あぁ オネエサマ
ちょっと地味な回です。
武具を手に入れた私は、意気揚々と冒険に……………………………出られなかった。
「おぅ、一寸ええかぁ。そんっ”神遮の大盾”じゃが、”イロカネ”っちゅう、えろぅっ高い金属つこうとってのぅ。そのぉ、なんじゃぁ……………………………………」
「昨日、出した”始原の森”産の果物や木の実、魔獣の素材や食材の他にも色々あったと思うんだけど、それでも足りなかった?………と」
「お、おぅ、まぁのぅ。それに”イロカネ”っん中でも、”ヒヒイロカネ”っ中、特に珍しいモン、つこうとるからなぁ。いや別に、金取ろぉっちゅう訳じゃない。」
「えっ、まさか……………………………………」
「いやいや、そうじゃ無いッ!いや、可愛いこたぁ、認めるが、ただ、偶に”依頼”を受けてくれりゃあ、ええんよ。頼めるかなぁ?」
「ああ、はぃ「ちょっと、お爺っ!何しよんよ!いつも言うとるじゃろうがぁ!若い娘、見つけて店番ばぁ頼もうとするんっ、やめぇ言うとるじゃろうがぁ~」」
突然、乱入してきたのは、ヨランダ(ガロン爺のお孫さん?)だった。
「えぇ~とぉ、どうしたんですかね?」
「ああぁ、すまんです。神獣様。こんッ爺が迷惑かけまして、ほんっとにすんません。いっつも、寂しゅうなると、店に買い物に来た、若い娘さんに、なんだかんだ言うて、店番やら頼もうとすんですぅ。お爺も、ええ加減にせんとあかんよ。」
「わぁ~っとるよ。いやでも、”ヒヒイロカネ”がのぉ~」
「その”ヒヒイロカネ”って、何処にあるんですか?採れるなら行って来ますけど。」
「無理じゃ、思うよ。ギルドの資料でも、”その昔、極東の島国に女帝あり、そのもの、ヒヒイロカネで揃えし具足、身に纏いし精兵を持つ。国滅びて、ヒヒイロカネの具足、何処かに、消えゆ。後、ヒヒイロカネ求めるも、見ること能わず”とあるんじゃ。”幻の金属”謂うて、呼ばれとるけんねぇ。」
「エッ?そんなものよく手に入りましたね。」
「まぁのぉ。ちと、縁があってのぉ。ところで、依頼の方なんじゃがぁ~駄目かノ?」
「もう、お爺……………………………………」
「あぁ、いえ。大丈夫ですよ。ギルドの方と掛け持ちになるんで、いつもという訳には、行きませんが。それで良ければ?」
「おおぅ、ええぞぉ。よろしゅうなぁ。」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
「なぁ。話がまとまった所で、ええかな?」
「はい?」
「サーシャが呼んじょったよ?なんか、昨日待っちょったけど、全然帰ってこんかった、言うて。ワッチに、お爺のとこ行ったまま、かもしれんから、見て居ったら、”連行”してくるに、言うてな。いや、流石に”連行”は言うたんじゃけど、ドリューが居るからってな。」
「うっぎゃぁあ――――――――ッ!!!!!早く、言ってよぉ~~~っ!じゃあ、ガロン爺、またね。」
「おぉぉぅ。サーシャによろしゅうなぁ~」
∽∽∽
ギルドの前にやって来た。念のため、尻尾に神気を通し準備だけしておく。きっと、これで、ロックオンから逃れられるはず、ずるい?とんでもない。出来る事はやっておく、出会いの基本です。
さて、中に入ると、もう、すっかり朝と云うには遅い時間であったが、結構人がいて、驚いた。実は昨日のように、割と閑散としているのは、あまり無いそうだ。何でも、依頼によっては、夜中指定だったり、朝早い時間のみ、とかだと、この時間に清算に来るらしい。後は昼からだったり、ただ暇だから情報を求めて、来ていたりと様々だと後で聞いた。
しかし、妙に注目を集めているのは、”お約束”ではなかろう、西部劇でもあるまいに。さて、サーシャは?と、見れば、接客中のご様子。少し待つかと思って、壁際に行って、様子を眺めていると
「あ、あのッ。あの初めまして、僕は『ユリシス』というものです。冒険者しています。あ、あの貴女も冒険者ですか?」
と”エルフ少年”が話しかけてきた。
最初、誰だろうと思っていた、けれど、彼の”匂い”が思い出させてくれた。別に、好悪云々で言っているのでなく、単に事実として、彼なのだ。私を”射貫こう”としたのは。
「はい。初めまして。えっと、一応、冒険者ですけど、何かご用ですか?」
「はい実は、僕も冒険者を、始めたばかりでして、良ければ、お話を伺いたいなと?」
「なぜ、私が始めたばかりだと?」
「あぁはい。そのぅ、武具を持ってらっしゃらない様ですし、そのぉ、あまり……………………………………」
彼の視線を足や腕に感じる。
おそらくは、私の正体に気付いているのではなかろうか?武具を持ってない時点で、冒険者ではなく、依頼主と考えるだろうし、私が、最近ここに来たばかり、だと考えているようだからね。
さて、どうしようか?そんなことを考えていたのが、メンバー勧誘に悩んでいるように見えたのか
「お嬢ちゃん、どうした?もし、パーティ加入に悩んでるなら、うちへ来ねえか?何、ほんのお試しってやつだぜ。」
(あれ、この人どっかで?)
「おいおい、そいつんトコじゃ、碌に”経験値”貯めらんないぜ。そこ行くと、俺んとこは、しっかり”貯まる”ゼェ~。」
(このひとも?)
「おい、何かってに入り込んでやがんだっ!大方、昨日の”紅滅姫”との一戦見て、狙ってたんだろうがぁっ!」
「てめぇこそ、朝早くから、何してやがんだと思やあっ、ルゥナちゃん狙いかよっ!」
(あれ?名前っ?)
「あのぉ~、すみません。私の事、ご存じのようですけど、いったいどこから?と云うか、私、勧誘されてませんし、もう、パーティは組んでいるので……………………………………」
「何ぃ-もう組んでるだとぉ―!」「うがぁ―羨まけしからん!誰だぁ―!」「あのぉ~、僕はこれで……………………………………」
と、騒々しくなった所で
「待ってましたよ、ルゥナ。昨夜は随分、楽しまれたようで。さぁ。行きますよ。皆さん、ルゥナをお借りしますね。そうそう、ルゥナのパーティメンバーですが、ドリューですので、移籍など、お考えでしたら、彼女にお願いしましね。では失礼します。」
「な、何ぃ―ッ、紅滅姫だとぉっ!」「だぁ―ッ紅滅姫終わったぁ―ッ!!」「くそぉ~、遅かったぁ~」「…………………………またっ。」「ソ、そんなぁ~、ルゥナちゃんがぁ~」
等々、喧々囂々とした中(最後、ヤバいのがいた様な?)私は助け出された。
∽∽∽
そして、会議室の中、サーシャと向き合っております。ちょっと、空気が寒いです。
「さて、ルゥナ、色々言いたいことはあるのだけど、そうね、まずは”宿泊先”は、どうするつもり、だったのかしら?教えてくれるかな?」
「それはですね…………宿に泊まったことがないので、何処かよいところを探そうかなぁ~、なんて。まさか!武具屋で、宴会と………(ぅんっん)打ち合わせが長引いてしまうとは、痛恨の至り。((;^ω^))いやぁ~参りました。」
「言いたいことは、それだけで良いかしら?」
「えぇ~とぉ、ちゃんと屋根のあるところで寝ましたよ。」
「あのね~、乙女がその辺りでテキトーに寝てたら、どうなるかわかるでしょう?はぁ~、いくらレベルが高くてもって……………………………………貴女、もしかして」
「あのぉ~、レベルって、何ですか?それと、先程、”経験値”がどうとか、それって、魔獣を倒すとかですか?」
「貴女、最初に終端装置に触れた時、何かなかった?」
「えっ!あれ、見えてたんですか?」
「いえ、何も。ただ、”神獣”だけが、その理から外れる、と古い文献に書かれているのよ。その理なのだけど……………………………………」
彼女の話によれば、この世界には、”経験値”を貯めれば、”レベル”が上がり、”魔術”や”スキル”が使えるようになり、その人の”能力”が上がる、らしい。
まるでゲームの様な仕様だが、もちろん、最初は無かったそうだ。それはひどく、過酷な世界だったのだろう。”魔獣も魔術もない”世界を知る身としては、正しく身につまされる思いだ。
結局、それを神が、救済した。”神”が実在するなんて、本当に凄い世界に来たんだ、と思う。
また、そんな世界だからこそ、”宗教”が世界の根幹、としての地位を占めているらしい。
さて、先生の話は、そこから”一般常識”にまで及び、文字の練習は明日から、となった。いや、ただ単に、私が耐えられず、ギブアップ宣言したなんて………………うん、「ごめん」とだけ言っておくよ。
そんな”しおしお”に萎びた私は、サーシャに頭を洗われている。意味、分からない?うん、私にも分からん。気付いたら、ギルド職員寮の洗い場にいて、”色々”と洗われていた。
泊る所は、正直何処でも良いと、思っていたし、洗髪なども、【浄炎】使えば、楽枕じゃん。と思っていたのですが
「身嗜みを気に掛けない女性など、在り得ませんッ!さぁ、いらっしゃい。女性の身嗜みと云うものを教えて差し上げます。」
「あっ、いやっ。私、実は”元男性”で、そう言ったことは………………」
「何を仰ってるんですか?貴女は身も心も”女性”に決まってるじゃないですか!さぁ、行きますよ。」「アッ、ちょっ、待ってッ……………………………………」
因みに、彼女も一緒に入ったが、”立派”に女性であったと言っておく、何処が?等と無粋は言わない、あぁ、言わないとも。
そうして、『ギルド職員寮』での、最初の夜は過ぎて行った。
中々、冒険に出られません。”振り”はしてるんですが
ではまた、不定期に




