グレン & グレン
サブタイトル 変えました。すみません。
そっと、ジャングルの中を、進む。気配を殺し、音もたてず……………本当に、この身体には感謝だ。まるで伝説の傭兵のようだ。場所が場所だけに、そう感じる。もっとも、錆びたドラム缶は在りそうにないけど。
そんなことを考えていたら、目的地に着いたみたいだ。
目の前には、洞窟がぽっかりと穴をあけている。私がいた所より、狭い。
が、多分中は広がってるのだろう。私のところも、似たようなものだったしね、それに私がいた処は、空が見えたゾ。
いや、洞窟自慢がしたかったわけでは………………………………………(さて、どうしようか)………………………………………そう思いながら……
「居るか?!!大百足ッ!!!~~~~~~~~」
と咆え声で呼びかけた。
気配を探れば、中に大きなのが一匹居るのが、わかる。さて、すでに動けぬ程、弱ってしまったか?と心配していると………………………………………。
やがて、ずるっ、ずるっと這う音とともに、シャカ、シャカ、シャカッ、シャカッと(小さな金属が、しきりに打ち合わされるような)そんな音と共に、大百足が姿を現した。
「貴方は?! ………先程は、助けて頂いて、ありがとうございました。ですが今しばらく、ほんの少しだけ、待ってください。このご恩は必ずや…………。」
と、彼女(なんとなく♀だと思った、ニオイなのかな?)は言う。
「別に催促に来た、つもりはないよ。元より、求めていないし。それより良かったら、話してもらっていいかな?あそこ《・・・》で『死ねない』って、言った訳を。」
私は、戦闘中の彼女を見ていて、どうしても死にたくない理由がある、そんな気がしていた。それほど切迫した、何かがある様な気がしていた。
そして………………………………その訳とは
「実は、卵が………………………………。もう『すぐ』なのです。済みましたら、必ず………………」
「そういうことなら。ほんの少しだけど、その傷の手当て、させてもらいますね。」
思わず、余りにも無残な、その体を見て、つい許しも聞かず、【浄炎(洗浄と治癒)】を彼女に放ってしまった。
一瞬、彼女は身構えようとした。
が、体の傷が癒えていくのを感じてなのか、ゆっくり…………………………………
………………………………………ゆっくりと力を抜いていった。
そうして、もう良い頃合いかと、【浄炎】を止めると
色鮮やかな赤色に染まった、彼女が、ガ、ガ、GA、………………………………。
仕方ないですよね、えぇ子供は大事ですしねェ………………………………。
「またやってしまった!」
それから、すぐ”母体として問題ないのか”心配して………………………いると?
「大丈夫ですよ。感謝いたします。そんなことよりも、まさか上位にしていただける、なんて。何とお礼を申せば良いのか…………………………。」
と、感謝しきり。
別に、魔獣達から、尊敬されたくて(上位???に)している訳ではない、のだけど。
いくら、力関係が目に見える様な、異世界ワイルドライフでも、これは………………………………………
私は、神獣であることは言っていない。
(ひょっとして、魔獣の中には、『傷を癒す』魔術を使うものもいる?)のかどうか分からないが。
素直に尊敬してくれる彼女を見てたら、どうでも良くなってきた。
ワイルドライフ。
こんな”野生”のようでも、ちゃんと何かのルールがある。
大自然の中だから、当たり前だが、この姿になったことを、あらためて実感していると
「今はこれにて失礼いたします。お礼は必ず、ご用意させて頂きます。」と
それだけ言って、彼女は穴倉へと帰っていった。
そうして彼女を見送った後、私は冒険を再開した。
きっと産卵する?と言っても、恐らく、あと数日してからだろうしね。
確か、満月まであと何日かあったはずだ。どちらの月かまでは、覚えていないが。きっと、その頃のような、気がするよ。
それに
(どんなふうに生まれて来る、のか分からないけれど、百足って『子沢山だった』ような?)
呑気に
そんな取り留めもないことを考えながら、私は、ジャングルの中を進んで行った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~∽∽∽~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて再び、私は西へと向かうことにした。冒険者たちと一戦交えたのは、ここより南だ。(大百足の後を追ってる時に、彼らに痕跡はなかったみたいだし、見逃してなければだけど。最初に大百足《彼女》が逃げたのは、北だったからね。)
だから、西へ向かえば、悪くても、町の北辺りか、ひょっとすれば、彼らに追いつけるかも、と思っている。
なぜ?こんなことをしているのか。
トウゼン!!
人の町に行くためだ。よく小説などで、”異世界に行った主人公が、必ず『近くの人家、村、町に行こうとする』”のは、なってみると実際、よく分かる。情報、いや、もっと簡潔に言おう。
「知りたくなる。」のだ。
私の今の立ち位置、今したほうが良いこと、今してはいけないこと。それに(むしろ、こちらの方が、重要かな)この世界の在り様、情勢など、どんな国がある、とか、どんな文化、文明を持っているとか。
恐らく、新聞なんて、期待できないだろうし、インターネット ハ ナニモンダ??ッテ事を考えると………………………………………。
情報は、人が集まるところに行かないと、手に入らない。もちろん、うまいものが喰いたいとか、珍しいものを見てみたい(RPGの世界♡)っていうのが、一番だけどさ。とにかく、多腕猩々の集落では分からなかったこと(【神獣の知識】含めて)を知るには、それしかないと思った。
∽∽∽
一方その頃
四人組は
「Ghuug、ぐぅぅッ」
「気が付いた?グレンゴ!」
「ここは、いったい………………………………?」
剣士の男は、そういうと、辺りを見回した。
「もう大丈夫だよ。多分、逃げ切れたと思う。」
魔術師の恰好をした女がそれに応えた。
「本当か?あのあと、どうなった。」
「ああ、自分が担いで運んだ。追って来てる様子はない。」
のそり、と大男が云う
「そっか。それにしても、アリャなんだ?スキルも通じねぇ。マチルダの魔術だって………………………………」
「そうね、なんなのかしら。魔術無効なんて、聞いたことないわ。」
「それにぃ、わたしの状態異常もきかなかった、みたいだしねぇ~。」
「おい、リリー。言えよっ、やってたんなら!」
「ひどいなぁ、ぐれちゃんは。みんな心配してたんだよぉ。キズ、なおさないぞぉ~」
「ぞぉ~、じゃねぇっ!ッイテテテッッ!!とにかく、とっとと帰って、報告だ。あとっ!グレちゃん、言うなぁっ!!!」
「………………………………………そうね。あなたの怪我のこともあるし。とにかく、急ぎましょう。」
「うむ。了解した。グレンゴのことは任せてくれ、だが、急がねば。武具が少々、心もとない。」
「くっそッ!ホントかぁぁぁ~~~~」
「………………………………ねぇ、かえろ?」
「あぁ、そうだな。わりぃ。リリー、みんな、帰ろうぜ。」
こうして、とある町の冒険者ギルドに急報がもたらされた。
然うとは知らず、一匹の白虎はのんびり、森を歩いていた。
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