来てからですが)これくらい何とも無い。
そうして掻き分けること暫く、そこには”湖”と呼べるほどの、沼地が広がっていた。
いや実際、湖かもしれない。手前は泥地になっているが、その向こうは湖面が広がっている。その湖の小島に、城が建てられている。
さて、そこまで、【浄炎】で筏を作ってもいいが、ここまでたどり着いた、パーティがボートを残している、と聞いたが
見れば左手に桟橋があり、そこに一艘のボートが繋がれている。ボートにはオールも付いていたが
「『タマトラ』お願い出来る?」
【浄炎】を出し、タマトラを呼び出すと、引っ張ってもらうことにした。
決して、漕ぐのが面倒、という訳じゃなく、ここまで、何も出会わなかった。つまり、湖に何かいるのでは?と思いついたからだ。
果たしてそれは、間違っていないことが証明された。波音を立てず、静かに進んでいくと
やがて、左手前方に、『蒼白い人影』の様なものが、湖面をすべる様に進んでいく。
(どう見ても”幽霊”みたいだが?)
まだ、距離があるからか、こちらには気づいてない様だ。そして、あと少しで、城の桟橋につくと思われたその時、急に、彼女がこちらに気付き向かってきた。
急いで、ボートを桟橋につけ、舫うのと
彼女がたどり着いたのは…………………同時だった。
「お逃げ下さいッ!早くッ!急いでッ!!」
彼女が然う、叫ぶや否や、水面が激しい音を立て、そこから”牙の生えた巨大な口”が襲い掛かって来た。
「ウウッワァァァ―――ッ!!」
慌てて振りかぶった爪を、当たれとばかりに叩き込んだ。
(ズシャァッ--!)「GyiiYhaaa―――」
上唇を裂かれた怪物が奇声を発した。
見上げる様な巨体が、さらにのけぞって、吼える。瞳を真っ赤な怒りに染め上げて、怪物が桟橋の上へと、のし上がって来た。狭い桟橋の上に、無理やり乗りあがったソイツは、威嚇の唸り声を上げつつ、ゆっくりとこちらに迫ってくる。
改めて見ても、デカイ!優に10メートルはあるんじゃなかろうか?頭の上に伸びる、触覚の様な先に、……………………………………いや、『先端そのもの』が”女性である”それを除けば、明らかに『スピノサウルス』、そっくりだ。いや、本物見たことないから、分からないけど。
それに対する私は、浄炎から、しまっておいた【神遮の大盾】を、取り出すと構え、そして言った。
「答えなさいッ!何者ですかッ?もし、遣り足りないのであれば、最後まで”ヤリますッ”!」
聴かぬか、応えぬかも分からず、念をしっかりと、込めてはみたが、はたして
「Gui,gyiiyhaaa――――ッ」「やめてッ!まだ解らないのっ!アナタじゃ、勝てないわッ!」
「Gurrrr,gwuu――。」「お願いだから、もうやめて……………」
(なんだ?言い争っている?)
「申し訳ありません。どうか、もう止めてください。この子には、しっかりと言い聞かせますから。どうか……………………………………」
「何なんだ?君たちはいったい?……………”高位の魔獣”?」
「はい、私は”元”人で……………………………………」
そして、彼女が言うには、彼女自身も被害者だそうだ。元々、此の魔獣は喰った人の、魂をとらえ、触覚の様なソコに捉えた者の似姿を、現すことが出来るのだと云う。
そして、彼女は”囚われた”夫を探して、今度は彼女が”囚われの身”なってしまった、そうだ。
ならばなおの事、この私が仇を、と思ったが
「いいえ、良いのです。ですが『どうかこの仔には、”ご慈悲を”』!」
「なぜ、そう言えるのか(言えてしまうのか?)聞いても?」
「はい。元々、この仔はこのような魔獣ではなかった………………………らしいのです。それがある時、突然………気付いたらこのように、魂を”求める”ようになっていたようで……」
「でもだからと云って、貴女の事は…………………」
「いえ。もう良いのです。こうなって、すでに幾年月過ぎたのか、忘れてしまいました。」
「然う…………分かった。でも、その子が過ちを犯さないという、証は?」
「それは……………でも、ここには何か、”呪い”がかかっているに違いないんですっ!それがなくなれば、この仔だって、きっと……………」
「(ふぅ~)ホンットに全くッ!いいわよ。一旦、保留にする。後で、また会いましょうッ!」
「はい。有り難うございます。」
然う、言って頭を深く下げる、彼女(名はマーサといったか)に別れを告げ、城への探索を再開した。
本来はもっと、静かに潜入するつもりだったのに
「”白虎”の自分を過信しすぎたかなぁ?」
続く。




