エピローグ
―――数日後。
あれから、秋野は職を辞し、この高校を去って行った――驚くことに、去り際、一言謝罪の言葉を私に残して。
少しは麻衣子ちゃんの言葉が心に響いたのだろうか……これからやり直してくれたら嬉しい。
(人はこうして変わっていくのだろうか…)
そんなことをつらつら考えていると。
パコン。
何とも間抜けな音が頭上で聞こえた。
「尾ノ上さん。また授業に身が入っていないようですね」
視線を上にあげると、それはそれは輝かしい川村充先生様のご尊顔が目に映った……ただし、目は笑っていないが。
(キレる三秒前かな)
「いい加減にしないと、さすがの私も我慢の限界ですよ」
「すみませんでした」
サッ、と勢いよく立って頭を下げる。
先生は、こんな私の低姿勢に一応満足されたらしく「これ以上はこんなことないようにしてくださいね」と苦笑し、目では「覚えてろよ!何度俺の授業を蔑ろにする気だ!!」と怒りを訴えて先生は授業を再開した。
こうして、私はいつもの日常を取り戻したのだ。
(取りあえず、今回は人間以外が出てこなかったからよしとしよう)
だって、もう妖怪とか式神とかお祓い師とか――人外が出てくるのはこめんだからである。
『私と先生と愉快な日常』
(完)
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『世にも奇妙な猫物語』
このような拙い作品にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
この作品は、私が高校生くらいの時に構想が浮かび、今年の夏になって「よし!一先ず書き上げてみよう」と挑戦したものです。
そんな訳で如何せん、最後の当たりは慌ただしくなってしまったので、ゆっくり修正を加えながらアップしていきました。
先生と生徒の恋愛話って王道な気もしますが、ここでは少し毛色の変わった王道に仕上げたいなと思いました。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
さて、皆さんも感じられたと思いますが、桜ちゃんと先生の馴れ初めなど、いろいろと謎の部分を多く残しています。これらについては、次の作品以降にしっかり回収していきたいと思います。
今後は、次の作品が書き上がるまで、番外編をアップしていく予定です。
どうぞ、今後もよろしくお願いします。
月嶋 ゆう




