トラ面の保持者
少し間が開きました。もう少しコンスタントで行きたいです
歩きながら、私は考えた、先程の”神気漏れ”について。
このままでは、私は”歩く芥子畑”とは言わないけれど、高位の魔獣、等から”妙に”、敬意を集めたり、精霊が、”何処に”行ってもついて来てたのが、全部”神気”の所為だったとか!恥ずかしすぎる。そのうち、何か対策した方が、良いよなぁ~。
私が、”娘”に戻ると、部屋一杯の大気の精霊たちは、徐々に散っていった。(【本性】出してたら、いつの間にか集まってたんだよね)
ともかく”お披露目”なる、私の黒歴史は、こうして幕を閉じた。
そして今、私は武具屋へ、向かっている。
大剣が傷んだ、と云っていたドリューについて来たのだ。『私には”爪”があるから』と言ったが、「どんな依頼も”それだけ”でこなせるつもりか?」とドリューが……。確かに、少々無理があるかも、と反省した次第。
そうして、武具屋へとやって来ました!見れば、色んな武器が所狭しと、並んでいます!(なんかワクワクしてきます。うぉぉっ、大鎌もあるっ!)
凄いですよね、これ全部、”現役”なのです。芸術品の”模造刀”でも、資料館にある”過去”の遺品でも、ないんです。その存在感が、ひしひしと伝わってきて、ちょっと感動しています。
「お~い!ガロン爺、居るかぁ~。」と、ドリュー。
「なんじゃァ~、そんなでかい声で叫ばんでも、聞こえようがぁ~。でぇ、なんじゃ?まぁた、面倒ごとかぁ?」そう言って、出てきたのは、何処かギルド長を思わせる、老いたドワーフであった。
老いた、と表現したが、決して老け込んでいるのではなく、顔こそ年相応(?)だが、その”はち切れんばかり”の肉体は、今も現役であることを物語っている。
「有無、息災で何より、そして我は、然ぉう難しいことを頼んだ覚えはないのだが。まぁ良い。まずはコレを見てほしい。」
彼女が背の大剣を、すらりと抜き、老鍛冶師にかざす……………………と
「馬鹿者っ!何を斬った?」(怒った!!)
見れば刃に”くっきり”と、”八本”の切り欠きがつき、さながら”ノコギリ”の様だ。
「いやぁ―(照れっ)久々に大物であった。」
「大物っ!じゃ~ぁあねぇ~ッ!!良いかッ!この剣が何で出来とるんか、お前さんが知らんはずなかろうぅがっ!ええかッ。これはなぁ、わしが生涯で”恐らく一度きり”しか打てん、業物じゃぞッ!!!それをこうも………………………。無理じゃッ、帰れッ!」
(ヤバッ、咄嗟とは言え、やっちゃったの私だ。どうしよっ?)
「有無、分かっておるとも。そして、敢えて頼もう。わが家宝である、この”神殺しの大剣”をなおして欲しい。」
「何言っとるのか、分かっとるのか?これにはなぁ、”神気”がつかわれとるんじゃ。お前さんが一番分かっとろうが。」
(ナッ!)驚いたのは私だ。斬りつけられた時、もしやと思っていたが(こんなところに?)
「あのぉ~、ちょっといいですか?」
「おぅ、ってお前さん初めて見るの?なんじゃお嬢さん?」
「はい、ルゥナと云います、それでですね。その大剣は”神剣”なんですか?」
「はっはっはっ。面白いお嬢さんだ。知らんようだから、言うが”神剣”っちゅうのは、こんな”半端モノ”じゃあないんじゃ。分かっとるよ、お嬢さんの云いたいことも。確かに、これはわしの”一番”の出来じゃ。でものぅ、それでも、”本物”にゃ、届かんのじゃ。済まんのぅ。」
「あぁいえ。それでそのぉ~”神気”があれば、どうにかなるんですか?」
「ハハ。然うじゃ。じゃが”神気”が、どこにあるのか知っとるか?”神剣”じゃ。じゃがそれは、王宮の、奥深くじゃけぇ、ドウモならんっ。」
「ハハハ。気が利く”友”がいて、幸いじゃ。よろしく頼むぞ。”友”よ。」
「うっ、ナ、ナニ言ってるんですか!私が原因ですし、手ぐらい貸します。」(思い出させるなっ)
「おい、何言っとるんじゃ?」
「あぁ、言うておらんかったな。こ奴が”神獣”じゃ。問題なかろう。」
「ナッ何ぃ――ッこのお嬢さんが、じゃと?じゃがそんな……………」
「有無、まぁ見てもらうしかあるまいの。」
「良いんですか?サーシャさん、怒りますよ。」
「有無、任せた。」
(~~~っ。)
とまあ、色々あったが、私が【浄炎】を出した時の、ガロン爺の顔は忘れられない。
まあ、おかげで(?)「ガロン爺、……」「嬢ちゃん……」と呼び合えるように、なったのは収穫だ。
それで、肝心の”修理”だが、修復用の”素材”に神気を馴染ませ、それを………というものだった。
最初は戸惑ったが、考えたら「、終端装置と同じだ。」と気付いた。
後は簡単で、ささっと済ませた私は、工房の中を見回していた。
すると、”破損した”大盾の様なもの、を見つけた。
「ガロン爺、あの”破損した大盾”は何?」
壁に”奉るように”掲げてある、大盾を指して聞くと、こんなことを言った。
「有無、やはり”神獣”様じゃなぁ。ありゃ、”神盾”じゃ、更に言えば”神盾の残骸”じゃな。あそこまで逝くと流石に、このワシでもドオモならん。」
「そうなんですか。アレッ?でもお店の方に、似たような盾があったような?」
「ああ、ありゃ只の”魔盾”じゃ。模倣作じゃよ。一応、本物と同じ、”魔紋”を刻んどるがのぉ。」
ガロン爺によると、『魔紋により』魔術を発動させられる武具、があるという。詳しい事はさっぱりだったが、要は魔力が小さくても、魔道具を『起動』出来さえすれば、”魔術を使える”武具との事。それさえあれば………、と思うが、聞けば、素材の『貴重さ』から始まって、制作過程の『煩雑さ』にまで至り、その難事は、”かかりっきり”でも年に数本打てれば、良い方だという、当然値段は跳ね上がる。そんな訳で、有るにはあるが、ほとんど『見かけない』らしい。
さて”そんな”モノが目の前にある。なら
「ガロン爺、ちょっと、試してみて良いかな?」
「あぁ、構わんよ。無理せん、ようにのぉ。」
早速、私は店先に戻ると、その”大盾”を手に取った。
それは”大きな”盾だった。
形は所謂、タワーシールドと呼ばれるものだが、160㌢位の私の身長からすると、まるで”少し湾曲した”戸板を担いでいるようなものだ。
片手で持つと、その異様さが、なおハッキリする。
重いのだ、”私”が持っても、ズシリと重みを”感じる。後で聞いたところによると、ほぼ”誰も”持ち上げる事さえ、出来なかったという。(そんなもの、試させるな!)とも思ったが、まさか、持ち上げるとは、考えなかったらしい。
さて、その盾には、さらに浮彫が施してあった。それもハイレリーフの様で、見事な”獅子”の頭が!
「えっ?何で?」
と思い、工房のガロン爺に声を掛けよう、として偶々、それが目に入った。
”神盾の残骸”、その表面に掘られた”白竜”の姿を。つい、目が潤みそうになった。
「ガロン爺、この盾のレリーフは、ガロン爺が?」
「おぅっ。カッコ好かろう!」
「そうだね。ねぇ、少し試してみたいことあるんだけど、いいかな?」
「お、おぅ、壊すで無いぞ。分かっとろうがのぅ~。」
「エ、えぇ。もちろんッ(;^ω^)」
広い裏庭(試し斬り用?)があると聞いた私は、早速、向かった。その頃、ドリューは
「爺、賭けはわしの勝ちじゃのぅ。」
「ナッ!貴様、そんな古い事をッ!大体、卑怯じゃろ。神獣様、ご本人を連れてくるなど。」
「呵々ッ!”持ち上げる”事が出来る『者』、という話、じゃったじゃろう。”神盾”のレプリカじゃ、”御本人”様に、来て頂くのが筋じゃろう。さぁ、つべこべ言わず、さっさと出せ!あの”幻の銘酒”をッ!!」
「くそっ!あれはわしが、200年寝かした、秘蔵中の秘蔵だというのにっ!何処ぞで嗅ぎ付けおって。但し、見合う肴を用意せぇよっ!!」
「呵々っ。任せろ、当てはある。」
と、そんな事を話していた。
さて、そんな事は露知らず、私には試したいことがあった。
その試したいこと、と云うのは…………………神気を流したら、この魔紋はどう反応するのか?と。
念のため、広場の真ん中で(万が一、吹っ飛ぶとか?ないと良いなぁ)
少しずつ、神気を馴染ませるように、”魔紋”に向かって流し込んでいった。
すると、魔紋は光り始め、やがて盾全体に広がった、と思ったら、突然ひかりは消え、盾の”真ん中”辺りが振動した!と思ったら
盾からナニカが出てくる予感
(マズイッ!)
咄嗟に!盾に隠れるかのようにしゃがみ、盾の”獅子”面を上空に向けた!
直後ッ!!!
GuGHAAAAAAA――――――ッ!!!!
聞いたこともない、大きな砲声(吼え声?)と共に
光の柱が、天に向かって真っ直ぐ伸び、一瞬で消えた。それはまるで”ゲーム”にある
「レーザーキャノンかよっ!」
そんな風に驚いていると、
「どうしたんじゃ?無事かッ!嬢ちゃん!」
「何があったッ!ルゥナッ!怪我はッ!無事かッ!」
とガロン爺とドリューが駆け込んできた。
私は一瞬、呆けていたが直ぐに
「ごめんなさいっ!大丈夫ですっ!」
と応えると、何があったのかと聞くので、さっき、試したこと、結果、”攻撃的な”光を”発射した”事を話した。
「なんとぉ、そがぁなもん、組み込んどったかぁ~。驚いたわぃ。」
「有無、天晴じゃ!流石、我が友、最高ではないか!」
(何やら、、違う言葉が!)
「ところで、ルゥナちゃんや、”お代”は期待しとるけぇな。よろしゅぅ~頼むでぇ。」
「へっ???」
「なんじゃ、気付いとらんかったか?主の持っとるモンの表!ヨウ見よ。」
見れば、凛々しい”虎”面がッ!!!!!
(なんとぉ!!)さっきまで、立派な”獅子”面だったのに、今は”虎”に変わってるッ!
流石の私も、たった一度”神気を流し込んだ”だけで、レリーフを変える、なんて思いもしなかった。
「えぇ~っとぉ、わざとじゃないんで、見逃していただく訳には…いきませんよね。」
「有無、いつもニコニコ現金払いじゃ!」
「って、何でドリューが、口出してるんです!ここは仲間をかばうとこじゃ?」
「甘いッ!そして二つ目の教訓じゃ『敵は斬っても、身銭は切るな!』。良いか、冒険者たるもの、金銭の管理はシッカリしとかんと、いかんのじゃっ!」
「何ぉ偉そうに言うとるんじゃ。ワシが教えたことじゃろう。ホントに、あの当時のお前さんときたら、身ぐるみ剥がされとっても、不思議じゃない、くらい”お嬢様”じゃったからなぁ。
「云うなっ!爺。それより、コレどうするんじゃ?」
「あのぉ~、すこぉ~し、負けてもらう訳には?」
「どぉお~したもんかのぉ~ヤぁ?………うははッ!冗談じゃケぇ。許せよ、嬢ちゃん。まぁ、でも、嬢ちゃんの”買い取り”は、決定じゃが。」
「ですよねぇ~。」
「まぁ、とは言うても、扱えるモンの居らんかった事じゃし………格安で、イケん事もない。」
「本当ですか?」
「有無。時にルゥナは”始原の森”の方から、来たらしいと、云うとったのぅ。その辺で………どうじゃ?」
「また、ドリューはァ~。分かりましたよっ。”物納”でも構いませんか?」
「えぇが?なにぉ持っとるんじゃ?」
「はい。素材になるのか、分からないし、解体もしてないですけど。」
そう言って、裏庭に、”始原の森”を離れる前に、集めた物などを出した。
「こ、これは………………………………………」
思わず、固まってしまったガロン爺をよそに、ドリューが早速、果物をより分け、解体の準備を始めた。それを見ていたガロン爺も、手が足りんと、助っ人を呼びに行き………………………………………後はそのまま、宴会へと雪崩れ込んだ。そう、一心不乱の大宴会である。
因みに翌日、ドリューとガロン爺以外は、死屍累々だったと述べておく。
そうして、私は”神盾(レプリカ”の使い手になった。
長すぎないか、気になります。
後、作中の言葉使いは、全て作者の創作です。




